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yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


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2014/09/19 09:58 yuccalina

生きる勇気を与える名著「夜と霧」

本の話はどんだけ久しぶりだったでしょうか。2年前スマホに変えて以来、移動中の電車やバスで読書(紙の本です!)することが本当に少なくなってしまいました。今回紹介する「夜と霧」を読み始めたのがいつだったか、ちょっと思い出せません。キッカケはかつて週刊文春で連載されていた佐々木常夫氏のエッセイで紹介されていたからです。自閉症の息子と妻の病気、自殺未遂という困難の中でも、仕事を諦めず活躍されている佐々木氏が、この「夜の霧」で励まされ、色んなことを学んだと。

夜と霧 新版夜と霧 新版
(2002/11/06)
ヴィクトール・E・フランクル

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とても有名な本ですので、詳しい説明は不要かと思いますが、これはナチス収容所での過酷な生活を生き抜いたユダヤ人精神科医が、自分自身を含め収容所の人々を、研究者の目で客観的に観察した記録。ただ単に強制収容所の残虐性や、暮らしの悲惨さを伝えるのでなく、そこから、垣間見えた人間の本質、光と影を浮き彫りにしていきます。そして、どんなに苦しい環境であっても揺るがない人間の光を見出しました。

以下、印象に残った部分(青字)を書きだしてみます。

ユーモアも自分を見失わないための武器だ。ユーモアとは、知られているように、ほんの数秒間でも、周囲から距離をとり、状況に打ちひしがれないために、人間という存在にそなわっているなにかなのだ。

これは私、結構持ってると思います。自虐ネタや自分でボケて突っ込むのも得意でして、トモローにイライラすると「こんなアホな子の親の顔が見たい!って私だよ~!」は、家でもよくやってます。「やってて良いのね」と勝手にお墨付き頂いて嬉しがってました。

という自分に都合の良い話は置いといて、身につまされたのは、ドストエフスキーの言葉「わたしが恐れるのはただひとつ、わたしがわたしの苦悩に値しない人間になることだ」を引いて述べられる

生きることを意味あるものにする可能性は、自分のありようががんじがらめに制限されるなかでどのような覚悟をするかという、まさにその一点にかかっていた。

には、後頭部をバーンと叩かれたような衝撃でした。要するにどんなに苦しい環境を運命付けられたとしても、覚悟を持って受け入れ、そこから何かを見出だせる人間が生きるに値する、と言うことなのか。

まっとうに苦しむことは、それだけでもう精神的になにごとかをなしとげることだ・・・・

およそ生きることにそのものに意味があるとすれば、苦しむことにも意味があるはずだ・・・・

人間は苦しみと向きあい、この苦しみにみちた運命とともに全宇宙にたった一度、そしてふたつとないあり方で存在しているのだという意識にまで到達しなければならない。

この運命を引き当てたその人自身がこの苦しみを引きうけることに、ふたつとないなにかをなしとげるたった一度の可能性はあるのだ。


この辺りはまるでヨギーの教えを読んでいるみたいです。ヨガの八支則の2つ目「ニヤマ=勧戒」の中には、苦行(タパス)がありますから。まあ簡単に言えば「何でオイラがこんな目に?」と運命を呪ったところで何にもならん。与えらえた苦しみを苦しみぬくことに、意味をもたせられるかどうかは自分次第、ってことなのでしょう。

先述の佐々木氏はエッセイの中で、「ヴィクトール・フランクルの苦しみに比べたら私のなんか屁みたいなもの」と書かれておりましたが、いえいえ佐々木氏の苦労に比べたら私なんかクソみたいなものかもしれません。

さて、も一つ気になったところと言うか、最も考えさせられたのは、収容所から解放された後の心理でして、著者が一番心を痛めていた部分と思われます。

未成熟な人間がこの心理学的な段階で、相変わらず権力や暴力といった枠組みにとらわれた心的態度を見せることがしばしば観察された。そういう人びとは、今や解放された者として、今度は自分が力と自由を意のままに、とことんためらいもなく行使していいのだと履き違えるのだ。こうした幼稚な人間にとっては、旧来の枠組みの符合が変っただけであって、マイナスがプラスになっただけ、つまり、権力、暴力、恣意、不正の客体だった彼らが、それらの主体になっただけなのだ。この人たちはあいかわらず経験に縛られていた。

不正を働く権利のある者などいない、たとえ不正を働かれた者であっても例外ではないのだというあたりまえの常識に、こうした人間を立ちもどらせるには時間がかかる。


もう、お分かりの方もいるでしょう。イスラエルが中東で繰り返している戦争に、著者はとても心を痛めていたそうです。あとがきを読んでて気が付きましたが、この本にはドイツやユダヤという言葉は余り出てきません。それは、ユダヤ人だけでなくロマ(ジプシー)や同性愛者、共産主義者、障害者なども収容されていたためもあるのでしょうが、ドイツ人=加害者、ユダヤ人=被害者の単純な図式にしたくなかったのでしょうね。実際、本書には同じユダヤ人で仲間であるはずの班長よりも、優しかった所長(ドイツ人、親衛隊員)の話が出てきました。

収容所の監督者の中にも役割から逸脱するものがいた・・・・彼は親衛隊員だった・・・こっそりポケットマネーからかなりの額を出して、被収容者のために近くの町の薬局から、薬品を買ってこさせていた。

この親衛隊員をアメリカ軍に引き渡す際、被収容者たちは彼を守るために、「この男の髪一本たりともふれないという条件のもとでしか引き渡さない」と庇ったそうです。

一方で同じ被収容者でありながら、親衛隊員よりもずっと厳しい班長もいた。先の親衛隊員の所長は、一度として人に手をあげたことはなかったが、その班長は時と場所、手段を選ばず手当たり次第に殴っていたと。

戦後に「ナチスに協力したユダヤ人」について言及した哲学者、ハンナ・アーレントが厳しく糾弾されたりしたのですが、結局「ドイツ人=悪、ユダヤ人=善と二極化してしまったら、ユダヤ人を劣等民族としたヒトラーを同じことになってしまうのではないか、それが「客体から主体に入れかわっただけ」ということなのでしょう。そこから抜け出すための、客観的考察の重要性を訴えていたのかもしれません。

本書は、重労働による疲労に飢え、不衛生、腸チフスなどの病気といった苦痛に対し、悲しみ、不安、恐怖、絶望、と言った負の感情が束になって人間に襲いかかる中でも、「人間は環境に慣れる」し、どんな状況でも「ユーモアや芸術と親しめる」し、「希望を見いだせる」人間達を描いています。先の佐々木常夫氏と同様に、私もこの本から力を貰いました。これは是非レンタルでなく、一冊家に置いて欲しいですね。何かあった時、ページを捲る日が来るかもしれませんし。


お読み頂きありがとうございました。
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タグ: ヨガ

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Comment
ロマン・ポランスキーの映画、「戦場のピアニスト」を思い起こすようなお話ニダね。実話を元に映画化した作品でしたが、あの映画にも、戦時にもにも拘らず、まともな感性を持ち続けたナチスの将校が出てきて、主人公を助けまスミダね。

そういう人もいたのに、ナチス=悪(加害者)、ユダヤ人=善(被害者)と二極化するのは良くないし、ユダヤ人の著者がそれを冷静に深い洞察力で上手く描き出してるってのがこの本の良いところなんでしょうね。海外に住んでると中々、日本の本を買えないニダが、読みたくなる本でスミダ。
Mansikka様こんしお~!

> ロマン・ポランスキーの映画、「戦場のピアニスト」を思い起こすようなお話ニダね。実話を元に映画化した作品でしたが、あの映画にも、戦時にもにも拘らず、まともな感性を持ち続けたナチスの将校が出てきて、主人公を助けまスミダね。
そうでしたね。私も戦場のピアニスト見ますたわ。全体主義の中でも自分で思考して、善悪の判断をすることは、いつの時代でも大切ですに。

> そういう人もいたのに、ナチス=悪(加害者)、ユダヤ人=善(被害者)と二極化するのは良くないし、ユダヤ人の著者がそれを冷静に深い洞察力で上手く描き出してるってのがこの本の良いところなんでしょうね。海外に住んでると中々、日本の本を買えないニダが、読みたくなる本でスミダ。
中東戦争の悪化する中で、著者はイスラエルがナチスドイツと同じ民族主義に陥るのを、心配したんでせう。


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