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yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2014/12/25 14:31 yuccalina

『主任警部モース』~文学的香りに、ダニー・ボイルの味付け

クリスマスに相応しい話題かどうかは分かりませんが、久しぶりにイギリスのミステリードラマを紹介します。ミステリー小説を全然読まない私は、知らなかったのですが、コリン・デクスターの原作からして有名らしい『主任警部モース』です。

主任警部モース/Inspector Morse the Complete Series 1-12 DVD-BOX(33エピソード収録)[PAL-UK][英字幕]主任警部モース/Inspector Morse the Complete Series 1-12 DVD-BOX(33エピソード収録)[PAL-UK][英字幕]
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ジョン・ソウ、ケヴィン・ウェイトリー 他

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詳しい内容は下記、CSチャンネルのAXNミステリー公式サイトをご覧いただくとして、

主任警部モース~AXNミステリー

今回紹介したいのは、その中のエピソードの一つ第25話「ケルビムとセラフィム」。思いっ切りネタバレ記事にしますので宜しくお願いします。タイトルからして何のこっちゃ分からなかったのですが、ケルビム=智天使、セラフィム=織天使と、どちらも天使のことみたいです。ちょっと宗教がかった内容とも言えるのですが、表向きは若者のドラッグ問題で、製薬会社の研究者コリアーが絡んでいます。彼が開発した向精神薬がセラフィム。一方、若者がたむろするクラブの名前が「エンジェルハウス」等の隠喩もあり。コリアーは未認可のセラフィムを、レイヴパーティーに集まった若者達にバラまいて、人体実験的なことをしてしまいます。

そのパーティーでセラフィムを摂取した若者の内3人が、自殺をしてしまい、その内の一人がモース警部の姪でした。異母妹の娘であり、複雑な家族関係を部下のルイスに打ち明けるシーンも見所の一つ。モースはオックスフォード大学出のインテリ警部で、文学に造詣深くクロスワードパズルが得意で、クラッシック好き(特にオペラ )で酒好き。愛車はジャガー、と言うのが基本情報ですが、エピソード毎に、その過去や人間関係が明かされていくからです。

『主任警部モース』はオックスフォードが舞台ということで、全編を通して常に文学の香りするのも特徴なんですが、実は、この回がその中でもちょっと変わり種かと思って、取り上げてみました。

それはオルダス・ハクスリーでして、以前、サイケデリックロックの話でちょっと言及したと思うんですが、ドアーズのバンド名の元となった『知覚の扉』の作者です。モースがその『知覚の扉』について話すシーンが出てきて、おおっ、モースってばあんな本も読んでるんかー?とちょっと感動してしまった私。

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こちらは、遺体から薬の特定が出来ない成分が出て、検死医とモース、ルイスの3人が話すシーンです。

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モースも知覚の扉を読んでいたのは、60年代に青春を送っていた設定だからなんでしょうが、やはりローリング・ストーンズはお気に召さなかったようで、ドラッグとは距離を置いていたと、あくまでもサイケデリックカルチャーを冷めた目で淡々と語ります。ハクスリーが「天国へ行けると思ってLSDを射たせた」と言うのが宗教と繋がってる訳ですね。

で、そのセラフィムはコリアー曰く、「人に幸福感を与える薬だから、危険な筈がない!」と主張するのですが、モースは最終的にこう理解したのです。薬によって幸福感を得た若者達は、この世のすべてを見たと感じ、これ以上生きる必要がないと思ったのかもしれない。

エピソードの冒頭で、ドラッグ体験したモースの姪マリリンが、陶酔したように「世界のすべてを見た」と語るシーンの意味が、この時分かって、ゾッとしてしまいました。

人間の精神とはまだまだ謎に満ちていて、パーティーに参加した大多数には現れなくとも、その3人を死に向かわせてしまったと言うことです。コリアーはレイヴパーティーの会場であえなく御用となるエンディングでしたが、中々重たいテーマで、スッキリとはしませんでしたね。

この「ケルビムとセラフィム」が最初に放送されたのが1992年だそうですから、当時のイギリスはまだレイヴブームの只中。私は80年代後半から、サイケデリックリバイバルがあったのをよく覚えていて、もっぱら60年代の音楽を聴いていたのですが、ハッピーマンデーズで既に音楽的魅力を全く感じていなかった為、あの手の音楽には全く疎いです。ドラマを見いても、音楽も踊る若者達の姿にも、全然懐かしさはありませんでした。それは、かつてマイケル・ウインターボトム監督の『24アワーズ・パーティー・ピープル』を見た時も同様でした。

なので、レイヴについてはよく分からないことばかりだったんですけど、音楽のタイプは違っても、60年代のサイケデリックブームと似たようなとこあったんでしょうね。宗教とかオカルト的臭いがつきまとうのは、時代が下っても変わらないものですね。

と言ったところで、私がこの「ケルビムとセラフィム」が気になって理由をもう一つ。それは監督がダニー・ボイルだったからなんです。そう言えば彼の出世作、ユアン・マクレガー主演の『トレインスポッティング』もドラッグがテーマの映画でした。このエピソードには暴力的なシーンは殆ど出てこないのですが、何となく殴られたような衝撃性を感じるのは、やはりダニー・ボイルのテイストなのか?なんて、思ったのでした。

ちなみに、違法ドラッグを作った研究家コリアーを演じるのは、ハリーポッターシリーズのルシウス・マルフォイ役ジェイソン・アイザックスです。中々豪華なエピソードとも言えますね。

最後にこのモースシリーズですが、主演のジョン・ソウが癌でなくなった後、部下のルイスを主役に、『ルイス警部』シリーズが始まりました。

オックスフォードミステリー ルイス警部~AXNミステリー

俳優を変えて新しいモースシリーズにしなかったのは、ジョン・ソウ以外の俳優は考えられなかった、という事なんでしょうね。こういうパターンはイギリスのドラマでは結構多いのかしら?かつて紹介した『刑事タガート』も主演のジョン・マクナマスが他界した後、タイトルはそのままで、タガート抜きで続いたり、『バーナビー警部』はジョン・ネトルズが辞めた後、先代のバーナビー警部の従弟という設定で、新・バーナビーがスタートしました。余りにも親しまれたキャラクターだと、俳優が代えることはあまりしないのかもしれませんね。

ルイス警部は相棒のハサウェイが神学校出身のちょっと変わったタイプで、一見冷たそうなのに実は良い奴、というのも中々良い感じ。また別の機会に紹介したいなと思います。


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タグ: イギリス

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Comment
おはようございます。
私もトランス、レイヴ系は苦手です。
ついでにユーロビートも。
機械的で何か暴力的にも感じます。
抹茶アイスさんへ

> 私もトランス、レイヴ系は苦手です。
> ついでにユーロビートも。
> 機械的で何か暴力的にも感じます。


分かります。あまりに規則的なビートって、何か神経に触るんでしょうね。


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  • posted by 海外ドラマ新番組情報
  • 2016/09/30 18:46
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