プロフィール

yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


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2012/09/25 14:20 yuccalina

鈴木常吉さんのこと~「深夜食堂」は知らなかったけれど

ここんとこ、回顧録的な音楽エントリーが続いております。最近はひとつの事から次々と数珠繋ぎに思い出す事が増えてきたのですが、昔聴いていた音楽を聴き直して、新しい発見があるのもまた楽しいことですね。今回も1990年代、ワールドミュージックが華やかなりし時代の話から入りますが、最近買ったCDの話でもあります。先日、故・篠田正己さんの話を書いていた時のこと、手元に残っていたDMハガキを見ていたら、またある人のことを思い出していました。

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その人の名は鈴木常吉さん。篠田さんが亡くなる前に企画されていた「おこぼれ演奏会」に名を連ねていました。上のハガキのライヴは結局どちらも行けなかったのですが、「つれれこ社中」というグループが気になっていたのでしょうか、コンポステラのDMと一緒に大事にとってありました。子供の頃から物持ちが悪く、何でもすぐ捨ててしまう性分の私が取っておいたのは、とても引っ掛かるものがあったのだと思います。

私が初めて彼の存在を知った時は、まだ鈴木常之と名乗っていました。伝説のバンドオーディション番組「いかすバンド天国」略してイカ天を見ていたなら、イカ天キング、セメントミキサーズのヴォーカリストとして記憶されている人も多いかと思います。

<これって遠藤賢司「東京ワッショイ」へのアンサーソングかな?>


しかし、私は当時この番組は数回しか見たことがなく、バンドの存在を知ったのは、後に彼等のアルバムをプロデュースした、Brave ComboのCarl Finchさんからの手紙でした。Carlとは個人的に交流がありましたので。そのアルバム「笑う身体」を以って、私はセメントミキサーズも好きになりました。日本にこんな楽しいバンドがおったんかーい?と、盛り上がってきた最中、バンド(常吉さんと茂木さんの2人だけだったかな?)はテレビCM(お菓子のだったような)にも登場しました。さらにスターダムを駆け上がるのか?と思ってたら、いつの間にやら解散。私が初めて、そして一度だけ見た常吉さんは、渋谷のクラブクアトロで「セメントラッパーズ」と称しソロライヴを行った時でした。それがちょうど20年前、1992年の1月。因みに半券を見てみたら、当時はまだ常之の名前でしたね。

正直な話、ライヴのどの曲が良かったとか、細かいことは殆ど覚えてはいません。ただ、非常に印象深かったのは、ステージがとても身近に感じられたことです。客に聴かせてやるぜと言うよりも、一緒に音楽を楽しもうという感じ。そして、よく覚えているのは曲間のMCで、「CMのギャラはアブク銭だから、アブクに使おうと思ってソープに行きました」とかゆーお話をしていた事です。しょーもないこと覚えてんなー、と思われるかもしれませんが、その話が本当かどうかは別にどうでも良いのです。私はその「しょせんは泡銭」と言ってしまう感覚にとても好感を抱いたのだと思います。後に自分がヨガを始めて再認識したことでもありますが、過去に囚われずに今を生きるとか、諸行無常を受け入れる清々しさを感じたのかもしれません。

、思い出話が長くなりましたが、そんなことを思い出しながら、YouTubeで「鈴木常吉」を検索、エンター!してみたら、出ましたー。しかも、結構最近の映像ですね。私はドラマを殆ど見ないので、「深夜食堂」も知らなかったのですが、挿入歌の「思ひで」(ファーストアルバム「ぜいご」に収録)、とても良いです。アイルランド民謡のカバーですが、しっかりとニッポンの味がします。常吉さんの歌声は、ぶっきら棒なようでいて透明感があります。強いて例えれば、俳優の森本レオさんのような、聞く人に安心感を与える声質だと思います。心の琴線に触れる、実に味わい深い響きを持っていますね。深夜に聴いたら涙が出ちゃうかもしれませんが、幸か不幸か私は夜更かしが苦手なので、今んとこはまだ泣いておりません。そして、ソロアルバムが2枚も出ていたのでした。どちらも、元コンポステラ、現ストラーダの、中尾勘二さんと関島岳郎さんが参加しています。

ぜいごぜいご
(2010/12/26)
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望郷望郷
(2010/10/24)
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<2010年6月27日「飯田ふぉの」での演奏>


私はロックとの出会いをキッカケに、様々な音楽を聴くようになって既に35年がたちます。一時は息子のことで頭が一杯で、あまり聴いてない時期もありましたが、ここ数年一息ついて再び意欲的に聴くようになったこの時期に、常吉さんの名前を思い出したのにも、何か縁を感じている私ですが、最近になってやっと自分が求めているものが分かってきました。結局のところ人間を感じたいのだなー、と。音楽を聴くのも、お笑いを見るのも、映画も本も、人間を求めてるんだなー。私にとっては、ピナ・バウシュの踊りに心を揺さぶられるのも、お笑いで腹筋が揺さぶられるのも同等なのです。

ここで、話はさらに外れてちょっくらアーユルヴェーダの話をしましょう。この古来インドに伝わる生命の智恵(アーユス=生命、ヴェーダ=智恵・科学)において、自然は5つの要素から出来ていて、人間も自然の一部として同様にその五大元素でなりたっているとされています。それは、地・水・火・風・空(くう)。更に、それぞれを簡単に説明すれば、

地=骨や筋肉などの土台。形を構成し、重さや固さを作る。耐久力。
水=体液、汗、涙、血液。下に向かって流れる。なじむ力、柔軟性。
火=熱、体温、代謝、分泌、変化。消化力。
風=呼吸、渇き、動き、分散する。敏捷性。発想力。
空(くう)=腹腔、胸腔などの空間、可能性。

人間は皆、この五大元素から成り立ち、それらは活動の源でもあります。皆同じものを持っていますが、各々の比率が違う、個性とはそういう事です。例えば、火か多い人は活動的で情熱家だけど怒りっぽかったり、風が多い人は落ち着きがないけれど発想力が高いとか、地の多い人は安定感はあるが頑固だったり、それら5つが微妙にバランスしながら、人各々の体質と性格を形成し、それによって活動内容も違ってくるのです。以前「ホンマでっかTV」の中で、おおたわ史絵先生が「人間なんて大体がタンパク質と電気信号で出来てるんです」と発言して、明石家さんまやブラックマヨネーズの面々が「そんな言い方やめて~!」とクレームしてましたが、私的には、そのタンパク質や電気信号も上の五大元素で出来てると思えば、納得出来なくもないですね。その5つから出来てるという事は、非常に科学的でありながらも、情緒的にも捉えられるところが良いなと思います。

さて、何故こんな話を長々したのかと言うと、又吉直樹の「面白くない本なんてない、それは受けとる側の問題」発言(@アメトーク・読書芸人)の妥当性を示したかったからです。この又吉の言葉を、私はこれまでに何回引用したか分からないですが、上の五大元素の割合(=個性)によって、人が欲するものは各々であること。そして人によって生み出された本も、各々別の比率で同じ五大元素によって成り立っている。また人は経験を積み、年を取ることでそれらの割合に変化が生まれる。等々と言ったことを総合すれば、この世につまらない本など、存在しないのです。

とかゆー、論理を私はそのまま音楽に当てはめることが出来ます。20代後半で出会ったトランシルヴァニアのロマ音楽と踊りに、何故あれほど惹き付けられたのか。多分その中に人間の悲喜こもごもが込められていて、それらを受け取れる要素が私にあったと言うことのかな?と、うっすら理解し始めたこのタイミングで、20年振りに聴いたコンポステラが、何と心地良かったことでしょうか。時の流れが私の感覚に変化をもたらしたのでしょう。年を重ねて、増えた要素に「空」があります。若い頃は音がギッシリ詰まった派手なロックを好んだものですが、段々とブルーズの良さが分かるようになりました。装飾過多な服よりも、シンプルなものに袖を通したり、奇をてらった一発ギャグよりも、大阪のオッチャンを描く中川家の漫才が好きになったり、空間を感じるものが好きになるのは、それを自分で埋める楽しさが分かってきたからかもしれません。

鈴木常吉さんの音楽は、セメントミキサーズのそれよりも、より「空」を感じます。それは勿論、どちらが良い悪いの話ではありません。話があちこち迷子になってましたが、ここでやっと本筋に戻ってきました。と、安心させといて、ちょっとだけ再び外れますよ。「空」の概念は仏教の基礎になっていますが、詳しく知りたい人は是非とも笑い飯・哲夫さんの「えてこでも分かる般若心経」(紹介記事はこちら)を読みませう。「空」を簡単に説明しちゃいかんよなと思いつつも、「所詮この世は夢幻よ。だからこそ、一瞬一瞬を生きるのさ」みたいなもんと私は思っています。それはロマの音楽や踊りにも通じていますが、それを踏まえて聴いたとき、常吉さんの音楽にある寂寥感の中に、小さな炎が透けて見えるのでした。それはしっかりした、温もりが伝わってくる火のエネルギーなのです。

何やら観念的な話ばかりダラダラ書いてしまいました。ここまでで「思ひで」が良い!くらいしか常吉さんの音楽の事を書いてないですが、私には音楽的説明なぞ出来ません。私は私の中にあるものしか出すことは出来ないのですから。という訳でここは、お気に入りの曲をいくつか紹介して、あとは受けとる人の感性にまかせるだけです。私が受け取る音楽と、皆さんが受けとるそれとは必ずしも同じではないのです。

「望郷」に収録されている「トリちゃんの夢」はCDではスティールギターやリコーダー等でほんわかした音作りなのですが、こちらのシャンソンを思わせるアコーディオンでの弾き語りも良い雰囲気ですね。呟きっぷりがハマっています。

<2010年6月26日「犬山ふう」での演奏>


アコーディオンの弾き語りと言えば、私は須山公美子さんという大好きな歌い手さんがいるのですが、彼女についてはいずれまたの機会に書きたいと思います。アコーディオンと言えば、以前フランスのミュゼットのアルバムを紹介したことがありますが、シャンソン歌手はある物語を音楽に乗せて歌う「語り部」みたいなもの?と私は常々思っています。その語りを引き立てながら交わって行く音として、アコーディオンはギターに勝るとも劣らない、雄弁な楽器だと思います。常吉さんの弾くアコーディオンが歌と結びついて、ギターのそれとはまたちょっと違った世界が生まれる様子が、またハートに届いてきましたよ。

もう1曲は再び「ぜいご」から「石」です。下の動画は音響の状態がイマイチで聴き辛いかもしれませんが、お客さんの手拍子や歌声と混じりあう感じが、その場の空気を伝えてくれます。憂いを帯びた曲調はクレズマーを思わせますね。

鈴木常吉「望郷」九州ツアー(福岡編)>


ところで、私はYouTubeで常吉さんの動画を見ながら、「何だか高田渡さんっぽいなあー」と思っていたのですが、「望郷」のライナーノーツによれば、実際生前に交流があったそうです。そして、今回CDはAmazonでなく、鈴木常吉さんのホームページから直接購入したのですが、オマケで付けてさったシングルは、渡さんの「ヘイヘイブルース」のカバーでした。

<オマケで頂いたボーナスCDとサイン入り譜面>
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そうそう、CDを購入するのでしたら是非とも、下記ホームページにある「シャボン玉レコード」から買ってくださいね。
鈴木常吉さんのホームページ

現在、「ぜいご」「望郷」をまとめて買うと4200円に割引(銀行振込で手数料はかかりますが)の上、上記ボーナスCDとサイン入り「思ひで」の譜面を付けて貰えます。しかし、何よりも嬉しかったのは、申し込み時に書き添えた私のメッセージに対し、常吉さん本人からのお返事が返信メールに書き込まれていたことです。若しも彼の曲を聴いて、本人に直接伝えたいことがあったのなら、あなたの言葉を送ってみてはいかがでしょうか。

最後に、先日ロマの民謡Ederleziの記事で、日本のアーティストにカバーして欲しいなー、と書きましたが、常吉さんが歌ったら凄い事になりそうだなー、と勝手に想像してはほくそ笑んでいる私です。今回はアルバムの収録曲についての話を殆どしていませんが、今後、折を見てボチボチ紹介していきたいと思っております。


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タグ: 鈴木常吉 ワールドミュージック ブレイヴコンボ ロマ クレズマー ヨガ アーユルヴェーダ 又吉直樹

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