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yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


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2012/09/19 08:15 yuccalina

耳に残るメロディ「Edelezi(エデレズィ)」‐映画「ジプシーのとき」より

今回の音楽ネタも、マニアックなものになりそうですが、どんなジャンルであれ音楽が好きな方に、一度聴いて頂きたい曲のお話です。音楽を好きになるにも、色んなパターンがありますよね。何度も聴いているうちに好きになるのもあれば、一度耳にしただけで、心を奪われて頭から離れなくなったり。今回はそんな一度で取り憑かれてしまった曲のお話です。タイトルは「Ederlezi=エデレズィ」。バルカン半島を中心としたロマ(ジプシー)の民謡だそうです。この曲が有名になったのは、1988年エミール・クストリッツァ監督のユーゴスラビア(=当時)映画「ジプシーのとき」で使用されたのがキッカケです。純朴なロマの少年ペルハンが、ヤクザの舎弟になってしまい身を滅ぼす、ストーリー自体は然程複雑ではありませんが、ロマの音楽がふんだんに盛り込まれ、ペルハンは祖母譲りの超能力を持っていたり、とてもミステリアスな雰囲気を醸し出しています。私は1991年、神保町の岩波ホールでこの映画を見て虜になりました。ワールドミュージックにハマったり、トランシルヴァニアの音楽と踊りに夢中になったのも、この映画との出会いと無関係でないと思います。

ここで、先にお断りしておきますが、この記事では、日本語での紹介が見つからず、正確な発音が不明な固有名詞は全て、ローマ字表記にします。

まずは基本情報として、エデレズィとは春の到来を祝う「聖ジョルジュ祭」を意味するロマ語。キリスト教由来ですが、聖ジョルジュ(英語だとジョージですね)は、宗教を越えた聖人でもあり、トルコでも祭は行われている様です。一説によると、カッパドキアの出身だとか、ベイルートの近海でドラゴンを退治した伝説もあるとか。因みにグルジア共和国は、聖ジョルジュの名前をそのまま頂いた国です。なお、お祭りの詳細については、機会があればいつか補足したいと思いますので、今回は割愛します。

まずは、その映画「ジプシーのとき」からの動画をご覧ください。川辺で松明を手に夜明けを待ってる人々が写し出されています。ある村での祭の模様です。夜明けを春になぞっているのでしょうか。アーユルヴェーダでも朝と春は同じ性質とされていますが、人間が根源的に持っている意識なのかもしれませんが、ヴィジュアル的に春っぽいカラフルさが無いのが、逆に神秘的に感じられます。



ロマ語の歌詞の内容は、字幕に英訳がある通り、

友達が皆でオロ(バルカンの踊りの名)を踊っているよ
オロを踊っているよ
お祝いの日
全てのロマのお母さん
お父さん
エデレズィ
全てのロマのお母さん



とてもシンプルで、特にドラマティックな内容ではありませんが、とにかくこの憂いを持ったメロディに、私はハートを鷲掴みにされました。楽しいはずのお祭りの歌なのに、何故悲しげな曲調なのだろうか?というのも、想像を掻き立てられるところです。編曲をしたのはセルビアの音楽家ゴラン・ブレゴビッチで、これから紹介する様々なバージョンのベースとなっているようです。もしかしたら映画以前の古い音源はないかと、YouTubeを検索してみたのですが、残念ながら見つかりませんでした。

今回このロマ語の歌詞と英訳を見て気が付いたのですが、やはりロマがインド起源と言うのは言語の類似もあるんですね。ヒンディ語と似ています。とか言って、私もヒンディは映画見たさにかじった程度なんですが、、。

例えば、「私の」にあたるロマ語meはヒンディ語のmeraに相当し、以下「すべての」sa→sab、「日」dive→din、また「踊る」を意味するロマ語kerenaに似た単語で、khelnaa「遊ぶ」というのがヒンディにあります。まー、ヒンディの元になってるサンスクリット語からして、ギリシャ・ラテン語系なので、類似点があるのは当たり前かもしれませんが、、。

と、にわか言語学的な話(間違いがあったら是非ご指摘ください)はこれくらいにしましょう。私はもしやこの曲のインドバージョンはないかと探してみて、残念ながら見つかりませんでしたが、ここからは別バージョンを紹介して行きましょう。ゴラン・ブレゴビッチは元々ユーゴスラヴィアのハードロックバンドBijelo Dugmeのギタリストでしたが、そのバンドのアルバムでもセルボ・クロアチア語のオリジナルの歌詞を付け「Djurdjevdan」(セルボ・クロアチア語で聖ジョルジュ祭のこと)として、レコーディングしています。発表が1988年末と、映画とほぼ同時期なので、同時進行で製作されたのかもしれませんね。



春が私の肩に下りてきた
スズランが花開く
皆の為に、私以外の


因みに、ハンガリーのジャニス・ジョプリンと呼ばれるハスキーヴォイスの歌姫Ruzsa Mudgiはこの「Djurdjevdan」をハンガリー語に翻訳しレパートリーにしている様です。「Djurdjevdan」は、ややロックテイストですね。演奏も歌唱も、力強いものがあります。

また、バルカン諸国では、他にブルガリア語、ギリシャ語、トルコ語と、それぞれ歌詞がありますが、内容はセルボ・クロアチア版と似たり寄ったりです。各言語の歌詞はWikipedia(英語版)に英訳と並べて紹介されていますので、興味のある方は下記のリンクをご覧ください。
Ederlezi(Song)-Wikipedia

さて、YouTubeを見るだけでも、山ほどあるカバーの中から、今回どれを選ぶのかは中々大変でした。ちょっと良いなと思って再生リストに保存してたら、あっという間に30曲を超えてしまいましたから。選択の基準としたのは、演者独自の世界感を持ちつつも、歌の魅力を損なっていない、と(あくまで)私が感じたものです。

と言うわけで次は、ギリシャ語版とロマ語版ミックスのもので、トルコのテレビで放送された映像から。歌っているギリシャの女性歌手Areti Ketimaは私の大好きなハンマーダルシマーという弦打楽器を演奏してるのに惹かれました。また、その歌声はちょっと掠れていて、レバノンのファイルーズを(動画紹介記事はこちら)思わせます。後半ロマ語で歌うDilek Kocはトルコの方らしいですが、二人ともアラブ音楽に通じるコブシが感じられます。



コブシと言えば、もっと顕著なカバーがありました。マケドニアの男性ヴォーカリストTose Proeski(1981~2007)。いきなりミラーボールが映し出され、前時代的映像ですが、これなら日本の演歌歌手が歌っても良いんじゃないか、という可能性を感じる歌い回しです。日本版を作るなら、バックに津軽三味線を入れたらきっとカッコいいんじゃないかしら、と勝手に妄想してしまいました。

<途中から入ってくるヒゲの男性がToseです>


次に、インドが無ければ、エデレズィの最南端はどこなのか?アラブ圏でのカバーはあるのか?と探してみたところ、ペルシャ音楽の男女デュオMehr Ensembleを発見。但し、イランでなくオーストラリア在住の様です。伴奏なしで男女のヴォーカルのみ。歌い回しが演歌のコブシを超えて、お祈りの様に聴こえてくるのが、また心地良いですが、途中眠くなる可能性はあります。ペルシャ語で歌っているのか?何を歌っているのか?分かる人がいたら教えてください。



お次の動画は男性デュオPopeさんとLuchoさん。動画主がスペインの方なのですが、彼等がスペイン人なのかは不明です。名前はそれっぽいのですが、、。場所はブルガリアのキュステンディル、2007年6月撮影。これしか情報がありません。CDを出してるプロではなさそうですが、どこかの店かはたまたホームパーティーなのでしょうか。リラックスした雰囲気の、ギターとアコーディオンによるシンプルな演奏です。主旋律がところどころで低くなるアレンジは(先のAreti Ketimaと同様)バルカン風ですが、男性の声とマッチして、渋い雰囲気ですね。ちょっとやさぐれた感じが好きです。また、右のアコーディオンの方はいかにもロマっぽいルックスですね。



そして、スペインからもう1本。こちらはネットでプロフィールが見つかりました。クレズマーのデュオBarrunto Bellota Bandです。ヴァイオリンのハビエル・ヒメネス・ロロ、アコーディオンのペドロ・ロペのコンビで、ミニマルミュージックやプログレッシヴロック的要素も持った方達だそうです。



実を言うと、クレズマーは今回どうしても取り上げておきたかったのです。イディッシュ語を母語とする東欧のユダヤ人が伝承してきた音楽ですが、1990年代にリヴァイバルし、演奏者はヨーロッパ全域に広まっている様ですね。日本で一番有名なクレズマーの曲は、学校でも習う「ドナ・ドナ」でしょうか。また、ミュージカル「屋根の上のヴァイオリン弾き」はクレズマー音楽家のお話です。日本では、先日ファンクの記事で紹介したじゃがたらにサックスで参加していた故・篠田正己さんが、自身のソロアルバムやコンポステラというトリオでクレズマーを取り上げていました。やはりそれも90年代のことなのですが、篠田正己さんについては後日改めて書きたいと思います。で、クレズマーとロマの音楽は、イディッシュ語とロマ語という違いを除けば、両者の間でハッキリした区別が出来ない程、とても深く関わってきた様です。ですから、これまで紹介してきバージョンでも、クレズマーの影響がある可能性はゼロではないわけです。と言うか、もうヨーロッパ全体で各々の土地に伝わる民謡が、ロマとユダヤ人によって広められたりミックスされたと言って良いのかもしれません。その中できっと、ロマとユダヤの音楽家が直接関わり合って、互いへの影響があったのでは?と想像するだけで、何だかワクワクしてしまいます。

と、クレズマー談義が長くなってしまいましたが、残念ながらイディッシュ語バージョンは見つからず、こちらのBarranto Bellotaはインストゥルメンタルです。動画は川辺で夜明け前に撮影されたようですが、鳥の声や水音は、編集かライヴなのかちょっと分かりませんね。しかし、春を思わせる花などの映像で飾っていて、とても癒される作りになっており、ヴァイオリンとアコーディオンでのスローで丁寧な演奏とマッチしていると思います。この曲を自然讃歌として捉えているのかな?と想像してしまいました。

と言ったところで、今回紹介出来なかったカバー曲にも、素晴らしいものがまだまだ沢山あります。興味のある方は是非YouTubeで探してみて下さい。しかし、日本でカバーしてる人っていないんですかね?先ほどもちょっと書きましたが、演歌版は勿論のこと、吉田兄弟の津軽三味線インストゥルメンタル版とか、三線と沖縄の女性コーラス(ネーネーズみたいな)版とか、姫神の「神々の詩」風アレンジとか、想像しただけで楽しいんですけどねー。そうそう、かつて人から聞いた話なのですが、ロマにはツィガンという呼び方があり、サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」とかフランスのタバコの名前にもなっている「ジタン」もその系列なのですが、日本のツガルもツィガンから来た名前じゃなかろうか?という説があるそうですね。作家の五木寛之さんだったでしょうか?まー、「やりすぎ都市伝説」によれば、ユダヤ人は紀元前に日本にやってきてたそうですし、日本の歴史の中で、ロマがツガルに流れ着いててもおかしくないかも。この手の妄想を始めると止まらなくなるので、今日はこの辺にしておきましょう。


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タグ: ロマ トランシルヴァニア 東欧 ワールドミュージック クレズマー インド 東北

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Comment
ごぶさたしてます。ロマと言えば私はジプシーキングスくらいしか知らないのですがorz、クレズマーってジョン・ゾーンがマサダというユニットでやってましたね。音楽って、ぜんぜん関係ないと思ってたのが根っこでつながってることがあるからおもしろいです。
こんにちは、
Ederleziと聞いても分からなかったのですが、
「ジプシーのとき」のテーマ曲ですね。
私もこの場面を見て鳥肌が立つのを覚えました。
クストリツァの映画でも、一番好きです。
このたいまつの様子は、本当の習慣なのでしょうか?ガンジス川を思わせるような風景で、映画のために作った設定のようにも見えました。

ロマとユダヤ人の接点は、歴史的にあったとはあまり思えませんが、音楽家なら何かしら別の民族の音楽を弾くということもあったのかもしれませんね。Szaszcsavasでも、ジプシー楽団はハンガリー、ルーマニア、ザクセンの音楽などさまざまなレパートリーを持っていたようです。さまざまな民族の接点があるところは、文化も豊かになるような気がします。

ハンガリーのクレズマーならDi Naye Kapelyeを旦那が勧めていました。ご存知でしょうか。
http://www.youtube.com/watch?v=BZ0I_foOF0U
1652-4608-9761
抹茶アイスさん、
ありましたね~、John ZornのMasadaって私もちょっと気にはなってました。Guy Kulcevekなんかと同じラインなんでしょうか。今度YouTubeで見て見ますね。
聖子さんコメントありがとうございます。

> このたいまつの様子は、本当の習慣なのでしょうか?ガンジス川を思わせるような風景で、映画のために作った設定のようにも見えました。

すみません。「祭りの様子です」とか安易に書いちゃいましたが、本当の習慣なのかは確認取ってません。確かにガンジスでの沐浴を思わせますので、あえてインドを連想させる演出ってこともありえますね。クストリッツァ監督自身はロマの血を引いているそうですが、、。それと、私はセルビアは行ったことないのですが、5月で川に入るのは寒くないのかな、とちょっと不思議に思ってはいました。

> ハンガリーのクレズマーならDi Naye Kapelyeを旦那が勧めていました。ご存知でしょうか。
> http://www.youtube.com/watch?v=BZ0I_foOF0U
> 1652-4608-9761

知りませんでした。早速、同アルバムのその他の曲共々聴いてみました。ロシアやブルガリアなど色んなダンスの曲を演奏しているんですね。ありがとうございます。また、素敵な音楽がありましたら教えてくださいね。

ユッカリーナ様 こんばんは。初めまして。
エデレズィについて調べていたらこのページに辿り着きました。
私も昔 岩波ホールで「ジプシーのとき」を観て、
素晴らしい音楽に心を打たれました。
カヴァーをたくさんご紹介してくださってありがとうございます。
文章もおもしろくて、勉強になりました。
ツィガン→津軽説というオチにびっくり。
私のブログにリンクを貼らせていただきました。
事後報告お許しください。


芽森ちさとさんへ

> エデレズィについて調べていたらこのページに辿り着きました。
> 私も昔 岩波ホールで「ジプシーのとき」を観て、
> 素晴らしい音楽に心を打たれました。
> カヴァーをたくさんご紹介してくださってありがとうございます。
> 文章もおもしろくて、勉強になりました。
> ツィガン→津軽説というオチにびっくり。
> 私のブログにリンクを貼らせていただきました。
> 事後報告お許しください。


はじめまして!
ご訪問、コメントそしてリンクと、ありがとうございました。
津軽の件は人づてに聞いた話で、ちゃんと裏を取ってないのですが、私はロマと同じビートを感じるんですよね。




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