プロフィール

yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

月別アーカイブ
リンク

ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2011/09/05 08:58 yuccalina

ホルヘ・ルイス・ボルヘス「悪党列伝」ー吉良上野介のお陰さん

先日の記事(こちら)で、私はピースの又吉直樹を、作家ホルヘ・ルイス・ボルヘス(アルゼンチン、1899~1986)に寄せて語ると言う暴挙に及んでしまった。因みに、又吉がボルヘスを愛読してるかどーか、私の知ったことではない。シンプルに好きなものを並べてみたかった、ただそれだけ。で、町田康(記事はこちら)ならまだしも、ボルヘスは飛躍しすぎだろー!と反省する事もなく、今度はボルヘスをお笑いに寄せるという、不埒な悪行三昧するつもりである。ってまー、高尚なボルヘジアン(ボルヘスファン)の皆様は、私ごときのブログなぞ、見るわけないし、大丈夫っしょ?

詩集、小説の他に、幾多のエッセイや公演集を残しているボルヘスの著書で、最も日本人に親しみやすい作品が、エッセイ集「悪党列伝」(晶文社1976年)の中の1つ「吉良上野介―傲慢な式部官長」だと思う。この本の中で、映画「ギャング・オブ・ニューヨーク」の登場人物のモデルにもなっているユダヤ人ギャング、モンク・イーストマンや、数々の映画で描かれたチョー有名ガンマン、ビリー・ザ・キッドことビル・ハリガン等と並んで、世界悪党選抜に選ばれた吉良上野介。

<忠臣蔵は歌舞伎にも、、。錦絵をあしらった表紙>
borges2.jpg


そこで語られるのは、勿論、あの有名な大石内蔵助と赤穂四十七士の仇討ち「忠臣蔵」のストーリーであり、吉良は卑劣な男と評されてはいるものの、ボルヘスは最初に吉良上野介へ感謝の言葉を捧げるのである。


「彼は赤穂の城主に屈辱と死をもたらした横柄な式部官長であり、(中略)潔く切腹することを肯じなかった不幸な役人である」と語りつつも、

「彼は全人類の感謝を受けるに値する。彼はある人々に熱烈な忠誠心をよび醒まし、永遠不滅の壮挙に不可欠の、不吉な事件を用意した張本人なのだから。(中略)この物語は現代の万能芸術、映画にもたびたび取りあげられ、日本映画界の汲めども尽きぬ霊感の源泉」であると。


こういうものの見方が、私は凄く好きなのだ。否定的なものに光を当てたり、見る角度を変えて価値を見出だすのって、実はお笑いには不可欠な要素なんじゃないかしら?「忠臣蔵」が幾多の映画やドラマとなって、「タケチャンマン忠臣蔵」が出来たのも、元を辿れば吉良上野介のお陰さんかー?

と思いっきり力技で話を繋げちまったが、ボルヘスは「政治を必要悪」と言い切った。悪の存在価値を肯定するからこその「悪党列伝」である。かつて独裁者ペロン(かのエヴィータのダンナ)政権の下、言論弾圧を受けて国を追われたことすら、「お陰で文学への情熱を持ち続けることが出来た」と肯定的に捉えられる、寛容な人間が語るからこそ、吉良への感謝にも説得力があるのだ。


さて、ボルヘス関連でもう1つ、私のお気に入りの本を紹介しておこ。

borges1.jpg

アルゼンチンのカウボーイであるガウチョの写真集、「ガウチョ―草原の疾風」(ルネ・ブリ、1994年宝島社刊)に、ボルヘスは序文を捧げている。家庭では英語で会話するお坊っちゃまであり、目が悪く体も弱く、家の中で本ばかり読んでいたホルへ少年にとっても、コンパドリート(ならず者)であるガウチョに憧憬の思いがあった。しかし、それは単に不良に憧れるお坊っちゃまというよりは、自分のルーツへの思いでもある。体は弱くとも、精神的な勇敢さにおいて、アルゼンチン人の自分にガウチョの血脈を感じていた。それは丁度日本におけるサムライの血と、同義と思われる。



その序文から、カッコいいフレーズを拾ってみる。

ガウチョの貧しさには、勇気という名の贅沢があった。

ポンチョに包まれた左腕を楯とし、上向きにひと突きすべくナイフを構え、ガウチョは一対一の決闘をした。

ガウチョが勇気を振るうのは、勇気を示すことそれ自体が目的だからだ。


<大草原パンパを疾駆するガウチョの勇姿>
borges3.jpg


<彼等のガウチョパンツは、今やファッション界の定番アイテムだ>
borges4.jpg


さて、話をお笑いに戻すが、「喋り」を唯一のナイフ(武器)として闘うお笑い芸人達にも、私は尊敬の念を禁じ得ない。彼(&彼女)達の勇敢な姿を見たかったら、やはり劇場でライヴを見るべきだと思う。それが叶わぬなら、生放送のお笑いを見てみて欲しい。今月23日のCー1グランプリがあるが、その前に17日の「サタデーナイトライヴJPN」も見逃さないでー。今回のゲストは泉ピン子だってさ。今や女優として、文春アンケート「嫌いな女」の常連ではあるが、元々は浅草の劇場で下積みした、お笑いの腕も達者なお方である。私は、彼女が「鬼瓦権造」の格好で、ビートたけしと共演したのをよく覚えているわー。
関連記事
スポンサーサイト

タグ: ホルヘ・ルイス・ボルヘス

テーマ:海外小説・翻訳本 - ジャンル:小説・文学

お笑いトリビュート! | ホーム | 選曲から攻める!高橋大輔の新プログラム in 「フレンズ・オン・アイス」
Comment


Trackback
この記事のトラックバックURL
http://notarinotariyoga.blog.fc2.com/tb.php/152-4d5950ff
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
ご訪問ありがとうございます
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
最新トラックバック
ユーザータグ
フリーエリア
RSSリンクの表示
Web page translation
QRコード
QR