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yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


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2016/03/03 14:23 yuccalina

『中東欧音楽の回路』からバレエリュス本2冊

『中東欧音楽の回路』を漸く読み終えました。この本については以前、浅田真央ちゃんの『素敵なあなた』からクレズマーの話をした時(コチラ)と、映画『カルテット!人生のオペラハウス』の記事(コチラ)でも触れていますので、興味のある方は合わせてどうぞ。

中東欧音楽の回路―ロマ・クレズマー・20世紀の前衛(Amazon co.jp. 商品詳細)

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大雑把にいえば、中東欧ロマ(ジプシー)やユダヤ人楽師達の話を中心に、音楽が越境していきながら、様々な民族音楽の要素が混じり合い、またクラッシック音楽、ジャズ、そしてミュージカルに多大なる影響を与えて行ったというお話です。

著者はクラッシックの専門家のようで、私は譜面で説明されても理解出来ないのが申し訳ない、と言う場面も多々ありましたが、興味深いお話の連続であり、最後まで楽しく読むことが出来ました。民族音楽にも造詣が深いようで、ブルガリアのズルナというラッパをフィーチャーした音楽と、武満徹の映画音楽『心中天網島』の類似性を指摘したり、ジョニー・デップの映画『耳に残るは君の歌声』に登場する音楽を、ロマとユダヤ人の越境音楽の歴史として総括していたりもしました。また、シャガールの絵画に見られるユダヤの音楽性の話等は、今後絵を見る時に参考にしたいです。

さて、折角付録でCDが付いてましたので、収録されていた曲を2つ紹介しておこうと思います。まずはルーマニア出身のヴァイオリニストで作曲家、ジョルジュ・エネスクのヴァイオリンソナタです。



クラッシックにはないジプシー音階を使ってるそうで、エネスクがモルドヴァ地方という、ロマ楽師の活動が盛んな地域で育ったことを重ねておりました。

そして1929年にニューヨークで録音されたという『ラビの踊り』。



冒頭でセリフが入ってますが、これもいわゆるイディッシュ語のミュージカルだったのでしょうかね。確か『素敵なあなた』もそこから生まれたヒット曲だったそうですが。

そしてCDには入ってないのですが、ジョルジュ・リゲティ(1923~2006)という現代音楽家については、インタヴューに結構なページを割いてまして、それが中々面白かったんです。彼はルーマニア時代のトランシルヴァニアで生まれた、ハンガリー語を母語とするユダヤ人なのです。リゲティのバックグラウンドそれ自体が越境音楽を現わしいる、ってことでしょうか。プダペシュトの音楽院にいた時代にハンガリー国籍を取得するも、再びルーマニアにやってきてブカレスト民族学研究所で働き始める。トランシルヴァニアの民俗音楽採集を行っていたそうです。伊東氏が持参したというハンガリー語のルーマニア地図を見ながら、話が弾むのには、私もワクワクしました。

・ わたしが生まれたのはディーチェーセントマールトンです。
・ 1949~50年頃トランシルヴァニアの村へ調査に出かけました。
・ 1950年初頭、カロタセグ地方のイナクテルケ、、、現地で聴いたものを採譜したんです。
・ セーク村の民謡はハンガリー民謡的な旋律なのですが、ルネッサンス風の和声を持つ、とても興味深いものです。


イナクテルケやセークと言った村の名前は私にとってとても馴染み深いものがあり、思わず前のめりになりました。特にイナクテルケは数日ですがホームステイをさせて頂いたことがある村です。下の写真は1995年12月に訪れた時のもの。

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ヤギが道を行きかうのどかな風景でありながら、家の屋根にはパラボラアンテナが付いていたりして、そうか、この頃から既にTVから情報いろんな情報が入ってたんだわ、と気が付きました。

と話が脱線しましたが、リゲティはブカレスト民族学研究所時代に採集した民謡のアレンジをし、「イナクテルケの歌」として、発表していたんですね。早速YouTubeでLigeti, Inaktelkeで検索してみました。

しかし、その名を冠した動画は見つからず、結果のトップに出てきたのがこちら。



残念ながらこれが『イナクテルケの歌』なのかどうかは確証がないのですが。もうひとつこちらの動画は、イナクテルケ村でヴァイオリン弾きのお爺さんにインタビューしてる映像に見入るリゲティ。



結構若そうなので、80年代くらいの映像か。お爺さんのお話は多分、ヴァイオリンの音が歓びや悲しみ、主への祈りなどを表現してるとかいう話をしていそうですが、確かではないので分かる方がいたら教えてくださいませ。

そして、トランシルヴァニア絡みでもう一つ、この本のハイライトと言えるのが、著者自身の旅です。1906~1918年、バルトーク・ベラは民族音楽を採集すべく、トランシルヴァニアの村々を訪問するのですが、その旅の一部を約100年後に再現するという試みです。バルトーク・ベラが『豚飼いの角笛』を録音したという、ヨッバージテルケ村を目指します。

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本に載っていた地図によれば、どうやら私もこの辺りをバスで通りすぎたことがあるかもしれません。フォルクロールツアーで、西のマロシュバーシャルヘイと、東のソヴァタを訪れたからです。ソヴァタは確か湖があって泳ぎました。海は近くないですが塩水だったかも?近くにサナトリウムみたいな施設があったと記憶しています。

と、話がそれましたが、そうか、当時は全く知らなかったけど、バルトークもあの辺の村を巡って音楽聴いてたんだ、と想像しながら読んで、大変興奮してしまったと。ちなみにヨッバージテルケ村は殆どがユニテリアン派ばかりの地域にあって、カトリックを信仰してるというのも興味深いです。歴史的な何かがあったんでしょうね。

そして、「バルトークが自分のお爺さんの家に留まった」と言う話は、”実際バルトークの記録と照らし合わせると眉唾もの”というのが、何だか微笑ましかったです。きっと、”昔々偉い音楽家先生がやってきた”のが自慢の村なのでしょう。

と言ったところで、ここから先は次に読む本の話です。この『中東欧音楽の回路』からの流れで決めましたよ。

やっぱり買っちゃった国書刊行会の『バレエリュスその魅力のすべて』(左)と、バレエリュスの花形ダンサーだったタマラ・カルサヴィナの自叙伝『劇場通り』(中)は予定外の購入でした。

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何故にバレエリュスなのかと言いますと、実は後に取っておいたのですが、『中東欧音楽の回路』の中に、ストラヴィンスキー作曲のバレエ『結婚』が登場してたのです。



ストラヴィンスキーはユダヤ系ではないそうですが、著者によればバレエリュスの『結婚』は、ユダヤの結婚式にみられる様式とかなり重なっているらしいんですね。嫁入りする前の新婦が嘆き悲しむ歌とか、道化(バドフン)が登場するとか。実際バレエの動画を見ても、私にはどこがユダヤ的なのか分かりませんが。

歌詞はピョートル・キレエフスキー(1808~1856)が採集したロシア民謡のコレクションを元に翻案したのだそうです。ユダヤ人楽師とロシア人楽師に交流があったのか、それともロシア人の村でもユダヤの楽師が入り込んで、影響を与えたのかもしれませんね。

それにしても、バレエリュスの振付けはやっぱり面白い。『春の祭典』で衝撃的な披露だったという内股コリオが、ここでも多用されておりますね。振付けたのはニジンスキーの妹、ブロニスラヴァ・ニジンスカ、衣装はナタリア・ゴンチャローヴァ。

そんな訳で、『バレエリュス・その魅力のすべて』ですが、怪しい魅力を醸し出すニジンスキーの”薔薇の精”が表紙となっております。この灰色っぽいブルーの色味が凄く良いっ!

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で、表紙の裏側は同じくニジンスキー”シェヘラザードの金の奴隷”、となっておりますです。

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山岸涼子先生の漫画『牧童の午後』は、この写真から描いたんでしょうねえ。その他、勿論モノクロではありますが写真が盛り沢山ですし、レオン・パクストの衣装デザイン画はカラーで掲載されてます。やっぱり買って良かったわあ。これからじっくり読んで行こうっと。

それと、カルサヴィナの『劇場通り』の方ですが、こちらは中古で安いのが出てたので購入しました。合わせて読むのも良いかなと。カルサヴィナの『火の鳥』はやっぱり美しいのお。無理な話ですが、これカラーで見たかったなあ。

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表紙は地味ですが、その裏側はこんな感じで良いですよ。

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コクトー、ピカソにニジンスキーと、素敵なイラストレーションになっております。

どちらも結構な厚さですので、いつになるか分かりませんが、読んだらまた紹介しますね。取りあえずラフカディオ・ハーンの『日本の面影』とパラレルで『バレエリュス・その魅力のすべて』を読み始めたところ。

まあ、そもそもバレエリュス自体が、様々な国籍のアーティスト達が関わり、演目も国際色が豊かだった訳ですから、音楽の越境という『中東欧音楽の回路』のテーマと重なるのは、当然なのかもしれませんね。

は~~っ、しかし、今回もすごい長文になってしもた~~!


お読み頂きありがとうございました。
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タグ: ロマ トランシルヴァニア 東欧 クレズマー バレエ

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Comment
こんばんは
  
 ルーマニアに行かれたことがあるのですね。
1995年というとチャウシェスク政権が倒れてまだ日が浅いですよね。
写真で見るとずいぶんのどかで平和で豊かな感じがします。

 ジプシー音楽というのは随分大きな範囲を指すのですね。
 私の浅い知識の中に『中東欧』という語彙がなかったものですから、本のタイトルを見ただけで、何か壮大なスケールを感じます。
 
mikitaka08さんへ
  
>  ルーマニアに行かれたことがあるのですね。
> 1995年というとチャウシェスク政権が倒れてまだ日が浅いですよね。
> 写真で見るとずいぶんのどかで平和で豊かな感じがします。

はい、92と94年はツアーで、95年に個人でと、ルーマニアはと3度訪れましたが、最初と最後ではたったの3年で凄い変化を感じました。西側の企業がどんどん進出して街並みも変わっていたのを覚えています。それでも村に入ればまだまだのどかでした。

>  ジプシー音楽というのは随分大きな範囲を指すのですね。
>  私の浅い知識の中に『中東欧』という語彙がなかったものですから、本のタイトルを見ただけで、何か壮大なスケールを感じます。

そうですね。実際ジプシーは歴史的にインドからエジプトを経てバルカン半島に入り、フランス(ジプシー・スウィング)、スペイン(フラメンコ)までたどり着いたと言われてますので、実際はジプシーの音楽圏に西欧も入ると思います。中欧はオーストリア、ハンガリー、チェコを示す言葉として使われることがあるので、中東欧にしたのではないかと思います。
一方のユダヤ音楽はアメリカに渡ってミュージカルやジャズの世界で花開く訳ですが、中東欧において、ユダヤ人とジプシーの楽師はお互いに影響を与え、受けていたそうです。一か所にとどまらずに移動、移民する民族が音楽を豊かなものにしているのでは、と著者は考えているみたいです。



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