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yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2016/02/12 09:02 yuccalina

自分史上一番ザワついたインド映画『めぐり逢わせのお弁当』

私は多分、日本人の映画ファンの平均よりは、多くのインド映画を見てきたと思っております。一番最初に見たのは、20代半ばでサタジット・レイの『大地の歌』『大河の歌』『大樹の歌』のオプー三部作でして、その他『チャルラータ』『見知らぬ人』も見ました。非常に内相的で哲学的で、流石仏教を生んだ国インドだなっ!と唸ったものですが、その後結婚後30代半ば(1999~2000年)に住んでいたマレーシアでハマったボリウッド映画は、針が真逆に振り切ったような作品ばかりで、ビックリしたものです。

リアリティよりも分かりやすさとカタルシスを重視した作品が多く、そこに歌と踊りのミュージカルタイムが挟み込まれるお決まりのパターン。これまでブログで紹介してきた、女性の権利を主張する『マダム・イン・ニューヨーク』や、アスペルガー症候群の青年を主人公とした社会派の『我が名はハーン』でも、それは踏襲されてきました。しかし、この『めぐり逢わせのお弁当』では、全く無かったのですよ。



いや、そもそも映画が幕を開けたときから、画面の色調が押さえ目で、何か違うなー、と言う気はしておりました。フランス、ドイツとの合作だから?かどうかは分かりませんけど、何だかね、ヨーロッパ映画っぽい雰囲気を感じたと。

さて、ストーリーはwikiにありますし、先の予告編でも大体分かるので、詳細には書きませんが、ダンナとうまく行ってない主婦イラ(ニムラト・カウル)と、早期退職間近のヤモメで多分子供なしのサージャン(イルファン・カーン)が、誤配達されたお弁当をきっかけに文通が始まり、いつしか心を通わせると言うもの。

この概略を、私は予め知ってて見たのですが、その心の交流に恋愛的要素があったとは、あまり想像しておりませんでした。普通、男女の心の交流と言えば、恋愛と結び付くのは決して珍しくない、いやむしろ自然なんでしょうが、そこは何たって”インド映画”だったから、どこかで「有りえない!」と決めつけていたところがあるんですね。同時期に日本公開となった『マダム・イン・ニューヨーク』のイメージに引き摺られてたかもしれませんぐ。あそこでは主人公のシャシはフランス男の猛アタックになびかず、それが正にインドっぽいなー!やっぱり、インドは家族第一主義だよねー!とか思いながら、私は見ておりましまので。

ところが、イラとサージャンは

「ブータンは国民みんなが幸せな国。インドもそうだったら良いのに」
「貴女とブータンへ行きたいな」
となって、距離がどんどん縮まって、良い感じになっていく。

そして、ついには、

「私たちは会うべきなのよ」
と、イラからデートに誘う。

と言う展開に、私の心はかなりザワつきましたです。ヨーロッパ映画なら当たり前な展開だけど、これをインドで上映して受け入れられるんだろうか?と言う疑問というか不安?がが。なので、私には予告編の爽やかと言うか、ほのぼのしたナレーションとかに、かなり違和感があるんですわー。

いやー、私が知らんだけで、インド女性の恋愛観及び結婚観も変わってきてるのか?ザワザワ。
インドで公開された時の評判がとっても気になりますわー、ザワザワ。

ちなみに、この映画の動画にあったコメントに、ざっと目を通してみたら、明らかに憤慨してそうなインド人らしき(名前から判断)男性がちらほら。「インド女性はこんなイージーじゃない」とお怒りの模様。

と、男がイラつくのは分かりますけど、女性がどう思っているのかの方が、私にはとても気になるーー!インド女性らしき名前で、好意的コメントも見つかりましたが、そもそもインド人のコメント自体が少ないみたいで、インド人社会での評価がどうなのかは、も一つ分かりませんぐ。

この映画を素晴らしいと褒めてるのは、やはり欧米人が中心みたいですねえ。インドのみならず、イスラム教の国でも批判されそうな内容なんでそね。ま、それもこれも、男側の論理しか表には出てこないんじゃないかと思いますが。

しかし、批判を浴びるということは、この映画がインド映画界のみならず、インド人社会に一石を投じる、重要な作品になる可能性を秘めているのかもしれませんぐ。

結末は見る側に委ねられてはいるものの、明らかに駆け落ちを匂わせていましたからねえ。ザワザワ。

そのラストシーン、(結婚の印である)宝飾品を売り、
「娘が学校から帰るのを待って、夕方の汽車にのるわ」
というイラは明らかにサージャンの元へ行こうとしてるのが分かりますよ、ザワザワ。

「間違った列車に乗っても、正しい場所に着く」
という作品のキーとなるセリフも、イラの進むべき道を示唆してるようにとれます、ザワザワ。

そして何よりも決定的ではと思うのが、挿入されている映画音楽なんですね。主人公サージャンの名にちなんで、映画『Saajan』の曲が流れます。これ、日本公開もされてて、私はBS放送されたのを見ました。日本語タイトルは『愛しい人』ですが、サージャンの名前の意味も同じ。英語ならばDarlingでしょうか。日本語なら愛之助?かどーかは知らんけど、あまり一般的な名前ではなさそうです。

しかも、苗字がフェルナンデスと、明らかにキリスト教徒なんですよ。普通キリスト教徒のインド人は欧米人と同じようなファーストネームが殆どで、ヒンディ語の名前ってのはかなり珍しい。映画のなかでサージャンは自分のお墓を探しに行くシーンがあって、十字架が写されてましたので、キリスト教徒なのは間違いないでしょう。ちなみに、インドのキリスト教と言えば、あのフランシスコ・ザビエルが日本での布教活動の前後にインドに渡ってたのが有名ですね。苗字もラテン系のフェルナンデス、マルティネス、ぺレイラ等、私もかつて何人か知人がおりますた。

と話しが逸れてすみませんが、要するにこのサージャンという名前はかなり重要だと思うんです。孤独な生活をしながら”愛されてる人”という名前。そして、映画『Saajan』の主人公アマン(サンジャイ・ダット)はサーガルというペンネームの詩人で、彼のファンであるプージャ(マドゥーリ・ディクシット)と文通によって、お互いに惹かれあう、というのがあるんです。ですから、イラが上階に住む叔母に「サージャンの曲をかけて!」とせがんで、ウットリしながら聴き入るシーンは、映画『Saajan』と自分自身を重ね合わせてるのでは?と思えるのでした。

ちなみに私は、このイラが『Saajan』を聴く場面が一番ザワザワしますたよ。

マジか~?
惚れてまうやろ!なんか~い?

と言う訳で、挿入歌『Saajan』の動画をここで貼っておきますね。



途中でアマン(サンジャイ・ダット)が幽体離脱みたいになっとりますが、これは彼が想像してるシーンとご理解くださいまし。余談になりますが、主演のサンジャイ・ダット(既婚)とマドゥーリ・ディクシット(未婚)には、当時不倫疑惑があったことも付け加えておきます。

で、動画にもある通り、アマンは片脚が不自由という設定。しかも孤児だったという負い目がありました。親友であり、自分の育ての親の実子である義理の弟アカーシュ(サルマン・カーン)が、同じくプージャに魅かれていることを知ると、身を引いて、プージャとアカーシュをくっつけようとします。しかし、何やかんやあった末、最後はプージャと結ばれる。という映画『Saajan』の結末から考えても、『めぐり逢わせのお弁当』のイラとサージャンはやはり、、、となってしまいますね。サージャンが自分は年老いてて若いイラには相応しくない、と身を引こうとする場面もあったりしましたから。

そして、もう一つ。日本でもヒットした『きっと、うまくいく』のアーミル・カーンが主演した『Raja Hindustani』の曲も出てきました。

電車の中で子供達が音程を外しつつ

ぱるでし ぱるでし じゃなー ねひーーん

と歌うシーンが出てきました。意味は多分「外国へ行かないでーー!」

ってな感じでしょうか。『Raja Hindustani』は残念ながら見ておりませんが、タクシー運転手の青年(アーミル)とお金持ちのお嬢様(カリシュマ・カプール)の身分違いの恋物語だそうで、どう見てもハッピーエンドのお話です。



ちなみに上の動画では分かりにくいかもしれませんが、ヒロインのカリシュマ・カプールは唄ってる娘でも踊り子でもなく、洋装にサングラスかけてうつむいている女性です、念のため。

とまあ、イラとサージャンがくっつきそうな予感をさせる要素が、これでもか、と出てくるものの、ハッキリそうさせなかったのか、出来なかったのか?そこもやはりインド映画ならではなのかもしれませんぐ。

と、ザワザワした話ばかりになってしまいましたけど、サージャンを演じたイルファン・カーンが素晴らしいです。抑え気味の表情が、初老男性の悲哀を感じさせて、私的にはかなり”萌えーー”ですた。『ライフ・オブ・パイ』に出てた俳優さんなんですね。覚えておこうっと。主演の男女がボリウッド映画にありがちな、人工的な美しさをまとっていないのが良いっ!ですし、町の風景にもリアリティがありました。

どうしても恋愛の方に気持ちが持って行かれそうにはなりますが、イラとの文通によって、サージャンの見る世界が違って見えてきたこととか、時間に追われ現代人が失ったものとか、お互いの人生を振り返ってみたりとか、色々と考えさせる場面が多いのも良かったです。

予告編はやはり日本語版じゃない方が、雰囲気が伝わりそうなので、最後に英語字幕付きのを貼っておきますね。





あと、ミュージカルシーンはなくても、音楽の使い方が素敵だなあと思いました。特にお弁当の配達人達が電車の中で、手拍子だけで歌う姿がとても良かった。私がオープニングとエンディングに上品さを感じたのは、多分のこの音楽のお蔭かもしれません。何だかんだザワザワしつつも、私の好きなタイプの映画であることに間違いありません。


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タグ: インド

テーマ:インド映画 - ジャンル:映画

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Comment
こんばんは。

これは観ようと、レンタル予約してあります。
楽しみです。

普通に恋愛映画だと思っていた僕は、インド文化音痴ですね(^_^;)
バニーマンさんへ

> これは観ようと、レンタル予約してあります。
> 楽しみです。

そうでしたか。これは『マダム・イン・ニューヨーク』とはかなり雰囲気が違いました。全体的に時間がゆっくりと流れるし、セリフも少な目、音楽も少な目で、とても静かな印象でした。

> 普通に恋愛映画だと思っていた僕は、インド文化音痴ですね(^_^;)
私が知ってるのはあくまでも20年前の話なので、今はどうなのか、反応が凄く気になって、ネットで色々と調べているところです。


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