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yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


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2016/01/09 13:20 yuccalina

『カルテット!人生のオペラハウス』に見たクラッシックと大衆音楽の関係

クラッシック音楽に疎いワタクシも、フィギュアスケートのプログラムを通じて、好きな曲が出来ました。その一方で、トランシルヴァニアとの縁によりルーマニアやハンガリーの民俗音楽、ジプシー音楽やクレズマー経由で、クラッシックに接近。40過ぎてからバレエエクササイズを受けて、バレエの世界にほんのちょっとだけ足を踏み入れたことも大きいかもしれません。そのお蔭で近年、クラッシック音楽絡みの映画にも、結構ハマってしまいます。そー言えば、2015年は年初から『オーケストラ!』(監督はルーマニア出身のユダヤ系フランス人)にドハマりして、ボーナス盤欲しさにDVDも買っちゃったんですが、今年最初の映画はこれ、『カルテット!人生のオペラハウス』(2012年・イギリス)からスタートします。



実はこれ去年の12月、CSで『ドライビングMissデイジー』の後に放送されたので、ついでに録画してあったんです。単に「マギー・スミス主演のイギリス映画で音楽物らしい」という理由で、”取りあえず”という感じでした。ダスティン・ホフマンの初監督作品だったとも、後で知りました。しかし、邦題の!マークはやはり『オーケストラ!』の影響なんですかね?

で、蓋を開けて見たら、これが中々面白かった!

引退した音楽家が集う老人ホーム『ビーチャムハウス』で繰り広げられるのは、ジーン(マギー・スミス)、レジー(トム・コートネイ)、ウィルフ(ビリー・コノリー)、シシー(ポーリーン・コリンズ)、という男女4人の元オペラ歌手を中心とした人間模様。ジーンとレジーはかつて夫婦であり、その復縁とビーチャムハウス存続をかけた資金集めのガラコンサートに向かって話が進みます。ガラの目玉として4人で『リゴレット』を歌う案が持ち上がる。

心理描写などは大して深くはないと思いますが、老いとの付き合い、音楽との関わり方も人それぞれ。衰えはあっても純粋に楽しめる人もいれば、過去の栄光にしがみついて、現在の自分に背を向ける人もいる。認知症気味なシシーの言動もポジティヴに描かれているところが良いです。そして、自虐的なウィルフの、例えば「夜のトイレが5回で済めばまし」とか言うセリフもどこか明るいトーン。自分の衰えを見せたらファンをがっかりするから、となかなか四重唱を承諾しないジーンに対し、ウィルフは「君のファンなんてもう殆ど生きてないよ」とか平気で言っちゃうんですわ。

つまりこれは、イギリス版

『老いるショー―ック!』(みうらじゅん)

と言えなくもないかい?ちなみに『老いるショック』の詳細を知りたい方はコチラの記事をどうぞ。

そんで、歌うのをずっと渋ってたジーンも、かつてのライバルだったアンが出ることを知ると、俄然やる気を出して出演を承諾しちゃう。最後はレジーがジーンに舞台袖でプロポーズし、リゴレットが始まると言うハッピーエンドで映画の幕が下ります。

と言ったストーリーも、勿論元気が出て良いのですが、あちこちに散りばめられた音楽が素敵なので、これもリピートして見たくなっちゃう理由ですね。これはホフマン監督のこだわりだったそうですが、主要な役以外は、殆ど本物の音楽家の方々が役を演じてたのですね。各々が所属してた楽団と昔の写真がエンドロールで流れる演出も素敵でした。

さて、そんな音楽的要素の中で、私が気になったのは、クラッシックと大衆音楽の関係でして、ジャズの音楽家がクラッシック側から低く見られてると思える描写がいくつかありました。

ガラの音楽監督のシィドリック(マイケル・ガンボン)がジョージとハリーの『Are You Havin' Any Fun?』を
「洗練されてないから、ガラでやるな」
と文句をつける。が、結局演奏されて、観客から大受けしてるのを見て、不機嫌な顔をする。

この曲は歌詞が、老いても楽しく生きていこう!と言う応援歌にも聞こえるとこが良いです。残念ながら歌のシーンの動画が見つからなかったので、オリジナルのフラナガン&アレンの歌でどうぞ。



また、

ジーンがダンス教室の部屋から漏れるラテン音楽に、
「何あの騒々しい音楽は?」
と怪訝そうな顔をし、中で踊ってる人々を見て
「異常集団だわ」
と言う(予告編0:40あたり)。

のも、クラッシックのお高い雰囲気を象徴していた気がするのですが、その一方で面白かったのは、レジーがオペラについて講義をするところなんです。彼は老いを肯定的に受け止めていて、聴講に来る若者達が、少しでもオペラに興味を持ってくれる様、オペラとラップに共通点を見出だすのです。以下はレジーのセリフから、

オペラでは背中を刺された男は
血を流すかわりに歌う
私の調査によると
ラップでは背中を刺された男は
血を流すかわりにリズミカルにしゃべる
ラップのしゃべり方は
言ってみれば感情を抑制した一本調子だ
オペラでは感じたままを歌う
すると歌声の起伏に合わせて
我々の感情が解き放たれる
私に言わせればオペラとは
ここにいる誰もが内面に持ってる感情の
激しいほとばしりなのだ


これを受けて、ジョーイと言う青年がオペラをテーマにラップを披露するシーンは、上記トレイラーの1:35あたりに出てきます。

このくだりはとっても良かった。私もこれでオペラに少し興味がわいてきましたし。オペラが出来た頃はもっと庶民的だったと言うのは、日本の歌舞伎が江戸の庶民の娯楽だった、っつーのと似たようなものなんでしょうかね?

次の動画は、オペラの本場イタリアでの『カルテット!』特番なのかな?映画の音楽にフォーカスしたホフマン監督や出演者インタヴューです。



先ほど紹介したフラナガン&アレンの『Are You Havin' Any Fun』を歌った二人(ジョージとハリー)が、0:35に出てきます。そしてその後に、ジョーイ青年のラップも。オペラとラップを対比することには、ホフマン監督も思い入れがあったようですね。

で、私にはクラッシック音楽は貴族と言う特権階級だけのものと言うイメージがずっとあったのですが、クラッシックの中にジプシー風が流行ったりしたのは、やはりどこかで大衆音楽と重なる部分があるからなんだろうなー、と私も漠然と思っておりました。

で、そんな私の疑問に答えてくれた本がこちら、『中東欧音楽の回路』です。こちらは先日『素敵なあなた』クレズマーに関する記事(コチラ)でも取り上げましたが、この本では、ロマ(=ジプシー)をテーマにしたオペレッタ『ジプシーの恋』と『ジプシー男爵』が紹介されています。

中東欧音楽の回路―ロマ・クレズマー・20世紀の前衛(Amazon co.jp. 商品詳細)

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それによれば、オペラを軽く、親しみやすくしたオペレッタはとても大衆的なもので、時として社会風刺の役割もあったあるらしい。19世紀末から20世紀初頭のウィーンやブダペストで流行ったオペレッタに、ロマとの身分違いの恋がテーマとなってる作品が多発したのも、身分制度が揺らいでいた証なんだとか。差別の対象であったロマとその音楽を、品が無いと揶揄する向きがある一方で、実は大変魅力を感じてた人々も多かった、ってことなんでしょうか。そして、先述した『カルテット!』のレジーの講義によれば、元々庶民的だったオペラが、貴族や金持ちだけのものでなく、また大衆に戻ってきたとも言えるのかも?と非常に興味深かったんです。

かつて音楽評論家の中村とうよう氏(1932-2011)は、クラッシック音楽を特権階級(=搾取する側)の音楽として全否定し、大衆音楽と分断していたと記憶しています。どんな音楽でも少しでもクラッシック的要素を感じると、いつも批判の対象にしていたような。今思えば、それはかなり乱暴な話だったのでは?この『中東欧音楽の回路』の著者はクラッシック音楽の専門家だそうですが、別に大衆音楽、民俗音楽を低く見てる感じは全くしませんし、その交わりをフェアな視点で考察してる気がしました。

それと、クラッシック世界でジプシーものが持てはやされるようになったのは、オーストリア・ハンガリー二重帝国の繁栄と、それに伴う音楽家の活躍が背景にあるのだな、と納得しました。

と、話が逸れてきましたが、『カルテット!』に戻しましょう。これは完全に蛇足ですが、レジー役の俳優さん、トム・コートネイを私はよく知らなかったので、ちょっと調べてみたんですよ。そしたら、こんな画像が出てきて、

tomcoutnay.jpg

正直、ガッカリだよーーー!(桜塚やっくん)

でした。薄毛のままの方が、ぜったい素敵なのに、何故なんだーー?

しかし、その一方でこうも思いました。

これはもしや笑かそうとしてるのかい?
だから明らかにヅラと分かる色をわざと選んでいるのかい?
「これはオサレ帽子です!」とでも言ってるんかーーい?

是非とも真意を知りたいですなー。

最後はゲスなネタになって、失礼いたしました。


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Comment
こんにちは。

この老人ホームの名前に指揮者サー・トーマス・ビーチャムの名前が冠されているのは何かの暗示なんでしょうかね。
kanageohis1964さんへ

> この老人ホームの名前に指揮者サー・トーマス・ビーチャムの名前が冠されているのは何かの暗示なんでしょうかね。
はい、映画の中で、彼の名前から取ったとの話が出てきて、ホームには彼の大きな肖像画が飾られています。で、ジーン(マギー・スミス)が
「ビーチャムの祖父は便秘薬でボロ儲けしたから、老人ホームにピッタリの名前ね」
と皮肉を言うのには笑いました。
あー、これちょっと気になっていたのですが、
やっぱりなかなか良さそうな作品ですね。

あと音楽ネタではないのですが、老人ホームのお話繋がりでいうと、
ドイツ映画でマラソンの選手だったおじいちゃんの映画も面白そうだなと。

どちらも観ていないので、予約リストに載せておかないといけませんね。
バニーマンさんへ

> あー、これちょっと気になっていたのですが、
> やっぱりなかなか良さそうな作品ですね。
>
> あと音楽ネタではないのですが、老人ホームのお話繋がりでいうと、
> ドイツ映画でマラソンの選手だったおじいちゃんの映画も面白そうだなと。
>
> どちらも観ていないので、予約リストに載せておかないといけませんね。

老いを明るくポジティヴに描いてるので、見てて楽しいですし、英国的なユーモアも元々好きなのでとてもハマりました。これを見た後は暫く椿姫が頭から離れませんでした。
yuccalinaさん、いちいち納得しながら読んでしまいました。あ、それから、全く見当違いな反応で申し訳ないのですが、ドライビング・ミス・デイジー懐かしいです(笑)。
ticcaさんへ

> いちいち納得しながら読んでしまいました。あ、それから、全く見当違いな反応で申し訳ないのですが、ドライビング・ミス・デイジー懐かしいです(笑)。

ありがとうございます。
ドライビングMissデイジーとこの映画が連続放送だったのは、老人モノのくくりだったのかも?と後で気がつきました。


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