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yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2015/12/11 14:51 yuccalina

『ピロスマニ』と『ピロスマニのアラベスク』とニコライ堂

ジョージアという名前を聞いて、レイ・チャールズの歌にもなったアメリカ南部のブルースの郷を思い出すのか、はたまた大きな花の絵を描いた画家オキーフを連想するのか、人それぞれかと思いますが、カフカス地方の国、グルジアの新しい呼称というのは、まだまだしっくりしないみたいですね。私はやっぱりグルジアと呼んだ方が居心地が良いので、すみませんが、この記事でも使わせて頂きますです。

はい、先日ふたたび岩波ホールを訪れ、グルジア映画『ピロスマニ』を見て参りました。ゲオルギ・シェンゲレヤ監督の1971年の作品。

movie7.jpg



旧ソ連に属していた当事は、ロシア語版で輸入され、同じ岩波ホールで日本公開されていたそうですが、30余年の時を経て、グルジア語オリジナルのデジタルリマスター版が再上映されました。ええ、私が唯一知ってるグルジア語、

ガーマルチョバ=こんにちは

は、数えきれないほど聞こえてきましたよ。あとグルジアで思い浮かぶのは、バレエのニーナ・アナニアシビリに、フィギュアスケーターの、エレーナ・ゲデバニシビリでしょうか。映画の主人公、画家のニコ・ピロスマニ(1862~1918)も本当はピロスマナシビリと言うそうです。

私がピロスマニの名前を知ったのは、グルジアの首都トビリシ生まれのアルメニア人映画監督、セルゲイ・パラジャーノフの短編映画『ピロスマニのアラベスク』(1986年グルジア)によってでした。1991年、今は亡き映画館キネカ錦糸町で行われた『パラジャーノフ映画祭』において、『スラム砦の伝説』と同時上映されてたんですね。その中でピロスマニの絵が次々とスクリーンに映し出されたのですが、アンリ・ルソーを思わせる、大胆に使われた黒がとても印象的でした。フランス語字幕ですが、YouTubeにフル動画(20分弱)がありましたので、貼っておきます。



私はこの短編を見て以来、ずっといつか見たいと思ってた映画、正にそれがこの『ピロスマニ』だった訳です。

幼い頃に両親を無くしたピロスマニは、養母(祖母か叔母?)に別れを告げ、村から町へ出ていきます。粗末な筏に乗っていくシーンもビックリでしたが、室内に飾られた緑豊かな植物とか、食卓の野菜やフルーツ、敷物を敷いて外で昼寝、等々、30年前にロシア映画として見てたら、相当驚きの場面ばかりだったでしょう。トルコにありそうな湯沸し付きの給茶器”サモワール”は、ロシアでも一般的らしいですが、カフカス経由で入ってきたのかもしれません。そうそうブドウ畑でのシーンもありました。グルジアはワインでも有名なんですよね。素朴で力強いピロスマニの絵の様な、豊かな味がしそうで、是非飲んでみたくなりました。

乾し草のベッドとワインを愛したピロスマニは、グルジアの様々な風景、人々、そして動物達をキャンバスに残しました。しかし、お金にも名誉にも全く興味がない。予告編では「内なる欲求で絵を描いてる」と語ってますが、「神が描けというから描くのだ」、とか言うセリフもあったような、、、。放浪しながら、あちこちの酒場で絵を描き、その見返りは食事とワインだけ。そんな彼の作品を、世間は勝手に持ち上げたかた思ったら、その後掌を返して叩きのめす、と言う残酷な現実。人付き合いが苦手で、縁談も断って独り町に佇む彼が、赤ちゃんにお乳を飲ませるどこぞの母親の姿を見た時の、悲しげな表情には、胸が締め付けられる思いがしました。そんなピロスマニの孤独は絵にも現れていたのですね。先のパラジャーノフの短編にも、母が主要なテーマであったとしてますから。

他にもパラジャーノフの短編を見た当時は知らなかったが、今にしてみれば、と思うことが色々とありますが、先ずはタマラ王女。中世12世紀末から女王として国を治めたタマラは、バレエリュスの演目になっていたことで私は知ったのですが、『ピロスマニ』でも度々タマラ王女の名前が出てきました。

「タマラ王女の墓を探しにいこう」
「夜の来ない谷にあるんだ」

お酒が入ると必ずこのくだりが出てくるみたいな感じでしたわ。ちなみに実際タマラ王女の墓はトビリシから北西へ20㎞のムツヘタと言う場所にあるそうです。本当に夜が来ない谷ではないと思いますが、そこは歴史的建造物が数多く、世界遺産になってるとか。タマラの治世ではセルジューク朝(現在のイラン、イラク、トルクメニスタン)を撃退して領土を拡大し、グルジアが最も栄えた時代だったそうですね。私はかつてバレエリュスの記事で、カフカスを舞台にしたプログラムが多いのは、エキゾチックなものが流行ってたから?と書いてしまいましたが、中世からロシアに勝る、文化的にも栄えた土地だったから、バレエの題材になったのかもしれませんね。

そして今一つは、有名なロシアンポップス曲『百万本のバラ』のモデルが、ピロスマニと彼が愛したフランスの女優マルガリータのエピソードらしい、ってことです。まあ家を売ってバラを100万本買うなんてあり得ねー!とは思いますし、ウィキにはマルガリータという恋人はいたらしいが、バラの話は作詞家アンドレイ・ヴォズネセンスキーの創作、とありました。ただし、ピロスマニがお金頓着しない性格だったのは確かなようで、友人と始めた商売(ミルクやバター、チーズ等の小さなお店)でも、貧しい人々に商品をあげちゃって破産する場面があったりしました。

マルガリータの肖像はウィキにも載っておりますた。

220px-Niko_Pirosmani_Margarita_1909.jpg

せっかくなんて、歌の動画も一つと思い、色々探してみたのですが、加藤登紀子はあんまり好きくないし、ロシアのアラ・ブガチョワ版はなんか映画のイメージと合わないかな、、。つー訳で、関西で活動されているシャンソン歌手別府葉子さんのアコースティック版をチョイス。



実はワタクシ、別府さんのブログの読者だったりするんですが、ニコ・ピロスマニのピュアな恋心を描くには、あんまり電気音が無い方がしっくりしたんですね。

と言ったところで、そろそろまとめ。祖国を愛し、心のままに描き続ける、シンプルに誇り高く生きた芸術家の人生を私は愛す。といのがワタクシの感想でございます。

ただ、グルジアの男性は皆同じような髭面で、正直な話、私は主人公以外の個人の識別が結構危うかったです。なので、ビデオで繰り返し見てみようかと思います。幸いにもYouTubeには日本語字幕付きのロシア語版がアップされてたんです。一応リンクだけ貼っておきますね。

『ピロスマニ』 旧ロシア語吹き替え版(日本語字幕付)

出来れば、DVDが欲しいところですが、現在は中古が高値で取り引きされてる状態みたいですね。再上映を機にDVD化されると良いなあ。

最後にオマケ。ニコ繋がりでニコライ堂、って訳でもないのですが、岩波ホールで映画を見た後は、散歩がてら御茶ノ水まで歩くことが多く、今回はニコライ堂の前を通って写メを撮ってまいりました。

movie8.jpg
movie9.jpg

昔から思ってましたが、ちょっとモスクっぽい雰囲気があります。まあイコン(聖像)があるので、そこがモスクとは決定的な違いなんですけどね。『ピロスマニ』を見ていても、服装や音楽、踊りはもろに中近東っぽいのに、バリバリのキリスト教徒なのが面白いなあと思ったんですけど、それってロシアにも言えることかもしれないですね。


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Comment
またまた素敵な画家と動画のご紹介、ありがとうございました。
素晴らしいですね。
ピスロマニという画家のこと、全く知りませんでした。

先月、ルソー本を探していて、久しぶりに重たい画集を開いて見ていたので、グッと心惹かれるものがありました。
それにしても、日本画同様、一筆で描く黒、の才能には強烈なインパクトが!
yuccalinaさまのブログ、宝箱ですね。

さて、ニコライ堂、私はずいぶん前に、お茶の水駅前の丸善に通った時期がありまして、懐かしい建物です。散歩にはもってこいの場所でしたのに、当時は心の余裕もなかったことが残念です・・・。
このコメントは管理人のみ閲覧できます
mikaidouさんへ

> またまた素敵な画家と動画のご紹介、ありがとうございました。
> 素晴らしいですね。
> ピスロマニという画家のこと、全く知りませんでした。

いえいえ、私も偶然知ったと言う感じで、「百万本のバラ」の事を知ったのも大分後でした。

> 先月、ルソー本を探していて、久しぶりに重たい画集を開いて見ていたので、グッと心惹かれるものがありました。
> それにしても、日本画同様、一筆で描く黒、の才能には強烈なインパクトが!
> yuccalinaさまのブログ、宝箱ですね。

ルソーも美術的な教育を受けていないんですよね。だからこそ大胆に黒を使うことが出来たのかもしれませんね。そう言えば、フジタも黒の使い方が印象的な画家でしたが。

> さて、ニコライ堂、私はずいぶん前に、お茶の水駅前の丸善に通った時期がありまして、懐かしい建物です。散歩にはもってこいの場所でしたのに、当時は心の余裕もなかったことが残念です・・・。
丸善は私もよく行ってましたよ。もしかしたらmikaidouさまとどこかですれ違ってたかもしれませんね。向いにある画材店LEMONの喫茶室もお気に入りの場所でした。
鍵コメさんへ
ありがとうございます。
そうですね。私も見たばかりなので、早くBSで放送してくれないかなーと思ってます。


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