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Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2015/12/08 10:17 yuccalina

シド・バレットは不思議王子~その(6)シド・バレット・ストーリーPART 1

シド・バレットのドキュメンタリービデオ『シド・バレット・ストーリー』を繰り返し見ていますが、到底一回では話をまとめられそうにないので、暫くこの話が続くことになりそう。

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ドキュメンタリー番組で定評のあるイギリス国営放送BBCが製作した2001年の作品です。この"不思議王子"シリーズではこれまで、シド・バレットをアスペルガー男子の星として捉え、あれこれ書いてきた訳ですが、それらは全て彼の作品からワタクシが感じたことでしかありません。しかし、このビデオには実際彼と関わった人々の口から、シドの様子が語られておりますので、そうしたインタビューから、興味深いところ、気になるところを、これから重箱の角をつつくように、紹介していきたいと思います。

で、これだけは最初に言っておきたい!

BBCはイギリスの自閉症協会や脳科学会(共感覚の研究者)と協力し、一人間としてのシド・バレット・ストーリーを完結させるべき!

って。はい、このビデオ、ピンク・フロイドの超有名曲『Shine On Your Crazy Diamond』で幕を明け、そして閉じる構成になっております。シドの事を歌ってる曲ですし、別に良いんですけど、まだ彼が健在だった時に、「シドは別の世界へ行っちまった、違う人間になってしまった」とロジャー・ウォーターズ以下口を揃えて悲しみに浸ってる姿に、私は違和感を持ってしまったのですね。果たしてシドは本当に狂っちまったのかどうか?疑問を差し挟まざるを得ないのは、彼の死後にお姉さんが

「彼の精神病は誇張されて伝えられた」

と言ってたからなんです。彼がアスペなら、子供の頃から変わってた筈で、家族からしたら、それを狂ってると言われちゃったら、とても悲しい話なのでは?お姉さんの言葉は、マスコミに対してだとずっと思ってましたが、このビデオ見てたら、もしやフロイドのメンバー達に言ってたんかい?と疑いたくなっちゃったと。ウォーターズは「彼の方が関わりたくないと言うから、そっとしておくしかない」と言ってたけど、あのアルバム『Wish You Were Here』(1975年発表)でシドを神格化してしまった張本人なら、やっぱ会うのは気拙いわよね。本当にシドはおかしくなってたんか?フロイドのメンバー達が口々にしたのは、レコーディングスタジオに現れた彼の姿に衝撃を受けたってことでして、

スキンヘッドでブクブク太ったシドを受け入れられなかった、つーだけで、どうやらそん時は会話もしなかった様子なのよね。

見た目の変貌だけで、違う人間になっちまったと拒絶されちゃったら、シドが会いたくないと思うのも仕方ないじゃん。メンバー達がどういう目で自分を見ていたのか、もしかしたらシドには分かってたかのかもしれない。

等といった思いが浮かび、私は頭に来てしまった。

いや、別に私はフロイドのメンバーを断罪しようと思ってる訳ではないんです。ただ、シドの変化を受け入れて、何かサポートは出来んかったのか、とても口惜しい。特にロジャー・ウォーターズは子供の頃からの長い付き合いだったと言うので、「あっちの人間」としてただ嘆くだけで良いのか?と思ってしまった。

まあ、それもこれも、お姉さんの「シドにはアスペルガー症候群と共感覚だったようだ」発言に端を発する訳ですがね。ドラッグの過剰摂取による、外からの力による変化でなく、シドが元々持ってた性質が表面に現れたのだとすると、別の対応策があった筈であると。この考え方がフェアでないもの分かりますし、変わり果てた外見にショックを受けたのも分かりますよ。でもでも、ただ変わってしまったとを嘆くだけで、シドを理解しようと努力してくれたのか?って、ちょっと疑問を感じちゃったんです。

シドが元々変わった子であったのは、確かなようです。元ガールフレンドは、「靴ひもを結ばなかった」と言ってたな。足の甲を締め付けられるのが嫌いだったのかしら?また「毎日手紙をくれた」とも。規則的な行動をするアスぺの特徴と符合します。

それと、シドのドアルバムに参加したドラマー、ジェリー・シェリー(元ハンブル・パイ)は、「皆が言うほど彼はイカれてなかった。それを利用してたのを見たことがある。つまりイカれた振りをしてたような、、、」と発言してたのが興味深いところ。

そんな中でも一番興味を惹いたのは、デヴィッド・ギルモアが、『ドミノ』の録音について語った

「ギターはテープを逆回転にして録った」話。

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全ての人に当てはまる訳ではないですが、アスペの特異な能力の一つです。脳の情報処理の仕方が変ってるからだそうです。逆回して録音した1テイクは、そのままレコード化されたそうです。



そしてもう一つ目を引いたのは、自作の絵画を手にしたシドの姿。カラーでないのが残念ですが。

syd5.jpg

人間の歯を強調したとおぼしき大胆な構図。

これを見て思い出したのは自閉症の東田直樹さんが本(記事はコチラ)で書いてたことです。

『飛び跳ねる思考・会話のできない自閉症の僕が考えていること』 東田直樹 Amazon.co.jp商品情報
book3.jpg

ものを見るとき最初に部分が目に飛び込んでくる。何か一点に心が奪われると、他が目に入らなくなるらしい。こうしたものの見え方、捉え方は、シドの書く歌詞を理解する上でも、非常に役立つ気がしますね。

また、東田さんは、眠る直前に天井を見てると、天井との距離が縮まって自分と一体化する感覚に陥るそうです。これは、自分の境界線を意識し辛いことから来てるのでしょう。

これを読んだ時に私は思わず「シド・バレットっぽいな~」と膝を打ったのは言うまでもありません。

さらに、東田さんはこう問いかけます。

人の行動は何を基準に異常だと決められるのでしょう?

確かにねえ。難しい問題です。シドの場合アスぺだけでなくお薬の作用も絡んでるので、中々難しいところですがが。

と、今回はこれくらいにしておきますね。東田さんの本にはシドを理解する上で役立ちそうな話が多々ありますので、今後も折に触れ引用していこうと思っております。

その(7)へ続く


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タグ: シド・バレット 自閉症

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Comment
上手く云えないけど、シドバレットは狂った振りを
することで、対人恐怖的な部分とのバランスを
とってたんでしょうな…。
..ってか、自分はアスペではない(?)と思うけど、
辞めた職場やクビになったバンドの連中なんかと顔を
合わせねばならないことになったら「狂った風情」…
何だか普通にシンドイ気持ちがわかる気がするなあ。
しかもフロイドの面々は「狂気」で最高潮に
調子こいてた時期だしね...追い出した昔の仲間への
負い目は、「狂ったダイヤモンド」化することで
とても都合良かったんじゃないかな…。
だから私は未だにフロイドは1stの
「サイケデリックの新鋭」(旧題!)しか聴く気がしないです。



中坊の頃に大好きだったゲイリー・ニューマンの動画をここ数日漁ってたのですが、
彼もアスペルガーだったんですね。近作についてのインタビュー記事で知りました。
僕はケイト・ブッシュに心酔していたのでギルモア繋がりでシドにも辿りつけたのだけど、ゲイリーの詩世界と共通するユーモアを感じていたこともそこから想い出しましたよ。

本質的に温かみがある。
か、どうかは人それぞれの受け取り方も異なるのでしょうけれど、彼らは今でも無防備に僕の心を開いてくれる音宇宙なのです。
pipco1980さんへ

> 上手く云えないけど、シドバレットは狂った振りを
> することで、対人恐怖的な部分とのバランスを
> とってたんでしょうな…。

「ふりをしてた」というシェリーの発言は、彼にはそう見えたということで、シドが意図的だったかは疑わしいと私は思っております。アスぺは知識に偏りがあるため、ある時はマトモでまたある時は変に思えるのはよくあることかな、と思ったんです。

> ..ってか、自分はアスペではない(?)と思うけど、
> 辞めた職場やクビになったバンドの連中なんかと顔を
> 合わせねばならないことになったら「狂った風情」…
> 何だか普通にシンドイ気持ちがわかる気がするなあ。

しんどかったのは確かでしょうね。シドが鬱になった原因は、一時期同居してた画家タギー・フィールドが「フロイドは急にスターになってシドがマイペースで音楽を出来なくなったから」と言ってたのですが、的を射てると思います。その辺はまた次回以降に詳しく紹介するつもりです。

> しかもフロイドの面々は「狂気」で最高潮に
> 調子こいてた時期だしね...追い出した昔の仲間への
> 負い目は、「狂ったダイヤモンド」化することで
> とても都合良かったんじゃないかな…。

”都合が良い”、まさにそこなんです。私が違和感を感じたのは。『Wish You Were Here』はシドが狂ってなきゃ成り立たん的な。それはこのビデオ全体に漂う流れでもあります。ん?これはシドの名を借りた『Wish You Were Here』のプロモーションかしら?と。全く別物のバンドがカリスマ性を保つ為にシドを利用した的な?

> だから私は未だにフロイドは1stの
> 「サイケデリックの新鋭」(旧題!)しか聴く気がしないです。

分かります~!
まユタンぽさんへ

> 中坊の頃に大好きだったゲイリー・ニューマンの動画をここ数日漁ってたのですが、
> 彼もアスペルガーだったんですね。近作についてのインタビュー記事で知りました。
> 僕はケイト・ブッシュに心酔していたのでギルモア繋がりでシドにも辿りつけたのだけど、ゲイリーの詩世界と共通するユーモアを感じていたこともそこから想い出しましたよ。

あー、確かにゲイリー・ニューマンは、っぽいですね。公言してる人は少ないですが、音楽的才能のある方は、誰でも少なからず自閉症的な部分は持ってるみたいですね。
そして、ユーモラスな人も多いです。きっと物の見え方捉え方の違いからくるものなんでしょう。

> 本質的に温かみがある。
> か、どうかは人それぞれの受け取り方も異なるのでしょうけれど、彼らは今でも無防備に僕の心を開いてくれる音宇宙なのです。

繰り返しになりますが、物の見え方捉え方が違うだけで、アスぺが冷たい人間な訳ではないと思います。その感覚の違いは、決して理解不能なものでもないと思います。現にシドやゲイリーの音楽を多くの人が受け入れてる訳ですから。
このコメントは管理人のみ閲覧できます
鍵コメ様

全然気にしなくて大丈夫ですよ。
テンプレートの模様替えは、衣替えみたいなもんですね。


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