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Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2015/09/03 09:00 yuccalina

『SONG TO SOUL ブラック・マジック・ウーマン編』からハンガリアン・ジプシー・ギタリストの話

またもや、私の大好きな音楽ドキュメンタリー番組『SONG TO SOUL』から。ジャズに疎いワタクシは、その名前すら初めて聞いたのですが、ハンガリー出身のジプシー(ロマ)で、アメリカで活躍したジャズギタリスト、ガボール・ザボ(1936~1982)について。ブダペシュト出身でハンガリー名はSzabó Gáborサボー・ガーボル(アクセント部が長音です)は、1956年のハンガリー動乱時にアメリカに渡ったそうです。

それは8月26日の放送で紹介された、サンタナの超有名ナンバー『ブラック・マジック・ウーマン』に端を発します。



この曲のオリジナルが、まだブルースロックバンドだった頃のフリートウッドマックであったのは、以前から知っていたのですが、さらにその元ネタだった、オーティス・ラッシュの『All Your Love』を聴いて、おおっ!と食い付いたワタクシ。



そして、更に惹き付けられたのが、メドレーで続く曲『ジプシー・クイーン』の話だったのです。この曲のオリジナルが、くだんのガボール・ザボなんですね。



ちなみに、私は普段「ロマ」という言葉を用いることが多いのですが、今回は曲名に使われていることもあり、「ジプシー」を使用することに致します。

で、インタビューに登場したカルロス・サンタナはザボのアルバム夢中になったことを熱く語るのですが、そこでこの一言が、

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私はそこで、カルロス・サンタナの感性に恐れ入ったのでございます。それは、ハンガリーのジプシー音楽には独特なビートがあるからなんです。ハンガリージプシーのバンド構成は弦楽器のみであることも多く、その殆どが打楽器無しで、リズムを刻むのはコントラバスです。それは、床を踏み鳴らすフォークダンスの伴奏であることと、関連しているのかもしれませんが、サウンドの中核であるヴァイオリンの音には、独特のうねりがあって、リズミカルでビートがあるんですね。そして、フォークダンスを云々しなくとも、インドのラジャスタンからエジプト、トルコ、バルカンと、ジプシーが経てきた土地の音楽のポリリズムの影響があるのかもしれません。サンタナがザボのギターに感じたリズムとの一体感とは、やはりジプシーならではのビートなのでは?と思った訳です。

そこで、私はザボの生い立ちを調べてみました。ジプシーならば、父親も音楽家で最初はヴァイオリンの手解きを受けてるかもしれないとか、考えたんですね。しかし、残念ながら期待した結果は見つかりませんでした。1949年にロイ・ロジャース(30~50年代に活躍したカウボーイ映画の俳優兼歌手)の映画を見てギターに興味を持ち、14歳のクリスマスに父親からギターをプレゼントされて弾き始めた。当初からアメリカのジャズに惹かれていた。1956年にアメリカへ亡命。

と言う感じで、ギター以前に何か楽器をやってたのかどうかは、分かりませんでした。ただ、子供の頃からハンガリージプシーの音楽と親しんでいたのなら、その影響があっても不思議ではありませんし、ジプシーサウンドとジャズの相性が良いのは、ジャンゴ・ラインハルトで証明済みですよね。

そして、更に面白いなと思ったのがラテン・テイスト。このブログでは以前、ルーマニアの作曲家ジョルジュ・ブーランジェの記事(コチラ)で、『タンゴ・ツィガーノ』を紹介したことがあります。歴史としてタンゴを始めとするラテンアメリカ音楽がヨーロッパで流行ったのもあるんでしょうけど、ラテンとジプシーの音楽って、相性が良いみたいなんですよね。そして、インドからヨーロッパ全土へ広まったジプシーの音楽が、さらに海を渡って北米・南米までたどり着いたことには、やはりロマンを感じてしまいます。ですから、ハンガリーからアメリカへ渡り、ジャズの世界で花開いたザボにも、私はある種の感慨を持ってしまった訳なんです。

という訳で、『ジプシー・クイーン』以外の曲も、YouTubeで漁ってみましたよ。その中でも気になるアルバムはやはりファースト、タイトルもズバリ『ジプシー'66』、と直球勝負で来た?タイトル曲『ジプシー'66』と『ジプシー・ジャム』を。





このアルバムには、私でも知ってる超有名ジャズメンが参加しておりますた。
それが、サダオ・ワタナベ!
彼がフルートを吹いてるんですが、中でもビートルズのカバー『イエスタディー』のイントロが良いですわ。



で、ガボール・ザボでもう一つ気になったのが、ボビ・ウォーマックとのコラボ『ブリーズィン』なんです。そう、ジョージ・ベンソンで有名になったやつですが、元々はザボの為にウォーマックが書いた曲だったとか。



そんで、ベンソンがザボのアレンジをパクってヒットさせちゃったから、ザボは激おこだったらしさ。様々なアーティストに影響を与えつつも、本人がアメリカでジャズメンとして受け入れられなかったと思ってたのは、やはり出自のせいなのでしょうか。70年代後半にはSFファンタジーな新興宗教サイエントロジーに入信し、横領事件を起こしたりと、かなり迷走していたようです。最後はブダペシュトに戻って、肝臓・腎臓の病気で45年の生涯を閉じました。(以上Wikipedia英語版情報)


と、最後は残念な感じになってましたが、ギタリストとしては、こうしてサンタナからずーっとリスペクトされてますし、彼のギターサウンドがずっと愛され続けてくれたら良いなと思います。

ところで、私は以前、「ロックミュージックにおけるジプシーというワードの扱いについて書いた(コチラ)ことがあるのですが、あれは殆ど外の人間が作ったファンタジーみたいなものだな、と改めて思いました。あそこで取り上げたのは、サリー・オールドフィールド、ルネッサンスとカーティス・メイフィールドの曲、そして、バンド名に使われた、ジミ・ヘン(バンド・オブ・ジプシーズ)と花田裕之(ロックンロール・ジプシーズ)でしたが、どれも、ジプシーの音楽に接近した形跡はありません。あくまでもイメージでしかなかった。ブーランジェにしろザボにしろ、音の中にこそジプシーのDNAがあるのでしょう。

と、大変長くなってしまいましたが、最後にサンタナのことでもう少し。番組で初めて知ったのですが、ウッドストックに出演したのは、レコードデビュー前だった、というのに驚いたんです。緊張の為、バンドのメンバー達は顔を見合わせて演奏していたと。カルロスが度々客席にお尻を向けていたのも、その為だそうです。そして、サンタナを発見したビル・グレアムも、やはりお目が高かったのでしょうね。B・B・キングやポール・バターフィールド・ブルース・バンドなどのブルースとラテンのティト・プエンテの、両方が好きだったというバンドだったからこそ、あのラテン・ロックは自然と生まれた音楽だった、とうのも印象深かったです。それこそが、ワールドミュージック!だと思いました。そんな彼等が、ハンガリージプシーのガボール・ザボの曲をカバーしたことにも、深い意味を感じたのでありました。


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タグ: ロマ 東欧 ワールドミュージック

テーマ:洋楽ロック - ジャンル:音楽

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Comment
ガボール・ザボ、よいですね〜♪
好きになりました。

ファーストはサイケ感もあり、さらにはその後の足跡も面白みありそうです。
マックといえばピーター・グリーンもそうだ。

なんだか好みの人たち、何故かしら極端な方へつき進んでゆくのだろうか…。
まユタンぽさんへ

> ガボール・ザボ、よいですね〜♪
> 好きになりました。
気に入ってもらえて良かったです。ジャズは聴かず嫌いなところがあったのですが、これを機に色々と聴いてみたいですね。

> ファーストはサイケ感もあり、さらにはその後の足跡も面白みありそうです。
> マックといえばピーター・グリーンもそうだ。
確かに、年代的にサイケ風味はありますたね。ピーター・グリーンもバリバリお薬やってたらしいしー

> なんだか好みの人たち、何故かしら極端な方へつき進んでゆくのだろうか…。
それが自分らしさってやつなんでしょうか。
こんばんは。

いや、流石です。ジプシー(ロマ)に関することはユッカリーナさんに尋ねれば問題なしですね。

最初ジプシーとラテンの接点というのが分からなかったのですが、ご指摘通り相性は良いみたいですね。
音楽の広がり方って実に不思議ですね。

このガボール・ザボはかなり気に入りました。
CD買おうかなと思っています。

サンタナがデビュー前にウッドストック出演を果たしたのは、今となっては伝説みたいなものですね。
ウッドストックのことを知った時にこのことを知りました。
契約の問題で、ウッドストックコンサートの映画にもレコードにも、カットされている人(たとえばジャニスとか)がいるので、完全版を観たいですね(って、今は発売されているのかな・・・?)。
ブラック・マジック・ウーマンのルーツ、面白いですね!
いつも音楽は聴きっぱなしなんですが、こうやって理解を深めることで面白味が増すんですね~
ガボール・ザボの名前は初めて聞きました。
勉強になります。

ロマ音楽、ジャンゴ・ラインハルトといえば、『ギター弾きの恋』っていう映画がありましたよね?

『僕のスウィング』を観て、チャボロ・シュミットを聴きに行ったこともあったのに、あまり背景とか考えてなかったなあ(汗)
バニーマンさんへ

> いや、流石です。ジプシー(ロマ)に関することはユッカリーナさんに尋ねれば問題なしですね。
いえいえ、れは
褒めすぎですよ。実際ガボール・ザボのことは、全然知らなかった訳ですし、まだまだ未知なことは沢山あると思います。

> 最初ジプシーとラテンの接点というのが分からなかったのですが、ご指摘通り相性は良いみたいですね。
> 音楽の広がり方って実に不思議ですね。
民族の移動の課程で、スペイン音楽からの影響は大きいと思います。ジプシーは独自の音楽を持って移動したのではなく、その土地の音楽を演奏して収入を得ながら、そこに自分達のテイストを加えて、各地のフォーク音楽を豊かにしていったのだそうです。

> このガボール・ザボはかなり気に入りました。
> CD買おうかなと思っています。
私もYouTubeで聴いてみて、何か一つ欲しくなりました。インドのラーガをやってるのもあり、面白そうです。

> サンタナがデビュー前にウッドストック出演を果たしたのは、今となっては伝説みたいなものですね。
> ウッドストックのことを知った時にこのことを知りました。
> 契約の問題で、ウッドストックコンサートの映画にもレコードにも、カットされている人(たとえばジャニスとか)がいるので、完全版を観たいですね(って、今は発売されているのかな・・・?)。
ウッドストックのDVDはディレクターズカット版を持ってます。番組で紹介してたサンタナの曲も入ってます。ただ、映画としては、ヒッピーへのインタビューとかの方が多くて、ちょっと退屈でした。
きょうこさんへ

> ブラック・マジック・ウーマンのルーツ、面白いですね!
> いつも音楽は聴きっぱなしなんですが、こうやって理解を深めることで面白味が増すんですね~
> ガボール・ザボの名前は初めて聞きました。
> 勉強になります。
ええと、ブラックマジックウーマンと言うか、メドレーになってるジプシークイーンという曲のお話です。私もジャズには疎いので、ザボは今回初めて聴いたんですよ。

> ロマ音楽、ジャンゴ・ラインハルトといえば、『ギター弾きの恋』っていう映画がありましたよね?
『ギター弾きの恋』は私も大好きな映画です。ショーン・ペンが演じた主役が、ジャンゴ・ラインハルトのライバルという設定だったかと思いますが、確か架空の人物です。

> 『僕のスウィング』を観て、チャボロ・シュミットを聴きに行ったこともあったのに、あまり背景とか考えてなかったなあ(汗)
あ、その映画はまだ見てないです。今度チェックしてみますね。ありがとうございます。
こんばんは

 後半部分だけコメントさせてもらいます。
 ウッドストックのサンタナは良かったです。今から40年以上も前ですね。音楽映画というよりドキュメンタリータッチで何故かヒッピーたちのけだるいシーンだけ、そして裸の人々にだけ興奮しました。そんな中でのサンタナの演奏はスクリーンの雰囲気を変えた、と思うほどの衝撃でした。リアルタイムで見た今や数少ない者の思い出です。
mikitaka08さんへ

>  ウッドストックのサンタナは良かったです。今から40年以上も前ですね。音楽映画というよりドキュメンタリータッチで何故かヒッピーたちのけだるいシーンだけ、そして裸の人々にだけ興奮しました。そんな中でのサンタナの演奏はスクリーンの雰囲気を変えた、と思うほどの衝撃でした。リアルタイムで見た今や数少ない者の思い出です。
ウッドストックをリアルタイムでご覧になったのですね!私はディレクターズカット版のDVDを所有しております。膨大な観客の山を前に演奏するアーティスト達の熱気には、とても惹きつけられました。しかし、残念ながら、音楽以外の部分は私には退屈で、早送りしてしまいました。ごめんなさい。
ガボール・ザボの『ジプシー・クイーン』、いいニダねぇ。
サンタナの「ザボの指はコンガやドラムにつながってる」という言葉に納得のリズム感ですた。残念ながら、ウリのPCはウィンドウズ10にしてから、動画再生に問題ありで、まだ聞けてない曲がほとんどなんです・・・orz 後でiPadで聞いてみますデヨ。

ハンガリーの音楽はクラッシックなんかもジプシー音楽の影響を受けてるニダよね。一度、ハンガリー大使館の音楽会で下の子が演奏したことがあるんですけど、ハンガリーの若い子やプロのバイオリストも来て演奏してくれたんですミダ。若い子のチェロもプロのバイオリンも感情表現が豊かで、yuccalina様のおっしゃる「独特のうねり」と共通するものがあるかもと思いますたわ。

そうそう、フリートウッド・マックの名前が出て思い出しますたが、20年近く前、イギリスのレコード会社の人から、また彼らを日本に売り込みたいってことで、セールス文書の翻訳を頼まれたことがあります。でも、依頼者が首になって、企画は没になったようですが(苦笑)
Mansikka様ばんしお~!

> ガボール・ザボの『ジプシー・クイーン』、いいニダねぇ。
> サンタナの「ザボの指はコンガやドラムにつながってる」という言葉に納得のリズム感ですた。残念ながら、ウリのPCはウィンドウズ10にしてから、動画再生に問題ありで、まだ聞けてない曲がほとんどなんです・・・orz 後でiPadで聞いてみますデヨ。
そうなんです。カルロスの表現は、正にザボの音を言い当ててたのに、私は感動したのですた。インドのラーガ音楽もやってるのですが、それも見事にハマってて、やはりあのリズム感の賜物ではないかと思います。

> ハンガリーの音楽はクラッシックなんかもジプシー音楽の影響を受けてるニダよね。一度、ハンガリー大使館の音楽会で下の子が演奏したことがあるんですけど、ハンガリーの若い子やプロのバイオリストも来て演奏してくれたんですミダ。若い子のチェロもプロのバイオリンも感情表現が豊かで、yuccalina様のおっしゃる「独特のうねり」と共通するものがあるかもと思いますたわ。
そうですね。ハンガリー、ルーマニアのクラッシックはジプシー音楽と切っても切れない関係だと思います。独特のうねりは、多分タメを作るとこで、それがジャズのスウィング(シンコペーション)と似てる為、ジプシースウィングなるものが出来たのでせう。

> そうそう、フリートウッド・マックの名前が出て思い出しますたが、20年近く前、イギリスのレコード会社の人から、また彼らを日本に売り込みたいってことで、セールス文書の翻訳を頼まれたことがあります。でも、依頼者が首になって、企画は没になったようですが(苦笑)
おおっ、Mansikka様は翻訳のお仕事をされてたのですか?そう言えばお仕事の話って、聞いたことなかったですね。
フリートウッドマック自体はちゃんとアルバムを聴いたことがありませんぐ。まだ活動してるのかしらん。


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先日BS-TBSの「SONG TO SOUL ~永遠の一曲~」でサンタナの“ブラック・マジック・ウーマン/ジプシー・クイーン”が 取り上げられていました。 ブラック・マジック・ウーマンはフリートウッド・マックのカバーということは知っていましたが、 ジプシー・クイーンの方は今回初めて誰の曲なのか知りました・・・(^_^;)。 因みにブラック・マジック・ウーマンはフリートウッド・...
  • posted by バニーマン日記
  • 2015/09/03 20:27
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