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Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2015/08/29 12:27 yuccalina

散るぞ悲しき『硫黄島からの手紙』

先日の『父親たちの星条旗』に続き、クリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』です。説明不要かもしれませんが、太平洋戦争末期の硫黄島での戦いを日本側から描いた作品。



『父親たちの~』はアメリカに帰還した後の話が中心でしたが、こちらは硫黄島でのお話が殆どです。戦闘シーンは『父親たちの~』と同じものを使っているそうで、火炎噴射で火炙り状態の日本兵など、直ぐに気が付きました。

全体を通じて一つ気になったのは、セリフの声が何だか籠っていて、私にはとても聞き取り辛かったことです。音量を上げたり、巻き戻して聞き直したりが結構ありました。映画館で見た人はどうだったのでしょうか。ちょっと気になりますね。

栗林忠道中将(渡辺謙)、林竹一中佐(=バロン西、伊原剛志)等、実在の人物が登場し、戦況も史実に沿って描かれているようですが、語り部となる青年西郷(二宮和也)は架空の人物です。

そこで驚いたのが、いかに日系人とは言え、アメリカ人のアイリス・ヤマシタが英語で書いたという脚本に、殆ど違和感が無かったところでしょうか。当然西郷が妻の花子宛ての便りを語るモノローグも、フィクションな訳ですが、私はそこにスーッと気持ちが入って行って、素直に見ることが出来たからです。一方で、栗林中将のモノローグは、彼が実際に家族に宛てた手紙及び絵手紙があったそうですね。本にもなってるので、是非読んでみたいですが、映画では、その文面を通してアメリカ留学時代のエピソードなども語られ、中将の人となりが丁寧に描かれていました。

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この表紙の絵と文面を見るだけでも、何となくお人柄が分かりますねえ。肩の力が抜けたような洒脱なイラストと、流れるような文字が優しそうなんです。軍人さんとは想像がつきませんし、逆にここから、お洒落だったバロン西と気が合ったというのが、頷けたりもするのでした。

そしてそのバロン西の描写に関しては、一つツッコミたいところがあります。金メダルアピール(1932年ロサンゼルスオリンピック馬術)は余計だったのでは?栗林中将に問われて、馬の写真見せたり、話すのはまだ良かったんですが、アメリカ人捕虜との自慢話的展開に、日本人って、普通、こーゆーことしないけどな、、、と思ったんですね。まあ、バロン西はそういう自己アピール出来る程欧米化してた?と理解すれば良いのでそうか?

とは言うものの、バロン西の勇敢さは十二分に描かれていたと思います。

また、栗林中将の家庭人としての温かい目と、軍人として、リーダーとしての能力の高さ、人望の篤さも細やかに描かれていて、パン屋の主人から徴兵された西郷のシニカルな視線と、良いコントラストになっていました。そして、その二人の運命が交わって行くラストに釘付けになってしまったのは、言うまでもありません。

陸軍と海軍の関係が微妙だったり、情報が内部でもちゃんと伝わってなかったり、硫黄島戦の頃の日本軍は既に組織としてグチャグチャになっていたことが窺えましたが、そんな状況でも「やるべきことをやるしかない!」という栗林中将は、現代でも素晴らしいリーダーでしょうね。その一方で、従来の水際防衛に固執して、中将の戦略を理解出来ず腰抜け扱いする人々、擂鉢山陥落の時点でアッサリ諦めて「玉砕だ~!」と大騒ぎする面々は、とてもみっともなく映りました。勿論、現代とは価値観の違う時代の話ですから、そのまんま彼等をおかしいと言うのはフェアじゃないですが、一つの価値観に捕らわれて、物事の本質とか重要なことが見えなくなるのは、現代でも十分あり得ることなので、こうゆうことからも、学ぶべきものはあるなあ、と思ったんですね。

つまり、上の予告編にも出てきますが、栗林中将は

「我々の子供等が日本で一日でも長く安泰に暮らせるなら、我々がこの島を守る一日には意味がある」

からこそ、持久戦の為に水際は放棄して、地下陣地でのゲリラ戦法を推し進めた。その為に18㎞(計画では28㎞)の坑道を張り巡らせ、圧倒的劣勢の軍備でも、米軍を翻弄することが出来た。敵陣への肉弾突撃・万歳突撃を禁止したのも、戦力を無駄に使わない為。海軍が固執した水際防御が原因で、擂鉢山をアメリカに獲られても、「まだ戦いは終わってない、残った兵士達を北側に合流させて、そこで戦い続けろ」と言う。全てが先の「1日でも長く」と繋がっていたわけで、最初から最後まで、栗林中将には全くブレが無かったと言えましょう。そして、反対にあいながらも、実際に中将に着いていった兵士達が多くいたからこそ、米軍の予想を遥かに上回る長期戦に持ち込むことが出来たのでしょうね。

この映画も『父親たちの星条旗』と同様に、戦争を裁くことなく、兵士達の姿と心理を淡々と描写することに徹していたのは、とても良かったと思います。YouTubeでアメリカ版トレイラーを見ていたら、こんなコメントを見つけました。

「私の祖父は戦争へ行って、死ぬまで日本人を憎んでいました。しかし、私はこの映画を見て涙しました」

私も泣きました。滝の様に止まらなくなりましたが、こんな反応があることに、この映画の価値を感じました。理屈抜きで、こう言えるのって、大事だと思いました。そして、最後まで諦めるなと叱咤激励してきた栗林中将が、いよいよ策も尽きて出た言葉「散るぞ悲しき」、『父親たちの~』があったからこそ、心に深く突き刺ったのでした。


お読み頂きありがとうございました。
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Comment
こんばんは。

僕も日本人のセリフは聞き取れませんでした。
字幕が欲しかったです。

出来は父親たちの星条旗の方が良い出来だと思いましたが、日本人として日本人の描き方が敵であっても敬意をはらわれていたのが良かったです。
栗林中将やバロン西だからということもあるでしょうけどね。
yuccalina様

こんばんは
『硫黄島からの手紙』 何年か前 テレビでやっていて気軽にみてしまい 私も号泣した記憶があります
この映画の公開当初 渡辺謙さんが 細かくクリント・イーストウッド監督に日本人の行動や言葉遣い 表情等をアドバイスしたとインタビューで言っていました(言葉はそのままではありませんが そのような趣旨のお話だったと記憶します)
なので思いの外 外国人監督が作ったとは思えないきめ細かい演出になっていたと感じました

「栗林中将にしてもバロン西にしても日本がアメリカと戦う無謀さを知っていながら最前線の硫黄島で戦ったことを想像してごらん」とテレビをみながら主人に言われ 急にこの映画がリアリティーがあるように感じられて心臓がバクバクしました

話が飛んで申し訳ないのですが
戦国時代の武将が第二次世界大戦を戦ったらどうなっていたのかな?と妄想することがあります
駆け引き上手な戦国武将達でしたので こんなに戦争が長引くことはなかったと思います
当時力を持っていた陸軍は引き際を完全に見誤った
詳しくは知りませんが 当時の陸軍トップが戦国武将だったらと戦後生まれの不謹慎な私は思ってしまうのです

長々と失礼しました
mansikka様がブログを再開されました
要らぬ心配をしてしまった私 ゆったり構えることができません yuccalina様を見習います‼




本の表紙を見た瞬間、ダーーっと泣いちゃったニダ(T_T)
栗林中将の穏やかな人柄とお子さんへの愛情を感じますた。ハーバード留学時代の手紙かぁ・・・戦争中の手紙は涙で読めなくなりそうな予感・・・

バロン西は結構自慢話するニカ?ウリもすぐホルホルしちゃうニダ・・・ウリって欧米化してるニカね?ホルホル♪www

冗談はさておき、この本は西郷さんの魅力などもよく伝わる良著なんでしょうね。ブルログを読みながら、何度となく鼻がつーんとなったデヨ。
バニーマンさんへ

> 僕も日本人のセリフは聞き取れませんでした。
> 字幕が欲しかったです。

あ、それを聞いて少しホッとしました。年のせいで耳が悪くなってる?と心配してました。YouTubeの予告編動画では全然気にならないんですけどねえ。

> 出来は父親たちの星条旗の方が良い出来だと思いましたが、日本人として日本人の描き方が敵であっても敬意をはらわれていたのが良かったです。
> 栗林中将やバロン西だからということもあるでしょうけどね。

そうですね。作品の出来と言うよりも、『父親たちの~』は戦争や英雄に関する視点が凄く深いなあ、と思いました。一方の『硫黄島』は仰るとおり、栗林中将とバロン西の人間性に引っ張られる部分が大きかった、と思いました。
真澄さんへ

> 『硫黄島からの手紙』 何年か前 テレビでやっていて気軽にみてしまい 私も号泣した記憶があります
> この映画の公開当初 渡辺謙さんが 細かくクリント・イーストウッド監督に日本人の行動や言葉遣い 表情等をアドバイスしたとインタビューで言っていました(言葉はそのままではありませんが そのような趣旨のお話だったと記憶します)
> なので思いの外 外国人監督が作ったとは思えないきめ細かい演出になっていたと感じました

そのお話、イーストウッド監督の心遣いが伝わってきますね。今の奥様が日本人の血を引いてらっさるそうなので、それも関係してるのかしら。

> 「栗林中将にしてもバロン西にしても日本がアメリカと戦う無謀さを知っていながら最前線の硫黄島で戦ったことを想像してごらん」とテレビをみながら主人に言われ 急にこの映画がリアリティーがあるように感じられて心臓がバクバクしました
確かに映画でも、負け戦と知ってても「それでも、君は来てくれた」と中将がバロン西に語るシーンは、何度見ても辛くなります。しかも、二人ともアメリカに友人、知人を持つ身で、決して「鬼畜米英」なぞとは思ってなかった方達なんですよね。本当に胸が苦しくなります。

> 話が飛んで申し訳ないのですが
> 戦国時代の武将が第二次世界大戦を戦ったらどうなっていたのかな?と妄想することがあります
> 駆け引き上手な戦国武将達でしたので こんなに戦争が長引くことはなかったと思います
> 当時力を持っていた陸軍は引き際を完全に見誤った
> 詳しくは知りませんが 当時の陸軍トップが戦国武将だったらと戦後生まれの不謹慎な私は思ってしまうのです

なるほど、そういう妄想はしたことがありませんでした。想像してみるのは興味深いですが、戦国武将の人間性も能力も、持って生まれたものだけでなく、経験値や、周囲の人脈によるところがとても大きいと、私は思ってますので、武将個人の単位で空想するのはちょっと難しいかもしれません。戦国時代そのものにもあまり詳しくないのです。お話に乗れなくでごめんなさいです。

> 長々と失礼しました
> mansikka様がブログを再開されました
> 要らぬ心配をしてしまった私 ゆったり構えることができません yuccalina様を見習います‼

いえいえ、興味深いお話をありがとうございました。また遊びに来てくださいね。
Mansikka様無事復活で私もホッとしております。
Mansikka様こんしお~!

> 本の表紙を見た瞬間、ダーーっと泣いちゃったニダ(T_T)
> 栗林中将の穏やかな人柄とお子さんへの愛情を感じますた。ハーバード留学時代の手紙かぁ・・・戦争中の手紙は涙で読めなくなりそうな予感・・・

そうなんです。私も表紙見ただけで涙がじわわ~、出てきますた。

> バロン西は結構自慢話するニカ?ウリもすぐホルホルしちゃうニダ・・・ウリって欧米化してるニカね?ホルホル♪www
治療してあげたアメリカの捕虜と話すシーンで、「ダグラス・フェアバンクスとメアリー・ピックフォードは私の友達。ロスオリンピックの馬術で金メダル取った」話をするとこが、何か唐突過ぎて、私はクスッとなってしまったんです。(勿論笑うような映画ぢゃありませんぐが)多分バロン西がどういう人か、予備知識の無い人に説明するためのセリフなんでそね。でも、それでバロン西=『自慢話ホルホル男』説になっちゃったら、少しモニョるでそ?

> 冗談はさておき、この本は西郷さんの魅力などもよく伝わる良著なんでしょうね。ブルログを読みながら、何度となく鼻がつーんとなったデヨ。
ええっと、西郷さんはフィクションなので、この本には出てませんぐ。アメリカ留学時代は息子太郎宛て、硫黄島赴任時代は娘のたか子宛てで、それぞれ幼い子供達の為に絵を添えてる、ということから、それほど難しい話は書いてなさそうですね。
それと、後で知ったのですが、イーストウッド監督は先にこの絵手紙のことを知って、映画にしようと思ったらしさ。
文庫なので、Amazonで早速注文しますた。
yuccalina さん、こんにちは。
こちらの映画は観ていないので、何とも言えませんが、硫黄島は、占領されると、アメリカによる日本本土への攻撃が容易になるから、日本は必死になって守ったそうですね。
日本兵の方々のご遺骨の多くが、滑走路の下敷きになったままだと聞きました。

栗林中将は、随分可愛い絵を描かれる方だったのですね。
yuccalina様

お返事ありがとうございます
唐突に戦国武将の妄想をお話して申し訳ありませんでした

当時から軍人以外の日本人は 戦争の訓練を受けていなかったし 多くの一般人が徴兵された時点で アメリカに勝てる訳なかった 戦争を長引かせるよりも イタリアのように 早く降伏してよりよい条件で終戦させて欲しかった
そうすれば 硫黄島での悲惨で長い戦闘が行われなかったのでは?原爆も落とされなかったのでは?と思っているので 戦国武将の妄想話を書き込んでしまいました

イーストウッド監督の奥様が日本人の血を引いている方だとは知りませんでした
クリント・イーストウッドいえばマカロニウエスタンのイメージです 名もなき西部の荒くれ者を演じていた彼が 時を経て『第二次世界大戦』と向き合った2本の映画を残してくれたのは 私にとって感慨深いです
硫黄島での戦闘のことを 戦後世代の私達はほとんど知識として持ってはいませんでした
日米両国にとって過酷な戦闘が確かにあったのだと知るには十分な映画だと思うし意義があったと思います









Arianeさんへ

> こちらの映画は観ていないので、何とも言えませんが、硫黄島は、占領されると、アメリカによる日本本土への攻撃が容易になるから、日本は必死になって守ったそうですね。
> 日本兵の方々のご遺骨の多くが、滑走路の下敷きになったままだと聞きました。
硫黄島が最後の砦だったのは、地図を見て分かりました。栗林中将の遺骨も見つかってないそうです。身分が分かるものを一切身に付けずに戦ったからだそうです。

> 栗林中将は、随分可愛い絵を描かれる方だったのですね。
Wikipediaを見たら、新聞記者志望だったとか。世が世なら、全く別の分野で活躍されていたのかもしれません。
真澄さんへ

> 唐突に戦国武将の妄想をお話して申し訳ありませんでした
いえいえ、私は戦国武将に明るくないので、ピンと来なくて申し訳ないです。

> 当時から軍人以外の日本人は 戦争の訓練を受けていなかったし 多くの一般人が徴兵された時点で アメリカに勝てる訳なかった 戦争を長引かせるよりも イタリアのように 早く降伏してよりよい条件で終戦させて欲しかった
> そうすれば 硫黄島での悲惨で長い戦闘が行われなかったのでは?原爆も落とされなかったのでは?と思っているので 戦国武将の妄想話を書き込んでしまいました
確かに戦争の引き際に関しては、色々と分析するのは良いことだと思います。ただ、私はそこまで詳しく太平洋戦争のことを理解してないので、判断はとても難しいです。

> イーストウッド監督の奥様が日本人の血を引いている方だとは知りませんでした
> クリント・イーストウッドいえばマカロニウエスタンのイメージです 名もなき西部の荒くれ者を演じていた彼が 時を経て『第二次世界大戦』と向き合った2本の映画を残してくれたのは 私にとって感慨深いです
> 硫黄島での戦闘のことを 戦後世代の私達はほとんど知識として持ってはいませんでした
> 日米両国にとって過酷な戦闘が確かにあったのだと知るには十分な映画だと思うし意義があったと思います
イーストウッドと言えばバイオレンスのイメージが強いですよね。ただ、この映画は戦争という集団的暴力行為が満載にも関わらず、人の優しさとか強さの方が印象に残るという点でも、素晴らしい二作だと思いました。


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