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Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2015/07/30 12:20 yuccalina

『明日に処刑を、、、』とキャラダイン親子の因縁

以前紹介したドキュメンタリー映画『コーマン帝国』(コチラ)の中にも出てきた『明日に処刑を、、、』(原題Boxcar Bertha 1972年アメリカ)について。同じ頃にCSチャンネルで見ることが出来て、とても良いタイミングでした。マーティン・スコセッシがロジャー・コーマンの下で働いていた頃に、初めて監督させてもらった低予算映画ですが、評価は高い様ですね。



アメリカンニューシネマの金字塔『俺達に明日はない』と同じ1930年代、大恐慌のアメリカを舞台に、鉄道の貨車Boxcarにタダ乗りしながら放浪する女性Bertha=バーサ・トンプソン(バーバラ・ハーシー)が主人公。彼女の最愛の男性で労働組合のリーダーでもあったビッグ・ビル・シェリー(キース・キャラダイン)、旅の途中で知り合ったトランプ詐欺師のレイク(バリー・プリマス)、幼い頃からの友人(又は父親の部下?)である黒人青年ヴォン(バーニー・ケイシー)の4人組は、様々なめぐり合わせで、盗みを働いたり、人を殺めてしまったり。挙句の果ては列車強盗を繰り返す日々も、長くは続きませんでした。

レイクは鉄道会社が雇ってるスト破り&殺し屋のマーキーバーに射殺され、ビルとヴォンは再び刑務所。バーサは貨車で辿りついた町で売春婦に。その後、売春宿からも逃げ出したバーサでしたが、再びビルとヴォンに再会。しかし、そこで悲劇が待っていました。最後はマーキーバー追い詰められ、ビルは貨車の壁に磔にされてしまう。因みに、4人組の憎き敵相手、鉄道会社の社長バックラムを演じたのは、デヴィッドの父ジョン・キャラダイン。私生活でも父子に確執があったとされるので、中々良いキャスティングでは?

そして、冒頭に「事実に基づく」とテロップが出るのですが、ベン・ライトマンの原作『Sister Of The Road』は後にフィクションだったとバレたそうです。但し、このライトマンという方は調べてみたら中々興味深い。アナーキスト&共産主義者で、日本の婦人解放運動にも影響を与えたと言われているエマ・ゴールドマンの恋人だったそうです。元々は医者であり、貧しい女性や売春婦に人口中絶(当時は違法)を施していた。勿論エマ同様にユダヤ系です。映画は原作に忠実ではないみたいですが、この小説には興味が沸きますわ。

と、話が外れてしまったので、映画に戻しましょうか。邦題はラストシーンから取ってるんでしょうね。何故「明日」なのかは、多分当時の流行りだったからでありましょう。俺達に明日はない、明日に向かって撃て、に倣ったのでは?

で、アメリカンニューシネマのベタな設定とも思える強盗集団ですが、ビッグ・ビルが犯罪を犯してしまった自分を悔いていたり、鉄道会社の給料日に盗んだ金を労働者に配るとか、組合にお金を寄付するとか、義賊的行為をするとこは、社会派ロジャー・コーマンの面目躍如でしょうか?さらに、黒人青年を仲間に入れてるところも、かなり意欲的だったのでは?

最近色々と書いてましたが、公民権運動が始まるのは1950年代ですから、1930年代に白人と黒人が仲良くしてる設定は珍しかったのではないでしょうか。先のトレイラーにもチラッと出てきます(0:59あたり)が、バーサとヴォンが再会するシーンは、黒人専用のバーだったようです。バーサが入ってきただけで、他の黒人客は唖然とし、2人が抱き合うのを見て、文句を言ってるシーンがありましたわ。

そして、バーサの父が小型機で農薬散布をする最初のシーンで、ヴォンとバーサが対等に喋ってるところも何気に凄い演出な訳ですが、



その後、牢屋でビッグ・ビルと再会するシーンや、先のバーサとの再会シーンと、全てでヴォンの弾くブルースハープがキーになってるのは、いかにも音楽好きなスコセッシの演出だなーと思いました。

オープニング曲も中々カッコイイし、



ヴォン、ビッグ・ビル、レイクの3人が捕まって、労働してるシーンでは、ブルースの源流にあるワーク・ソングもあって、



上の動画は歌以外すべてスペイン語吹き替えなので、ちょっと変な感じですが、この辺りはやはりスコセッシのブルース・ドキュメンタリーを見てたお蔭で、気付くことが出来ました。

低予算ならではの、荒さが随所の見られる映画ではありますが、保安官とのカーチェイスとか、貨車を追いかけながら飛び乗るシーンとか、臨場感があって良かったと思います。それと、バーサとビッグ・ビル、恋する2人の描き方も、私は良いなと思いましたわ。それもその筈、後で知ったのですが、バーバラ・ハーシーとデヴィッド・キャラダインは、当時私生活でもパートナーだったのですね。2人のラヴシーンは、ロジャー・コーマンの専門分野『エクスプロティション(=搾取)映画』の方程式、女の裸とヴァイオレンスにそってるんでしょうけど、リアルないちゃつきだったことで、とても良いアクセントになってる気がしたんです。確かに、見つめ合ってるとこが凄く自然で、ヴァイオレンスの安っぽさと、非常に対照的と言いましょうか。

と言ったところで、最後にこの映画に纏わる因縁について。先ほど、仲の悪かったジョン&デヴィッド親子が、映画でも敵役と書きましたけど、デヴィッド・キャラダインの役名がビルというのもですね。彼は後に『キル・ビル』で脚光を浴びた訳ですから。

さらに、私が思い出したのは、父ジョンが出演していた映画『怒りの葡萄』(1940年アメリカ)なんです。



動画の前半は小説の宣伝みたいになってますが、父ジョンは1:43にチラッと写ってます。うわっ、息子よりも凄いロングフェイスですな。

主演はピーター・フォンダの父ヘンリー。スタインベックの超有名小説を映画化してる訳ですが、1930年代が舞台の同時代的小説の発表が1939年で、翌年に映画化というのは中々凄いことではないのかしら?そこで、ジョン・キャラダインが演じてたのが元説教士のジム・ケーシーで、労働組合を作ろうとして暗殺されちゃう役だったんですよ。その約30年後には、息子が組合員の役で、自分は搾取する社長役という因縁が、非常に面白いなあと。『怒りの葡萄』も今改めて見直したら、また何か発見があるかもしれませんね。CSでやってくれないかなあ。


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鍵コメさんへ
確かにそうですね。お金かかってないなりに、別のとこで良さを出してるんじゃないでしょうか。


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