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yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2015/07/06 11:50 yuccalina

『コーマン帝国』~究極のツンデレハリウッド裏番長を追え~

「低予算映画の王者」やら「大衆映画の法王」やら(Wikipediaより)の異名を持つロジャー・コーマン監督、おんとし89歳(映画公開時は85歳)の功績を辿るドキュメンタリーです。2009年アカデミー名誉賞の授与式がハイライトとなってますので、当時は83歳くらいですか。ウィキによれば今も現役の模様。



ワタクシはカルト映画も映画全体にしても、つまみ食い程度にしか見てない人間ですが、コーマンの名前を知ったのは80年代後半。当時はサイケデリックカルチャーに興味を持ち、『イージー・ライダー』に衝撃を受け、好きな俳優はジャック・ニコルソンとデニス・ポッパーでしたから。また、マーティン・スコセッシの『タクシー・ドライバー』を見たのも、この頃だったような、、、。

要するにアメリカン・ニューシネマと呼ばれた作品群を、ボチボチ見始めたのが、25年くらい前だったと。但し『イージー・ライダー』の土台を作ったと言われている『白昼の幻想』も『ワイルド・エンジェル』も見てなくて、その代わりにニコルソンが悪夢だったというサイテー映画『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』は、何故だか見てました。しかし、同じB級カルト監督と呼ばれたサミュエル・フラーと混同してしまうくらい、当時の認識はいい加減でしたわ。

そんなワタクシにも分かりやすくロジャー(ヨメや兄弟が出てくるのでファーストネームで略します)のお仕事を紹介してくれるのですが、彼と関わった監督や俳優、妻のジュリー、弟のジーン、その他製作スタッフ等へのインタビューが、兎に角興味深いです。登場した監督(カッコ内は代表作)はこちら。

マーティン・スコセッシ
ロン・ハワード
ピーター・ボグダノヴィッチ(ペーパー・ムーン)
ジョン・セイルズ(カーサ・エスペランサ”赤ちゃんたちの家”)
ポール・W・S・アンダーソン(バイオハザード)
ジョー・ダンテ(グレムリン)
アーヴィン・カーシュナー(スターウォーズ帝国の逆襲)
ジョナサン・デミ(羊たちの沈黙)
イーライ・ロス(イングロリアス・バスターズ)
ポール・バーテル(世にも不思議なアメイジングストーリー)
ジョナサン・カプラン(告発の行方)


ですが、その後大成した皆様のみ抜粋。タランティーノやロス等の若い世代は、ロジャーの下で働いてたんじゃなくて、影響を受けてただけかもしれませんが。また、ロックファンとして注目したいのが、

アラン・アーカッシュ(ロックンロール・ハイスクール)
ジョージ・ヒッケンルーパー(ファクトリー・ガール)
ペネロープ・スフィーリス(ウェインズ・ワールド)


でしょうか。上から順にラモーンズ、イーディー・セジウィック&アンディ・ウォーホル、そしてサタデーナイトライヴ関連の映画となっておりますです。

一方の俳優陣ですが、、

ジャック・ニコルソン
デヴィッド・キャラダイン
ブルース・ダーン
ロバート・デ・ニーロ
ピーター・フォンダ


と、監督に比べてちと少なめか。最近のコーマン作品で主演してるのは、ギャラの安い俳優さんでしょうから、知らない人ばかりでした。もしデニス・ホッパーが生きてたら、絶対に出てたよね?対して、デヴィッド・”キル・ビル”・キャラダインはこの時はまだ存命でしたか。また、その昔日本でコーヒーのCM(マックスウェルかな?)に出てた頃は、チョー格好いいと思ってたピーター・フォンダは、今見るとそのアゴのデカさにビックリだわ。昔は欧米のスター達を、斜めとか横から見る事があまりなかったのかしら。そして、すっかり太っちょお爺さんになったジャック・ニコルソンは、「ロジャーのことを思うと泣けてくる」と目頭を押さえとった。年のせいで涙腺がバカになってるのか?それともここでも演技派なのか?どっちにしても、おじいちゃん大丈夫?と心配しちゃいましたわ。

しかし、誰もが口々に言うのは、

ロジャーと仕事して大変な目に遭った。でもそれが為になった。

でして、低予算・短期間で映画を作る為には、助監督にエキストラさせたり、俳優に雑事も当たり前。警察に許可を取らずにゲリラ撮影して、留置所に入ったスタッフがいたり。殆どのシーンがテイク1で済ませたり。借りてたロケ地で、時間が余ったから別の映画を撮っちゃうとか、まあ、現場は常に大童だったみたいですが、それが皆にとっては良い経験となって、その後の映画人生の役にたったというんです。

それに、ロジャーは唯ケチなだけでなく、その時代々々で求められてるものには非常に敏感で、体制に反抗する若者という、アメリカン・ニューシネマの基礎は、彼の映画によるところが大きい。また、後に映画界を一変させる『スターウォーズ』の大衆的エンターテイメント作品の方法論も、ロジャーが作ったものだと皆認識してるんですね。

ただ、ロジャーの元から巣立っていったスタッフは皆次のステップに進んでる中、彼は相変わらず低予算映画に留まり続けました。兎に角ルールに縛られるのを嫌い、ずっとインディーズでB級映画を作り続けている。エクスプローティション(=搾取)映画と呼ばれ、田舎町のドライブシアターでかかるような作品。70年代は濡れ場とバイオレンスが売りのR指定映画。永遠の反逆児であり、低予算&速撮りは彼の美学なのかもしれません。

さて、そんな中で、私が見てみたいと思ったのが、数少ない赤字作品の一つで、唯一の社会派作品『侵入者』です。この映画が公開後に日本でもDVD化されたようですね。映画の中では原題The Intruderしか字幕にありませんでしたから。

社会派においても、ロジャーは時代を先取りしていた証明とも言える作品でして、実際に人種隔離政策絶賛続行中の南部での撮影は、酷い妨害にあったそうな。白人優位主義者が黒人青年を陥れてリンチするような内容ですからね。で、実際南部のファンダメンタルな白人達は、怒り狂ってコーマン様御一行をリンチしかねない状況だったのでしょう。メディアでの評価が高かったにも関わらず、上映に妨害が入ったのか、大赤字の結果だったと。



しかし、メジャー会社では絶対に取り組めなかったテーマであり、低予算だからこそ、縛りがなく自由に革新的な表現が出来た、というのは、日本においても同じだった、ってのが面白いですね。今ではにっかつロマンポルノが再評価されてますから。

それと、ロジャーのお仕事で、もう一つ興味を惹いたのが、ヨーロッパ映画の配給。彼が好きな監督は、イングマル・ベルイマンやフェデリコ・フェリーニですって。良質なヨーロッパ映画と、自身作の搾取映画、というアンビバレントなのは、監督自身のお人柄とも重なって面白い。見た目はまるで知的な英国紳士の様なのに、火星人だのおっぱいだのの映画作っとる。誰が言ったか忘れちゃったのですが、

「ロジャーは泳げない俳優でも平気で崖から突き落とす」

んだそうですが、その一方でボグダノヴィッチの元ヨメ、ポリー・プラットは

「離婚して一人で困ってた時に、声を掛けてくれたのはロジャーだけ。”何時でも監督させてやる”って」

と言う、義理人情に溢れたエピソードもあったりして。大体、散々な目にあったけど感謝してる、って人の方が多そうだから、人間的に魅力があるのは確かな訳で、ヨメのジュリーはプロポーズされてOKしたら、即ロケでどっかに行っちゃって、目がテンになった話も面白かったです。それでも、離婚せずに40年以上一緒なんですから、

要するに、ロジャー・コーマン監督って、ツンデレなんでしょうね。

どんなにキツいこと言っても、どこかに愛情が感じられる。そんなロジャーが皆から愛されているのは、最後のアカデミー名誉賞授与式でも明らか。出席者の嬉しそうな顔を見れば分かります。乾杯の音頭を取ったロン・ハワードの言葉や、「地球の映画ファンがあなたに感謝してる」と言うタランティーノの祝辞。嬉しそうにオスカー像を手渡すジョナサン・デミ、それらを見守る人々と、会場全体に愛情に溢れていたんですね。そして、それに答えロジャーが言った「冒険を怖れずに(独創的、革新的な作品を作って)」は、後身だけでなく自分自身にも投げかけた言葉だったのでしょう。

とまあ、彼のB級映画には、余りに言及せずに終わってしまいますが、例え直接彼の作品を知らなくても、映画が好きな人なら何かしら引っかかるところがある筈で、きっと楽しめるのではないかと思いました。


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タグ: 60年代 70年代

テーマ:ドキュメンタリー映画 - ジャンル:映画

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Comment
あ~、こんな作品もあったんですね。
これも観たいです。
って、それほど僕はコーマン監督に詳しくありませんが・・・。
でもアメリカ映画のファンとしては非常に興味がそそられます。
バニーマンさんへ

> それほど僕はコーマン監督に詳しくありませんが・・・。
> でもアメリカ映画のファンとしては非常に興味がそそられます。

直接コーマン監督作品を知らなくても、アメリカ映画好きなら、だれもが間接的にコーマン作品と親しんでた、ということがよく分かるドキュメンタリーです。オススメです。


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  • 2015/08/31 21:21
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