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yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2015/03/10 08:55 yuccalina

『カルパチアのミューズたち』その(7)最終回~バルトークとコダーイ

暫く更新が途絶えてましたが、写真家・エッセイストみやこうせい氏のCDブック『カルパチアのミューズたち~ルーマニア音楽誌』を紹介してきたシリーズです。前回では、ルーマニア国内に住むハンガリー系の音楽と踊りの話を続けると書いたのですが、これはいつか別の形で書こうと思います。予定を変更して、バルトークとコダーイの話を最終回にしたいと思います。本書からの引用は全て赤字で紹介いたします。

カルパチアのミューズたち―ルーマニア音楽誌 CDブックカルパチアのミューズたち―ルーマニア音楽誌 CDブック
(2011/04)
みや こうせい

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参考までに、これまでのエントリーは以下の通りです。

その(1)と“カルパチアのマイノリティー達”~フツル、リポヴァン、レムコetc.
その(2)~オルテニアの悪魔払い?
その(3)~マレムレシュの踊り
その(4)~クレズマーを巡るマラムレシュのユダヤ人とロマ
その(5)~即興の叫び歌
その(6)~セーク村の結婚式と『ウルルン滞在記』他

実はこのシリーズと連動して書いているのが、マーティン・スコセッシ総指揮の『The BLUES Movie Project』です。ルーマニアのフォークロアとアメリカのブルースに、一帯何の関係があるのか、ピンと来ない人もいるかと思いますが、ユダヤのメロディクレズマーと、黒人のブルースが私の中で重なること。迫害を受けてきたゆえに、ユダヤ人がロマや黒人へのシンパシーを持っているのではないか、と言うのは上記”その(4)”において、既に言及しました。そして、今回強調したいのは、過去を記録することの重要性なんです。

マーティン・スコセッシが監督した『フィール・ライク・ゴーイング・ホーム』(紹介記事はコチラ)には、全米を訪ねてフォーク音楽を採集した、ジョンとアランのローマックス親子が登場していました。一方のバルトーク・ベラとコダーイ・ゾルタンは、トランシルヴァニア地方の民族音楽を採集保存したのです。

で、バルトークが民俗音楽から着想を得た曲と言えば、『ルーマニア民族舞曲』が一番有名ではないかと思うのですが、私は長い間、

ハンガリー人のバルトークがトランシルヴァニアの音楽から影響を受けた曲なら、ホントはルーマニア民族の舞曲でなく、ハンガリーなのでは?

と思っていました。その謎がこのみや氏の本で明らかになったんです。

トランシルヴァニアの農民による合唱曲や民謡の採集、分類、体系化にもっとも功績があったのは、ハンガリー出身のコダーイとバルトークである。バルトークは特に、マラムレシュへ的を定めてやって来た。・・・・コダーイとバルトークは、各々のフィールドワークの地域を分けた。前者はハンガリー北西部、後者は南東部へ民謡の採集に出かけた。携帯したのはエジソンの発明した蝋管蓄音機(フォノグラフ)である。二人は採集した音楽を持ち寄って聞き合い、選択し、結果、現来の土地に根ざす農民のごく素朴な音楽形式を発見し、世に蔓延していたジプシー音楽や、19世紀クラッシックなど、伝統に則る音楽形式を超克するきっかけをつかむことになった。

バルトークはルーマニア人が多く住む地域を担当していたので、勿論、農民達の民族アイデンティティーも理解した上での採集をしていたのでしょう。元々は「真のハンガリー音楽とは何か?」を追求する為に始めたそうですが、結果的には、ルーマニアを含め、様々な民族音楽に魅了されることになりました。それは、フィールドワークを通じて、異なる言語が隣り合う地域において、お互いに影響し合うフォークロアを目の当たりにし、自然と共に暮らす人々と数多く接することで、コスモポリタンに近付いたのでしょう。

動画は、クレズマーの回でも紹介したハンガリーのバンド、ムズィカーシュがオーケストラと共演したものと、



ルーマニアを代表するロマ・バンド、タラフ・ドゥ・ハイドゥークスです。



動画の最初でアコーディオン演奏してるのは、仮面舞踏会(ハチャトゥリアン)のロマ版オリジナルでしょうか?とても魅力的ですね。仮面舞踏会と言えば、即浅田真央ちゃんを思い出すワタクシですが、このバージョンならカラフルな花柄のジプシースカートに、髪にはスカーフを巻いて滑って欲しいにゃー、とか勝手に妄想してしまいました。

、、とか、また話が脱線してしまいそうですが、国境を持たないロマならではの、解釈というのが、民俗音楽を豊かにしてったのでは?とは想像に難くないです。

ハンガリー音楽のルーツを探し求めようとしたバルトークとコダーイは、村の音楽の採集、調査、作曲、演奏活動を通して、ナショナリズムや極端な愛国主義からなされる偏見や誹謗を退け、国境を超えて普遍を獲得した。その大きな契機の一つとなったのが、トランシルヴァニアの村の音楽であったことは、いくら強調しても足りない。二人の尽力で、ヨーロッパの知られざる辺境、マラムレシュやシク村の名が世に広まったのである。

先述のローマックス親子の息子アランは、後年アメリカを飛び出して世界各国の民俗音楽を採集し、音楽が人類の共通言語であると思い至ったこととも、通じるものがありますね。

さて、このようにバルトークとコダーイの採集&記録活動を讃える本を書かれているみや氏自身にも、私は同じ様な貢献を感じずにはいられませんわ。遠く離れた日本に、ルーマニアの美を伝えただけでなく、ルーマニア国内でも写真集を発表したそうです。

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そのお蔭で、小さな村にルーマニア国内から人々が詰めかける、自国の美を見直すキッカケになったとのことです。マラムレシュもシク(セーク)村も、写真集の発表された90年代とは変わってきてしまってるのは確かでしょうが、みや氏が写真と文章と、そしてCDに残した美しさは、失われることなく生き続けていくのではないかと思うのです。


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タグ: トランシルヴァニア 東欧 ロマ クレズマー

テーマ:ルーマニア - ジャンル:海外情報

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Comment
こんにちは。
タラフのこのアルバム持ってます。
クラッシックは、皆楽譜を読めない為、大変だったみたいですね。
抹茶アイスさんへ

> タラフのこのアルバム持ってます。
> クラッシックは、皆楽譜を読めない為、大変だったみたいですね。

そうなんですか。私はこの動画見るまで仮面舞踏会をやってるのを知りませんでした。アルバムも聴いてみたいです。


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