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yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2015/02/07 10:44 yuccalina

THE BLUES Movie Projectその(2)~スコセッシ『フィール・ライク・ゴーイング・ホーム』~ブルーズとアフリカを結ぶファイフの音色

マーティン・スコセッシ総指揮の『The BLUES Movie Project』を紹介する2回目です。前回のヴェンダース(コチラ)に引き続き、順番通りに2本目を紹介します。スコセッシ御大が監督した『フィール・ライク・ゴーイング・ホーム』はタイトルからも分かる通り、ブルーズのルーツに迫る内容です。

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案内役のコーリー・ハリスはカメルーンで言語学を学び、ニューオーリンズでフランス語教師をしながらストリートミュージシャンを始めたというブルーズマン。「自分が行く道を知るには来た道を知るべき」とブルーズのルーツを求め、アメリカ南部、ミシシッピーやアラバマ等を訪ねます。そこで、登場したのはロバート・ナイトホークの息子サム・カー、タジ・マハール、ウィリー・キング、そして、この人は初めて知ったのですがファイフ(笛)奏者のオサー・ターナー等々。

また、アメリカ全土を回り音楽を録音したジョン&アランのローマックス親子が残した映像や音源も、非常に印象的なものばかりでした。冒頭に出てきた太鼓とファイフの演奏は、正にアフリカンビートでしたし、黒人の囚人が労働しながら歌う『Long John』とか。



音声のみで、

地獄とは場所であって、状態ではないっ!(Hell is a place, not a state.)

と説教しているのは、多分アレサ・フランクリンの父クラレンスではないかと思いますし、刑務所で録音したレッド・ベリーの曲とか。インタヴューで「ボトルネックはサン・ハウスに教えてもらった」と答えるマディ・ウォータースとか。

フィーチャーされているブルーズメンは、そのマディ、サン・ハウスにロバート・ジョンソン、チャーリー・パットン、ジョニー・シャインズ、ジョン・リー・フッカーといったところ。シャインズは一緒に演奏活動してたロバート・ジョンソンについても語っていました。ジョンソンは27歳で早世し、録音した29曲と写真が2枚しか残っていない為、こうした発言は貴重な資料でもあるんでしょうね。



私が初めてジョンソンのレコードを買ったのは高校1年の時でしたが、全く、なんじゃこれー???だったのをよく覚えています。レッド・ツェッペリンがカヴァーしてるとの文句に釣られて、ベスト盤を買ってみたら、延々アコギの小っちゃい音で全部同じコード進行(当たり前か)で、同じ曲にしか聞こえなかったものです。しかし、私の人生がやっとブルーズに追いついたんだなー、とシミジミ。

とか、個人的感傷はこれくらいにしましょう。サン・ハウスについて語っていたのは、タジ・マハールともう1人。『ソウル・オブ・ア・マン』に引き続き登場したディック・ウォーターマンは、スキップ・ジェイムスだけでなく、サン・ハウスのマネージャーもしてたんですね。ってか、彼はブルーズ史にとってかなり重要な人物だったようで、マネッジメントしてたのは、スキップ、サン・ハウス以外にもミシシッピ・ジョン・ハート、ライトニン・ホプキンス、ジュニアー・ウェルズなぞ、私でも聞いたことある方々が多数。若い頃のボニー・レイットの才能を発掘したのも彼だとか。元々テレビのお仕事をしていて、ブッカ・ホワイトとジョン・ハートの番組を作った事がキッカケで、サン・ハウスと出会い、音楽界に復帰させたそうです。サン・ハウス本人が彼への感謝の言葉を述べる映像も出てきました。



で、サン・ハウスの叩きつけるようなギター奏法は、もしやかつて黒人奴隷がドラムを禁止されていた歴史と、無関係ではないのでは?ドラムは取り上げられても、代わりとなる楽器や歌に、そのエッセンスを込めていたのでは?と思えるのは、やはり、オサー・ターナーのファイフを聴いてると納得出来るんですね。



同じミシシッピ州でも北部の丘陵地帯に伝わる音楽だそうです。かつては禁止されていたドラムとファイフからなるサウンドは、明らかにアフリカのポリリズムなのですが、サン・ハウスやジョン・リー・フッカーの音との結び付きを感じるのです。ドラム音楽がどの様に伝えられて生き残ったのかも興味深いです。

その後コーリー・ハリスは西アフリカへ行き、そこで、サリフ・ケイタ、トゥマニ・ジャバテ、アリ・ファルカ・トゥーレを訪ねます。ファルカ・トゥーレとは『Catfish Blues』を共演して、お互いの文化の深い結びつきを確認しました。



そして、作品の締めくくりは、アフリカからアメリカ南部へ戻ります。オサー・ターナーが娘と孫のシャード・トーマスを伴って登場し、ウィリー・ディクソンの『My Babe』を演奏する。コーリー・ハリスも後ろでギターを奏でていました。オサー・ターナーはその収録後間もなく亡くなってしまったので、このプロジェクトは本当に貴重な音と映像を残したことになるんですね。間に合って良かったと心から思いました。オサーは最後の奏者と言われていたそうですが、孫娘のシャード・トーマスは立派に成長して、音楽活動しているそうです。

さて、アメリカのみならず、世界各国でフィールドレコーディングをしたアラン・ローマックスの、印象的な言葉がありました。それは音楽とは言語と同じくらい、人間に欠かせないものである、ということです。音楽とは人間の歴史を伝えてもいるんですね。ブルーズとは、アフリカから連れ去られ、奴隷となって渡った来た祖先から、唯一奪えなかったものであり、重労働と低賃金の過酷な生活を生き抜く為に、神様から与えられた宝物でもある、とも言われていました。

こうして諸先輩からインスピレーションを与えられたコーリー・ハリスが、どんなアーティストなのかも気になるところですが、DVDのアウトテイク集に入っていたハリスの『Honeysuckle』がとても素敵だったので、最後に貼っておきます。



彼の他の作品もこれからちょっとチェックしていこうかと思います。
その(3)へつづく


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テーマ:BLUES - ジャンル:音楽

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Comment
スコセッシ監督の音楽ものと言えば、ラストワルツが素晴らしかったですが、こちらも良さそうですね。
アフリカにルーツを探す旅なんですね。
今晩は♪
おーっ、この映画は何度見てもやられます!

ジョニーシャインズは大好きなブルースマンの一人です。サンハウスの叩きつけとジョンリーのストンプは確かに仰る通り、打楽器禁止の影響があるかと♪

ブルースマンの数だけブルースがあるって、この映画見て改めて思い知らされました♪
抹茶アイスさんへ

> スコセッシ監督の音楽ものと言えば、ラストワルツが素晴らしかったですが、こちらも良さそうですね。
> アフリカにルーツを探す旅なんですね。


ラストワルツ私も大好きです。
本作はヴェンダースとはまた違った切り口が良かったと思います。
ゆきまロックさんへ

> おーっ、この映画は何度見てもやられます!
>
> ジョニーシャインズは大好きなブルースマンの一人です。サンハウスの叩きつけとジョンリーのストンプは確かに仰る通り、打楽器禁止の影響があるかと♪
>
> ブルースマンの数だけブルースがあるって、この映画見て改めて思い知らされました♪


私も何度見ても新しい発見があります。
もっともっと色んなブルーズメンを聴きたくなってきます。
こんにちは!
記事を拝見していると欲しくなってきました。
いや、これはヤバいですよ!
乙山さんへ

> こんにちは!
> 記事を拝見していると欲しくなってきました。
> いや、これはヤバいですよ!

そうですか、良かったら是非~!
やはりスコセッシは凄いと思いました。ヴェンダースも良かったんですけど、これを見たらさらにもっとブルーズを知りたくなったんです。
こんばんは。
サン・ハウス、知らなかったのですが、映像まで残ってて凄いですね。
この過剰な右手の動き、凄過ぎです。
とても一人でやってる演奏とは思えないですが、その裏には、ドラム禁止の影響ありですか。ん~、鋭い指摘だと思います。
ジオヤーさんへ

> サン・ハウス、知らなかったのですが、映像まで残ってて凄いですね。
> この過剰な右手の動き、凄過ぎです。
> とても一人でやってる演奏とは思えないですが、その裏には、ドラム禁止の影響ありですか。ん~、鋭い指摘だと思います。


私もサンハウスって鮎川誠がバンド名に使ってたことくらいしか知りませんでしたが、あまりにカッコ良くてハマりそうです。長生き(享年86歳)してくれたおかげで、色々と映像も残っているみたいですよ。



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