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yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2015/02/10 15:52 yuccalina

『オーケストラ!』から辿りついたジョルジュ・ブーランジェとタンゴのお話

先日は映画『オーケストラ!』絡みで、ルーマニア出身のヴァイオリニスト、サラ・ネムタヌを紹介しました(コチラ)が、彼女のアルバム『Gypsic』で取り上げていた曲『Avant de Mourir』の作者、ジョルジュ・ブーランジェ(1893~1958)が気になって、YouTubeを漁ってるうち、見事にハマッてしまいました。

ジョルジュ・ブーランジェ(Georges Boulanger)、元の名はゲオルゲ・パンタジ(Gheorghe Pantazi)、ルーマニア南東部トルチャの生まれの作曲家でヴァイオリニスト、何代も続くロマ音楽家の家系。幼少期に父からヴァイオリンの手ほどきを受けた後、12歳でブカレスト音楽院奨学金を受け、レオポルト・アウアー(ハンガリー出身のユダヤ人ヴァイオリニスト)に学ぶ。ここで、ロマとユダヤ人音楽家の出会いがあったのも、私的にはとても興味深いです。1910年、17歳で音楽教育を修了し、サンクトペテルブルグのカフェ・シャンタンで首席ヴァイオリニスト、そしてリトアニア人女性と結婚。ジプシー音楽、バルカンフォークやウィンナー・ワルツを融合させたバックグラウンドミュージック(BGM)を生み出し、サロン・ミュージックと呼ばれるようになる。1917年にブカレストへ戻り、1922ベルリンでの活動を開始。その裏には、ロシアでの彼のファンの殆どがベルリンに移っていたから、と言うのはロシア革命の影響でしょうね。1926年、突然ブーランジェを名乗るようになる。1920年代の始めから、1948年までドイツに住み、ドイツ映画にも複数出演していたようです。残した作品は約250曲。

一番有名な曲『Avant de Mourir』のオリジナルは1929年に書かれたものですが、その後1939年にジミー・ケネディにより英語の歌詞を付けられ、『My Prayer』のタイトルで発表されました。以降、ジャズやR&B、ポップス等様々なジャンルのアーティストにカバーされています。私がこの曲に聴き覚えがあったのは、多分、映画『マルコムX』を見ていたからでしょう。The Inkspots’のカバーが挿入されていたそうです。一番有名なバージョンはザ・プラターズ版で全米No.1ヒットになり、後に『ベンジャミン・バトン』でも使用されました。等々、数あるカバーの中でも、私が一番親しみのあるアーティスト、ロイ・オービソン版を先ずは紹介しましょう。



この曲のヒット故に、ブーランジェはポップスの領域で語られることが多いんでしょうね。しかし、クラッシックの楽団が演奏するような曲も色々あるんですよ。ブーランジェが活躍した年代からして、自身及び楽団の録音も多数残っています。YouTubeにもアップされてる中でも、約1時間半に30曲ほど収められているものがあり、これを聴けば、彼がどんな曲を作り、演奏していたかが分かります。



1. Tokay 00:00:00
2. Trauriger Sonntag 00:03:00
3. Die launische Polka 00:05:40
4. Tango Marina 00:08:30
5. Gruß an Franz Liszt 00:11:20
6. Comme ci, comme ça 00:14:23
7. Puszta-Märchen 00:16:26
8. Rote Rosen 00:19:22
9. Da Capo 00:22:17
10. Winke, winke 00:24:55
11. Krach - Czardas 00:27:50
12. Afrika 00:30:15
13. Von der Puszta will ich träumen 00:32:50
14. Liebesgruß (Elgar) 00:36:06
15. Liebe 00:38:59
16. Puszta-Fox 00:41:43
17. Julikah 00:44:40
18. Schwarze Augen 00:47:35
19. Flageolett-Walzer No1 00:50:34
20. Russisch 00:53:00
21. Wien, du Stadt meiner Träume 00:55:44
22. La Trioletta 00:58:30
23. Menuett (Boccherini) 01:01:36
24. Vergiß mein nicht 01:04:40
25. Quand je suis content 01:07:11
26. Avant de mourir 01:09:50
27. Die lustige Puppe 01:12:47
28. Unter Sternen küß mich 01:15:41
29. Komm Tzigan 01:18:25
30. Max und MorItz 01:21:12
31. Zigeunerlied 01:24:13
32. Ave Maria 01:27:01


全盛期にベルリンが拠点だった為か、ドイツ語のタイトルが多いですね。その次がフランス語かな。14エルガーや23ボッケリーニ等のクラッシック曲もありますが、殆どがブーランジェのオリジナルで、ジャンルはウィンナーワルツやタンゴ等、当時ヨーロッパのキャバレー(日本のとはちょっと違います)やカフェで演奏されていたダンス音楽。全て3分程度の短い曲ばかりです。

先程の『Avant de Mourir』は「死ぬ前に」と言うタイトルが示す通り、暗く重たい雰囲気の曲でしたが、全体的には、軽快でダンサブルな曲が多い気がしました。6や9なんかは、古いアニメのBGMみたいですし。そんな中で私が先ず注目したのが、ハンガリーとジプシーのテイストなんです。

トランシルヴァニア地方がまだオーストリア・ハンガリー二重帝国に属していた時代であり、そう言う意味ではウィンナーワルツも文化的に親戚とも言えるのかしら?ルーマニアから見たら、ハンガリーはかなりの都会だったんでしょうね。洒落じゃないですけど、1のタイトル、トカイはワインで有名なハンガリーの地名ではないでしょうか。そして、7、11、16、29、31と言った、タイトルにチャルダシュ(ハンガリーの踊り)、プスタ(ハンガリー大平原)、ツィガン(ジプシー、ロマのこと)が付いた曲は、明らかにハンガリー調であり、トランシルヴァニア地方のダンス音楽と重なるメロディを聞き取る事が出来ました。

そんな訳で、次は上の動画に入ってなかった曲『Tzigane Serenade』です。



歌う様な音色は正にジプシーヴァイオリンではないでしょうか?何度聴いてもワクワクしてしまします。

そして、もう一つ私が気になったのがタンゴ。1910年代にルドルフ・ヴァレンチノが映画で踊ったタンゴが、ヨーロッパでも流行してたので、ブーランジェが取り入れたのも当然なんでしょうけど、彼は1948年に南米へ渡り、最後はアルゼンチンで亡くなっているのです。時代的に、もしやブーランジェとアストル・ピアソラと何か繋がりはなかったのか、とても気になるところ。




『Tango Cigano』はずばりロマのタンゴってことですね!

しかし、ブーランジェって日本での認知度はかなり低い様です。ネット検索したところ、とあるデータベースでは、写真が同姓同名のフランス軍人に間違えられてたり(コチラ)しています。概ね『My Prayer』の作者である程度しか言及されておらず、英語版のウィキペディア(コチラ)くらいしか情報がありませんでした。もし何か情報ソースをご存知の方は是非教えてくださいませ。

なので、これは飽くまで私の想像でしかないのですが、ブーランジェがヨーロッパでタンゴを作曲したのは、流行りだったからと言う理由だけでなく、きっとどこか共感出来る部分があったのではないかしら。ロマ音楽やバルカンフォークと同じくらい、親近感を持てる音楽だったのかも?ダンスの視点からも、ロマの踊から派生したフラメンコ→ハバネラ→タンゴと言う繋がりがある訳ですから、当然音楽も無関係ではなさそうです。スペインを始めヨーロッパから南米に渡った人々の中には、ロマの血脈を受け継ぐ者がいたのではないでしょうか。インドからヨーロッパにたどり着いたジプシーサウンドが、更に南米に渡ってったことを想像するだけで、私は妙にテンションが上がってしまうのでした。

ジョルジュ・ブーランジェの生涯に、そんなロマの歴史と旅を重ね合わせつつ、彼の音楽を楽しんでいる今日この頃ですが、最後にもう1曲。30年代には日本でもタンゴブームがあったそうな。当時はアルゼンチンからではなく、ヨーロッパ経由のコンチネンタルだったそうですが。



カスタネットタンゴは1935年の作品。作曲は服部良一大先生、奥野椰子夫作詞、歌唱は藤村光男。この時代の音楽を聴いていると、何故か優雅な気持ちになってくるから不思議ですわ。


お読み頂きありがとうございました。
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タグ: ロマ トランシルヴァニア

テーマ:バイオリン音楽 - ジャンル:音楽

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Comment
こんにちは。
My Prayerは聴いたことありましたが、作曲家のことは全く知りませんでした。メランコリックなメロディは確かにジプシーの音楽を思わせるとこがありますね。
抹茶アイスさんへ

> My Prayerは聴いたことありましたが、作曲家のことは全く知りませんでした。メランコリックなメロディは確かにジプシーの音楽を思わせるとこがありますね。


そうですか。
やっぱり、ブーランジェが語られてることって、あまりないんですね。


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