プロフィール

yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

月別アーカイブ
リンク

ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2015/01/27 08:14 yuccalina

『オーケストラ!』は多国籍・多民族のハーモニー?

先日紹介した映画『オーケストラ!』(記事はコチラ)の続きです。

オーケストラ! スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]オーケストラ! スペシャル・エディション(2枚組) [DVD]
(2010/11/04)
アレクセイ・グシュコブ、メラニー・ロラン 他

商品詳細を見る


私はルーマニアのロマ(=ジプシー)バンド、タラフ・ドゥ・ハイドゥークスのカリウ(アンゲル・ゲオルゲ)が重要な役を演じた事に、とても興味がありました。ロシアはその他の東欧諸国に比べ、ロマの人口比は決して多くない筈だからです。そこには何か、ラデュ・ミヘイレアニュ監督の意図があるのでは?と思ったんですね。そして、ロシア人を主人公としいること自体もでして、共産党時代のルーマニアで生まれ育った監督にとって、ロシアは決して好ましい国ではないのではないか、と思ったからなんです。

で、ネットを調べてたら、監督のインタヴューを発見し、この2つの疑問に対する答が見つかりました。

『オーケストラ!』ラデュ・ミハイレアニュ監督単独インタビュー 【シネルフレ】より

ストーリーは、香港であった偽オーケストラの事件と、本当にユダヤ人をかばってクビになったロシア人指揮者がいたという事実をベースに、監督が脚本を書いた(共作)とのことで、やはりロマ音楽家を加えたのは、彼のアイディアだったみたいです。

詳しくは上記のインタヴューを読んでいただくとして、私が注目したところは以下の通り。

・ ロシアでは様々なアイデンティティの民族が共存している。
・ 監督自身、子供の頃にルーマニアでロマの人々と一緒に過ごした経験があり、その文化にとても興味を持っている。
・ ロマは差別を受けながらも、非常にポジティヴに生きている、世界中に仲間がいて助け合っている。


つまり、オーケストラのハーモニーと、多民族のハーモニーを重ね合わせているのかも?と思ったのです。ミハイレアニュ監督が、ロシアと同様に多民族で構成されているルーマニアで生まれ育ったことと、無関係でないかもしれません。後で知ったのですが、主人公アンドレイを演じるアレクセイ・グシュコフは実はポーランド生まれのロシア人でした。また、地下鉄の中でユダヤ人楽士達が踊っているシーンのBGMに、ハチャトゥリアン(アルメニア人)の『剣の舞』を使用したりと、意識的に多様な民族と文化をミックスしているんじゃないかしら?アンドレイと友人のサーシャがロマのキャンプを訪れるシーンで、カリウがメンデルスゾーン(ドイツ出身のユダヤ人)のヴァイオリン協奏曲を弾くのも、パリのアラブ料理店では、ロマがルーツとされるベリーダンスが出てきたのにも、意図を感じたのでした。

また、こちらはシェレメチェボ空港でロマ集団が、偽造パスポート&ヴィザを発行する場面で流れる曲『Nani Nani』なんですが、、。



タラフ・ドゥ・ハイドゥークスのメンバーが出演してるのだから、当然タラフの曲かと思いきや、ケーク・ラング(Kék Láng)というアーティストでした。Kék Lángは、ハンガリー語で「青い炎」 と言う意味で、どうやらハンガリーのロマバンドの様です。ただ、タイトルの『Nani Nani』はハンガリー語ではなく、ロマニー語なのかしら?ロマニー語に近いとされているヒンディー語で、お祖母ちゃんのことをNaniって言うんですが、確かにシェレメチェボ空港のシーンの前に、ワシリー(カリウ)とアンドレイの会話で、お祖母ちゃんの話が出てくるんですよね。と、これはあくまで私の想像でして、残念ながら、ネットでは情報を探しきれませんでした。もし、ご存知の方がいらっしゃいましたら、お教えくださいませ。

もう一つ、ロマ音楽らしきエンディングテーマの『Ai Routchiok』はフランスのアーティストLes Yeux Noirs(黒い瞳の意)によるものでしたが、Slavaという女性ヴォーカルのグループによるパフォーマンスを発見しました。



ちなみに、Slavaはロシアのグループの様です。

さて、同じマイノリティとしてユダヤ人とロマは共感する部分が多いのでは?という話は、以前『カルパチアのミューズたち』の記事(コチラ)で書きました。ルーマニア北部のマラムレシュ地方では、ユダヤ人の音楽クレズマーをロマの音楽家が継承している、という話です。今回のミハイレアニュ監督のインタビューによると、ブカレストという都会においても、ユダヤ人とロマの交流があったということですが、もしかしたら、ロシアに於いてもユダヤ人とロマはどこかで結びついているのかもしれませんね。

そう言えば、トニー・ガトリフ監督の『ラッチョ・ドローム』では、腕に番号がきざまれたロマのお婆さんが、「アイシュビッツでどーした、こーした」言う歌を歌ってる場面があったのを思い出しました。ナチス時代にはユダヤ人だけでなく、多くのロマが強制収容所に送られたそうです。やはり歴史的にも通じる部分は多いのかもしれません。

ロマが差別にも関わらずポジティヴに生きている、と言うミハイレアニュ監督の言葉は、そのままこの『オーケストラ!』の世界観と見事に符号している気がします。少し前に書いた、『最強のふたり』(記事はコチラ)のフィリップさんの言葉を思い出しました。

不条理とは楽観への手掛かりである。

また、フランクルは『夜と霧』でこう書いていました。

ユーモアとは自分を見失わない為の武器である。

『オーケストラ!』が決して「ユダヤ人が差別されて可愛そう」な映画でなく、逞しく生きる姿がユーモラスに描かれているのは、ミハイレアニュ監督自身もロマの様な楽観性を備えているからかもしれませんね。

最後に、これはもしや監督が込めた思いでは?と感じる言葉を紹介します。コンサートを抜け出してフランス共産党大会に行こうとするマネージャー、ガヴリーロフを引きとめようとアンドレイはこう言いました。

leconcert5.jpg
leconcert6.jpg
leconcert7.jpg
leconcert8.jpg

魔法の音とハーモニーを生み出そうと団結するオーケストラが一つの世界だとすると、ユダヤ人だけで固めずにロマを加えたのは必然だったのかも?と思ったのでした。


お読み頂きありがとうございました。
↓良ろしかったらポチお願い致しますm(__)m

blogram投票ボタン
関連記事
スポンサーサイト

タグ: フランス ロマ トランシルヴァニア 東欧

テーマ:ルーマニア - ジャンル:海外情報

西風と共に散りぬキンギョソウetc. | ホーム | 芸歴20年目のスター誕生?~セカオザこと小沢一敬(スピードワゴン)のこと
Comment
こんにちは。
Nani Nani、初めて聴いたので詳しいことは分かりませんが、アラブっぽい雰囲気がしますね。
フィンランドに来たばかりのころ、衛星放送を契約してBBCやCNNのニュースをよく見てたんですけど、たまに何となくロシアのディベートショーを眺める事があったニダ。意味もわからず、眺めてましたが、韓国系らしき女性とチェチェン辺りの風貌の男性と白人男女の4人がレギュラーで、みんなネイティブのようでした。あれを見てロシアは広いなぁ、他民族だなぁと思ってましたが、一般的にロシア人の黒人差別はあからさまニダねw黒人差別を見て、ぎょっとした事が何度かありますデヨ。

一度、親しくしてたロシア人にそれを言ったら、「黒人はロシアにいないから、慣れてないのよ。」と言われますた。
この映画のように様々な民族が美しいハーモニーを奏でられるようになる日が来るのを願ってますミダ。
抹茶アイスさんへ

> Nani Nani、初めて聴いたので詳しいことは分かりませんが、アラブっぽい雰囲気がしますね。

そうですね。ロマはインド起源で当然中近東も通ってヨーロッパまで来たんでしょうね。
Mansikka様こんしお~!

> フィンランドに来たばかりのころ、衛星放送を契約してBBCやCNNのニュースをよく見てたんですけど、たまに何となくロシアのディベートショーを眺める事があったニダ。意味もわからず、眺めてましたが、韓国系らしき女性とチェチェン辺りの風貌の男性と白人男女の4人がレギュラーで、みんなネイティブのようでした。あれを見てロシアは広いなぁ、他民族だなぁと思ってましたが、一般的にロシア人の黒人差別はあからさまニダねw黒人差別を見て、ぎょっとした事が何度かありますデヨ。
>


おロシアはチンギス―ハーンの時代に征服された歴史もあるから、アジア系には慣れてる感じしますね。そのせいか分かりませんが、私には同じヨーロッパ系でも親しみやすいルックスに感じます。

でも、「ロシアで黒人差別が酷い」のはショックですわ~!というのも、最近知ったのですが、アメリカの黒人バレエの基礎を作ったのは、ロシアから渡ってきたダンサー達(その中にはユダヤ系が多そうですが)と言われてるからです。アメリカのバレエ団に初めて黒人ダンサーを入れたのもロシアからやってきたバランシンですし。

> 一度、親しくしてたロシア人にそれを言ったら、「黒人はロシアにいないから、慣れてないのよ。」と言ますた。
> この映画のように様々な民族が美しいハーモニーを奏でられるようになる日が来るのを願ってますミダ。


確かに慣れというのはありますね。今ではヨーロッパのバレエ団でも黒人ダンサーがいる時代ですが、ロシアにはいなさそう。黒人音楽やダンスがもっとポピュラーになったら、状況は変わらないかしら?


Trackback
この記事のトラックバックURL
http://notarinotariyoga.blog.fc2.com/tb.php/1069-21e4b273
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
ご訪問ありがとうございます
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
最新トラックバック
ユーザータグ
フリーエリア
RSSリンクの表示
Web page translation
QRコード
QR