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Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2015/01/22 08:51 yuccalina

『オーケストラ!』は愛と笑いに溢れたファンタジック音楽映画

去年ルーマニア映画『私の、息子』を見て以来(記事はコチラ)、「ルーマニアン・ニューウェイヴ」と呼ばれる作品が気になっていたワタクシ。今回紹介するのはフランス映画ですが、『オーケストラ!』の監督ラデュ・ミヘイレアニュはブカレストで生れ育ち、20過ぎでフランスに移住(当時はまだチャウシェスク政権時代でしたから、移住と言うよりは亡命と言った方が良いかな?)したユダヤ人だそうです。それ故に、この映画はルーマニアン・ニューウェイヴに名を連ねているのですね。舞台がモスクワとパリになっているので、主要なキャストはロシア人とフランス人で占められているものの、全体ではルーマニア人の出演が多いみたいですし。

で、昨年末にBSプレミアムで放送されたのを、録画することができました。

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ここからネタバレになりますが、ザックリ言えば、30年前の旧ソ連、ブレジネフ政権時代にユダヤ人音楽家の排斥に反対して楽団を追われたロシア人マエストロ、アンドレイ・フィリポフの一発逆転ストーリーです。自分が指揮をしていたボリショイ劇場で清掃員をするという苦汁をなめ、酒浸りの日々だったアンドレイが、ひょんなことからパリのシャトレ座で「チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲」を、偽のボリショイ管弦楽団(=かつてのメンバーだったユダヤ人音楽家達)を率いて再演しようと奔走します。パリでは旧友の忘れ形見で、花型ヴァイオリニストに成長したアンヌ・マリーと共演し、大成功を収め大団円という具合。

笑いあり、涙あり、最初は乗り気でなかった太っちょチェリストのサーシャが大活躍し、妻のイリーナもここぞというところでアンドレイを助けます。元KGBのガブリーロフも共産党復権という個人の野望を持ちつつも、最後はアンドレイの味方となって神に祈る。そうして迎えたコンサート本番の演奏シーンがもう素晴らしくて、私は何度もリピートしてしまいました。曲が途切れることなく、過去や未来のシーンを織り交ぜて、謎解きもするという構成も素敵でしたが、私が一番感動したのは、兎に角オーケストラを演じる人々の表情が非常にイキイキしていたところですね。



アンドレイとアンヌ・マリーの会話の中で、このような言葉が出てくるのですが、

leconcert2.jpg
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音を合わせ心を合わせた究極のハーモニーが、演奏者と聴衆を空高く羽ばたかせて、天にも昇るような夢心地。オケや観客の表情を捉えるカメラも、見事にそれを表現していたと思うのです。『オーケストラ!』が公開された年、フランスでのクラッシックチャートの1位はこのヴァイオリン協奏曲だったそうで、なるほど、私もCDが欲しくなりました。そして、コンサートでの生演奏も聴いてみたくなりましたわ。

30年も演奏から遠ざかり、楽器を手放していた団員すらいたオーケストラが、リハーサルもせずに、借り物の楽器であんな上手くいくわけがない!と突っ込みたい人もいるでしょうが、この映画はリアリスムを追求するものではありません。一種のファンタジーだと私は受け取りました。演奏が始まった時は、不安気な表情をし音を外す者もいて、全くまとまりのないグダグダなオケ。観客はザワつき、支配人は顔を覆うのですが、アンヌ・マリーのヴァイオリンソロを耳にした途端、魔法にかけられたように楽団の音が変るのです。まるで30年前にタイムスリップしたように。そして、演奏を終えた時の至福の表情。そうした魔法をこちらも素直に楽しみたいと、私は思ったのでありました。最後にアンドレイとアンヌ・マリーが天を見つめるのも、象徴的でしたしね。

まあ、突っ込みどころは他にも沢山ありますから。そもそもロシアの楽団にロマの第一ヴァイオリニストなんてねあり得なくね?とか、赤ちゃんだったアンヌ・マリーを楽器ケースに入れて、フランス大使館に連れて行くシーンとか。あの大きさの荷物で、KGBが中身をチェックしない訳がない。また、ロマ(ジプシー)の集団が、空港で偽のパスポート&ヴィザを堂々と作ってるシーンもありましたしね。この様に何でも都合よく回すのは、コメディの必須とも言えますか。音楽ジャンルは違えど、ブルース・ブラザーズ的展開を痛快に思える人には、かなり楽しい映画だと思います。だからこそ、先の演奏シーンで、金はあるけど音楽の才能ゼロのスポンサー、トレティアキンが縛られて演奏させてもらえないカット(上記動画の8:32~)が活きてくるのではないでしょうか。

そのトレティアキンを演じたのは、『私の、息子』にも出演していたリポヴァン(=古儀式派ロシア)人のヴラド・イワノフ。彼はルーマニア国籍ですが、やはりロシア語も母語なんですね。ロシア人役に全く違和感がありませんでした。そして、もう一人ルーマニアの有名人が出ております。さきほど、ロマの集団が登場すると書きましたけど、その親分格、ワシーリーを演じたのが、タラフ・ドゥ・ハイデュークスのリーダー、カリウことアンゲル・ゲオルゲ。タラフはルーマニアのロマ音楽を牽引していて、映画出演も多数。その音楽性については、書き始めると長くなりますので、別の機会にまわしますが、この映画でも見事なヴァイオリンを披露しています。



パガニーニのカプリースですね。もう一曲メンデルスゾーンもあったのですが、こちらは動画が見つからず残念。ハンガリー人とユダヤ人の曲というチョイスは、監督さんの指定だったのかどうか、気になるところです。また、カリウがフランス語を話すのは、ルーマニア語との関係を考えれば、得意なんだろうなと想像がつきますが、ロシア語も流暢に喋ってました。

と言ったところで、そろそろ〆に入らねば。この映画には私の好きな要素が沢山ありすぎて困りましたが、何だかんだ言って私はロシアに愛着があるんだなあ、と再確認しました。20代半ばで旧ソ連関係の仕事をしていたことは、既に何度か書きましたが、ロシア語の響きが何やら心地よいことに気がついたんです。勿論、全然出来やしないんですけど、スパシーバ=ありがとう、ハラショー=いいね、ニチェボー=気にすんな、ダバイ=やっちゃいな、等々、聞き覚えのあるワードがミョーに懐かしかった。

まあ、この映画については、また何か書くことになりそうですが、最後にもう1つだけ。チョイ役ですが、シャトレ座支配人デュプレシの秘書役で、サラ・マーティンスが出演してたのもツボでした。

leconcert1.jpg

彼女はイギリスのドラマ『ミステリー・イン・パラダイス』(記事はコチラ)で知ったのですが、フランス語圏でも活躍してる女優さんなんですね。確かドラマでも、フランス語を話す場面があったかな?テレビドラマで知った顔を映画で見つけた時って、妙に嬉しくなってしまうのでした。


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タグ: フランス 東欧 ロマ

テーマ:オーケストラ - ジャンル:音楽

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Comment
yuccalina様、ばんしお~!
この映画、見たいなぁと思いつつ、すっかり見忘れてしまってたんです。今度、レンタルビデオ屋さんか図書館でDVD探してみるニダ。

チャイコフスキーとシベリウスのバイオリンコンチェルトはウリが一番よく聞くコンチェルトなんです。好きな曲を映画に使われると嬉しいニダねぇ。

ロシア語の響きはウリも好きですミダ。世話好きで世間話好き、冗談好き、そんなロシア人の国民性も好きなんです。以前、ロシア人のお友達のジョークに突っ込む時、よく「シュト?(何?)」を使ったことを思い出しますた。
これは面白かったです。

ホント、ツッコミどころ満載ですが、そんなことは関係ありません。

正直言って、メラニー・ロランを見るために観たのですが、
良かったです(笑)。
Mansikka様こんしお~!

> この映画、見たいなぁと思いつつ、すっかり見忘れてしまってたんです。今度、レンタルビデオ屋さんか図書館でDVD探してみるニダ。

じぇひ見てくださいませー!ロシア人がバカにされてるのでは?という意見もあるようですが、私にはそれほど嫌な感じはしませんですたわ。

> チャイコフスキーとシベリウスのバイオリンコンチェルトはウリが一番よく聞くコンチェルトなんです。好きな曲を映画に使われると嬉しいニダねぇ。

クラッシックには全く疎くて、これがチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ですたか?と認識したくらいです。

> ロシア語の響きはウリも好きですミダ。世話好きで世間話好き、冗談好き、そんなロシア人の国民性も好きなんです。以前、ロシア人のお友達のジョークに突っ込む時、よく「シュト?(何?)」を使ったことを思い出しますた。

ロシア人の世話好きで世間話好き、冗談好きはソ連時代から言われておりますた。『オーケストラ!』でも人情の篤さが描かれております。
バニーマンさんへ

> これは面白かったです。
>
> ホント、ツッコミどころ満載ですが、そんなことは関係ありません。
>
> 正直言って、メラニー・ロランを見るために観たのですが、
> 良かったです(笑)。


ご覧になってたんですね。
私は最近の映画界には全く疎くて、メラニー・ロランも知りませんでした。知ってたのはミュウ・ミュウくらいですwww


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