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yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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2014/12/13 10:54 yuccalina

THE BLUES Movie Projectその(1)~ヴェンダースの『ソウル・オブ・マン』

クリント・イーストウッド監督の『ピアノ・ブルース』以来、ずっと欲しかったDVDボックス『THE BLUES Movie Project』を買ってしまいました~!

とは、水曜日ルーマニア北部マラムレシュ地方のクレズマーの話をした時に、既にばらしてしまってたんですが(コチラ)、そこでも触れた通り、ブルーズとユダヤ人の関係性にも着目しつつ、ぼちぼち紹介していこうかなと思っております。

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マディ・ウォーターズ、BBキング 他

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最初にピーター・バラカンさんのライナーをざっと読んだのですが、このプロジェクトはアメリカの伝統音楽としてのブルーズを後世に伝える為に、スミソニアン財団から予算を貰って、テレビ用につくられた作品7本だったんですね。とは言え、学術的でもお堅い訳でもはありません。総指揮をしたマーティン・スコセッシ監督を始め、音楽に一家言ありそうな皆様が製作にあたった様ですが、タイトルと監督は以下の通りです。

1. 『ソウル・オブ・マン』 ヴィム・ヴェンダース
2. 『フィール・ライク・ゴーイング・ホーム』 マーティン・スコセッシ
3. 『レッド、ホワイト&ブルース』 マイク・フィギス*
4. 『ロード・トゥ・メンフィス』 リチャード・ピアース
5. 『デヴィルズ・ファイア』 チャールズ・バーネット
6. 『ゴッド・ファーザーズ・アンド・サンズ』 マーク・レヴィン
7. 『ピアノ・ブルース』 クリント・イーストウッド*

(*印は既に視聴済)

DVDを見る前に、先ずはブックレットに目を通してみました。6番目のマーク・レヴィンという監督さんが、名前からしてユダヤ系っぽいなー、と思ってたんですが、ブルーズの名門チェスレコードのお話みたいですね。チェスの創始者がポーランドから移民したユダヤ人のチェス兄弟と言うことで、早くも私のアンテナがピピピーとキャッチしたのですが、ここは定石通り、ヴェンダースの『ソウル・オブ・マン』から見ることにしました。

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スキップ・ジェイムス、J.B.ルノアー 他

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ブラインド・ウィリー・ジョンソン、スキップ・ジェイムス、JB・ルノアーという3人のブルーズメンにスポットを当て、その音楽をアメリカの無人宇宙探査機ヴォイジャーの旅になぞりながら、映画は進んで行きます。そのイントロダクションに、最初はなんのこっちゃと、ポカーンなってしまった私でしたが、ジョンソンの歌『ダーク・ワズ・ザ・ナイト』が地球の音の一つとして、その探査機に積まれていたそうです。

<ジョンソンを演じるのはクリス・トーマス・キング>


そして、ジョンソンを語り部として、スキップとルノアーへ話が繋がって行くのですが、年代的に映像が残っていないジョンソンと30年代のスキップは俳優が演じ、歌以外は無声映画の様に字幕を入れるスタイル。その後、ルノアーと60年代のスキップは実録映像で、実際に親交のあった人々の話も加わっていきます。さらに、3人のブルーズメンをリスペクトする現代の様々なアーティスト達によるカバーが挟み込まれ、そのバランスが絶妙なんですわ。登場するのは、ルー・リード、ニック・ケイヴ、ベック、ジョン・スペンサー・エクスプロージョンン、ジェイムス・ブラッド・ウルマー、ボニー・レイット、T-ボーン・バーネット、ロス・ロボス等々。いかにもヴェンダース好みのアーティストが並びます。

どれも甲乙つけがたい素晴らしさなんですけど、スキップがレコーディングを終えて汽車に乗り込むシーンで流れる、ルー・リードの『ルック・ダウン・ザ・ロード』にはゾクゾクしました。



さて、ヴァンダース監督のJBルノアーへの思い入れは、ジョン・メイオールの『Death Of JB Lenoir』という曲から始まったそうです。JB・ルノアーって誰だ?と探し求めるうちに、60年代にアメリカ人とスウェーデン人のシーバーグ夫妻が彼の短編映画を撮っていたのを突き止めました。2人のインタヴューを交え、その貴重な映像が紹介されます。当時スウェーデンのテレビ局からそっぽを向かれ、ずっとお蔵入りだったのを、ヴェンダースが発掘したという訳ですね。その中で私が一番好きなのが、若き日のシーバーグ氏と2人でギターを弾く『ラウンド・アンド・ラウンド』。



「最近新しい踊りを覚えた長女の為に作った」と紹介するルノアーはとても優しいお父さんだったのでしょうね。そして、シーバーグ夫人によれば「よき家庭人であり、信仰心が強く信念を持っていたところが、キング牧師と共通していた」とか、「後期のJBの歌は、より精神的、政治的に変化していた」とか、人間的にもとても素晴らしい方だったようです。ジョン・メイオールがその死を嘆いて、歌にしたのも分かるような気がしました。彼は1967年、38歳の若さで亡くなるのですが、交通事故時に適切な処置をされず、間接的には黒人差別のせいで命を落とす結果となった様です。

ジェイムス・ブラッド・ウルマー、ヴァ―ノン・リード、イーグル・アイ・チェリーによる『ダウン・イン・ミシシッピー』も良いですねえ。



ウルマーってアバンギャルドなジャズという事で、ラフトレードからアルバム出てたり、ポストパンク好きとかぶってたとこがありましたけど、ニック・ケイヴやジョン・スペンサーに負けないアグレッシヴな音だなーと感心。かつ、ブルースハープが入ってくると、何とも言えない味わいだったのであります。

ルノアーがミシシッピーの綿畑での重労働を歌ったものですが、その中でも印象的な一節が、

They had a hunting season of rabbits.
ウサギには狩猟期があるが
If you'd shoot them you went to jail.
禁猟期に撃てばムショ行きだ
The season was always open on me
だが、俺の狩猟期は一年中


ここで、先日書いた、みやこうせい氏のクレズマーに関する記述が思い出されます。

みずからの置かれた現状を見すえて戯画化する、あきらめの中にふときざす心のゆとり、ユーモア

実はみや氏の本では、ユダヤ人狩りで家族が一人消え、二人消え、、、最後に残ったのは血だけ、等というクレズマーの歌詞が紹介されたてんです。

ただ嘆いているだけではない、自らを客観視する強さが、クレズマーとブルーズに通じるものなのかもしれません。勿論ルノアーの歌にはそこからさらに、差別を直接世に訴える力を持っていたのは、言うまでもありません。彼は女性差別や、ベトナム戦争を題材にした歌も歌っていたのですから。

そして、最後の動画は60年代に再発見されたスキップ・ジェイムスの実録映像の中から『アイム・ソー・グラッド』です。



渋い、渋すぎる。何気に後ろで聴いてるおじさん達もカッコイイんです。私はクリームによる大音量のロックカバーバージョンよりも、癌を患い弱々しい体でギターを奏でるスキップの方が、内側に秘めた強い力を感じてしまうのですが、どうでしょう。それは、もしや信仰心の篤さからくるものかしら?スキップのマネージャーだったディック・ウォーターマン氏は、「スキップの音楽は聴衆を突き抜けてもっと先まで届いているようだった」とか語ってたんですが、それはやはり神に捧げているから?ジョンソン、スキップ、ルノアーに共通するのは信仰心の深さがありそう。スキップは31年の録音後、宣教師になってたそうですが、、。

そのディック・ウォーターマンですが、彼は名前からしてユダヤ系ありましょう。その言葉の端々に、スキップの音楽への敬意と愛情が溢れていました。そこで私は、30年代にスキップの才能を見出したのも、伝説となった1931年2月の録音を支えたのも、その多くはユダヤ人だったのではないか、と想像するのでした。

私はジャズにあまり詳しくないので、知らなかったのですが、白人のジャズメンにはユダヤ人が多いそうですね。また、アメリカの音楽・芸能界でのユダヤ人の活躍を思えば、ブルーズとの関わりとかも当たり前過ぎて、今さらなことなのかもしれませんね。私が興味を持ったキッカケは、アレサ・フランクリンの才能を見出したというプロデューサー、ジェリー・ウェクスラーでした。確かウィルソン・ピケットが『ダンス天国』を録音したときのエピソードで、「変なユダヤ人」として言及してたんですよ。

確かに、イギリス人達が誇りに思っている通り、ブルーズという音楽を世間一般に広めたのは、イギリスのロックアーティスト達だという事に、私は異論ありません。ただ、その前にアメリカの地で録音に携わっていたのが、どういう人達なのかが、とても気になったんです。もっと前にブルーズの素晴らしさを理解してた人々について、知りたくなったんですね。

そんな視点も交えつつ、今後も紹介していこうと思っております。早くチェス兄弟のが見たいところですが、次も順番どおりスコセッシにしようかな。それにしても、この『ソウル・オブ・ア・マン』、何回リピートしたか分かりません。入ってる曲全部が良い!一つ文句を言えば、全曲、全コーラスで見たい!ってことですかね。あと、ジョンソンを演じてるクリス・トーマス・キング、どこかで見たことあるなあ、と思ってたら、『オー・ブラザー』に出てたんですね。あー、あの映画もまた見たくなりましたわー、と収拾がつかなくなったので、この辺でやめておきます。


お読み頂きありがとうございました。
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タグ: R&B 60年代

テーマ:ブルーズ - ジャンル:音楽

「THE MANZAI 2014」観客と寄り添い楽しませる博多華丸大吉 | ホーム | イーラーショシュのエコバッグ~構想&製作約5ヵ月で漸く完成
Comment
こんにちは

 The season was always open on me
 の歌詞と
 クー・クラックス・クラン(KKK)の映像が重なり不気味ですね。白装束の隣で笑う女性にショックを受けました。

 ビリー・ホリデイの「奇妙な果実」が実はリンチで殺された黒人の姿だった、ことと、Down in Mississippi のこの歌詞がダブります。

 先日煙草不法販売の黒人容疑者の首をしめて殺した白人警察官が不起訴となりアメリカ各地に抗議の輪が広がりましたが、アメリカの人種差別の病は変わっていないことを実感しました。

 自分では絶対に探せなかった貴重な映像、ありがとうございました。
ついにDVDセット買われたのですね!

僕はまだ悩んでいます・・・(^_^;)。

意外と映像関係って繰り返し観ないんですよね。
ライヴ映像でも映画でも。
録画してあるのでも観たら消しちゃうタチなので・・・。

アメリカのエンタメ界はユダヤ人に牛耳られている(言い方は
悪いですが)し、迫害を受けてきた者同士、なにか通じるものが
あるのでしょうね。

ブルースもアコギからエレキに代わるだけで、ぜんぜん違う曲の
ように感じます。
“クロスロード”のオリジナルを聴いた時も、ここまで変わっちゃう
のかとビックリした記憶があります。

mikitaka08さんへ

>  The season was always open on me
>  の歌詞と
>  クー・クラックス・クラン(KKK)の映像が重なり不気味ですね。白装束の隣で笑う女性にショックを受けました。

>  ビリー・ホリデイの「奇妙な果実」が実はリンチで殺された黒人の姿だった、ことと、Down in Mississippi のこの歌詞がダブります。

そうですね。私もあそこはゾッとしました。ヴェンダースの編集の巧さとも言えるんでしょうけど。コメントありがとうございました。
バニーマンさんへ

> 意外と映像関係って繰り返し観ないんですよね。
> ライヴ映像でも映画でも。
> 録画してあるのでも観たら消しちゃうタチなので・・・。

私は好きなDVDは何度も見る方なので、その分買うのにためらいがありませんでした。

> アメリカのエンタメ界はユダヤ人に牛耳られている(言い方は
> 悪いですが)し、迫害を受けてきた者同士、なにか通じるものが
> あるのでしょうね。

ブルーズで歌われてる心情に共感できる境遇ではあったと思いますし、音楽
のものへの愛情も深かったのでは、と私は想像しています。
こんにちは!
ウワォ! すごいなあ。
ヴェンダースやスコセッシ、イーストウッドはわかりますが、
他の監督はわかりません。バラカンさんのノート付きというのもいい。
乙山も欲しくなってきました。
このコメントは管理人のみ閲覧できます
乙山んへ

> ウワォ! すごいなあ。
> ヴェンダースやスコセッシ、イーストウッドはわかりますが、
> 他の監督はわかりません。バラカンさんのノート付きというのもいい。
> 乙山も欲しくなってきました。

私も他の監督さんは知りませんでした。先に見ていた2本がとても良かったですが、ヴェンダースも素晴らしいです。ブルーズ若葉マークの私にも分かりやすいですし、持っていて損は無いと思いますよ。
ticcaさんへ

私も他所のブログにコメントしようとして、不正メッセージ受けたことありますが、何が理由か分からないですね。FC2側のトラブルなんでしょうか。
良かったら、他の記事に試しに入れてみても良いですよ。
読み応えありました。
すっかりルーツなユッカリーナさんになってますね。
考えてみれば、ゴスペルは宗教音楽な訳で、つながりも深いブルースは、ユダヤ人とも親和性は高いと考えられるし、ブルースの誕生になんらかの形で関わってるかもしれませんね。ひょっとして、ロバート・ジョンソン(ご存知でしょうが、「オー・ブラザー」でクリス・トーマス・キングが演じてた人)に魂と引き換えに、ギターテクニックを授けた悪魔と言われているのは、実はユダヤ人かも^^
にしても、ルーリード、ジェイムス・ブラッド・ウルマー、さらには、スキップ・ジェイムスですか~、どの映像も音楽も素晴らしいものばかりで、こりゃハマるわけです^^
JB・ルノアーは知りませんでした。この人も素晴らしいアーティストだったようですね。
このシリーズ今後も楽しみです。
ジオヤーさんへ

コメントありがとうございます。

> 読み応えありました。
> すっかりルーツなユッカリーナさんになってますね。

いえいえ、まだ足を踏み入れたばかりです。

> 考えてみれば、ゴスペルは宗教音楽な訳で、つながりも深いブルースは、ユダヤ人とも親和性は高いと考えられるし、ブルースの誕生になんらかの形で関わってるかもしれませんね。ひょっとして、ロバート・ジョンソン(ご存知でしょうが、「オー・ブラザー」でクリス・トーマス・キングが演じてた人)に魂と引き換えに、ギターテクニックを授けた悪魔と言われているのは、実はユダヤ人かも^^
「ギターを教えた悪魔はユダヤ人?」だったら益々興味深いですね。「オー・ブラザー」もDVD持ってるので見直そうかと思ってます。

> にしても、ルーリード、ジェイムス・ブラッド・ウルマー、さらには、スキップ・ジェイムスですか~、どの映像も音楽も素晴らしいものばかりで、こりゃハマるわけです^^
> JB・ルノアーは知りませんでした。この人も素晴らしいアーティストだったようですね。
> このシリーズ今後も楽しみです。

私も楽しみなんですが、1本目から良過ぎて、中々次へ進めない状態でもあります。
 こんにちは、先ほどはアドバイスありがとうございます。それを伺って、ひょっとして、まさか? と考えながら、それを他の言葉で置き換えて送りなおしてみますね!多分、これならイケると思います。

 ジェームズ・ブラッド・ウルマーとは懐かしい。あの新感覚が新鮮で、学生時代にハマりました。ためしにレンタル・レコード店にリクエストしたら、アルバムを入れてくれたんです。相当、聞き込みましたし、今でもその時のカセット・テープがありますよ。

 ヴィム・ヴェンダースの『パリ・テキサス』は大のお気に入りで一体、何度見たことか。『ベルリン・天使の詩』も好きな一本。でも、『ソウル・オブ・マン』を含め、新しい作品には触れていません。

 クリント・イーストウッドと聞いて思い出す映画はいろいろですが、『恐怖のメロディ』は、彼の監督デビュー作ですね。恐いストーカー映画でしたが、ジャズのスタンダード・ナンバーの「Misty」が効果的に使われていました。

 yuccalinaさんの記事を読んでいると、昔の映画熱がよみがえりそうです(笑)。
ticcaさんへ

>  ジェームズ・ブラッド・ウルマーとは懐かしい。あの新感覚が新鮮で、学生時代にハマりました。ためしにレンタル・レコード店にリクエストしたら、アルバムを入れてくれたんです。相当、聞き込みましたし、今でもその時のカセット・テープがありますよ。

ウルマーは今聴いても斬新ですよね~。

>  ヴィム・ヴェンダースの『パリ・テキサス』は大のお気に入りで一体、何度見たことか。『ベルリン・天使の詩』も好きな一本。でも、『ソウル・オブ・マン』を含め、新しい作品には触れていません。

私もヴェンダースそんなに沢山は見てないです。あとは『ブエナビスタ』くらいかな。そう言えば『ソウル・オブ・マン』もロードムーヴィー的な作りと言えなくもないです。


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