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yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


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2015/09/28 09:40 yuccalina

『Dancing in the Street~R-E-S-P-E-C-T』前編~モータウンのマナー講師、振付師&リズムセクション

かねてより思っていたのですが、イギリス国営放送BBCのドキュメンタリー番組には、秀逸な作品が多く、以前タップダンスの話で引き合いに出したニコラス兄弟『華麗なるタップ人生』(記事はコチラ)もBBCのドキュメンタリーでした。そして、『黄金のメロディ マッスルショールズ』の記事(コチラ)で少し言及した『Dancing in the Street』は、ブルース、ロック、グラム、プログレからパンクまで音楽の歴史を辿るアーカイブで、私が今一番揃えたいシリーズでもあります。

しかし、何と本国イギリスでも、未だにDVD化されてないらしい。私がVHSで持ってたのはソウル、ファンク、パンクの3本だけなのですが、取り合えずDVD化祈願も兼ねて、紹介して行きたいと思います。また、YouTubeではこのシリーズの動画が色々とアップされてますので、いずれはヒアリングのトレーニングも兼ねて、未視聴分を見て紹介できたらなと思っております。

Dancing in the Street "R.E.S.P.E.C.T" - Amazon UK
51ZFW6Y20VL.jpg

と言うわけで、先ずはソウル編『R-E-S-P-E-C-T』ですが、作品自体も大まかに、モータウンとスタックスを中心としたサザンソウルの二つに分かれてますので、記事も前後編に分けたいと思います。



ですから、今回はモータウンのお話。1:50から流れる説教をしているのは、アレサ・フランクリンの父クラレンスで、そこからゴスペルをポップスの世界に持ち込んだレイ・チャールズが登場。ゴスペル~ソウルの流れをざっと紹介した後、話題はモータウンに移ります。上の動画の4:30辺りからになります。60年代の半ばのアメリカで、ビートルズを筆頭に押し寄せてきたブリティッシュ・インヴェージョンに対抗する一大勢力として、自動車産業の町デトロイトに誕生した独立系(インディーズ)のレコード会社がモータウンであります。創始者のベリー・ゴーディーは元々ジャズファンで、ジャズレコード店の経営に失敗後、友人のビリー・ディヴィスと共作した『ロンリー・ティアドロップス』をジャッキー・ウィルソンが歌い、ヒットしたのを切っ掛けとして、レコード会社を設立しました。そして、

スモーキー・ロビンソン&ミラクルズ
テンプテーテションズ
フォートップス
マーヴェレッツ
スプリームス
マーサ&バンデラス
マーヴィン・ゲイ
スティーヴィー・ワンダー
ジャクソン5

等々全部書き出してたら、また記事が長くなっちゃうよ。ってなくらい数多のスターとヒット曲を世に送り出すのです。

今でこそ、それらがパッパと頭に浮かぶブログ主ですが、このビデオを初めて見た90年代はピッカピカの若葉マークでした。以前紹介したアメリカのドキュメンタリーシリーズ『ヒストリー・オブ・ロックンロール』のソウル編(記事はコチラ)と共に、これが私のソウル入門書となりましたが、当時は全く気がつかなかったことは、結構ありますね。中でも私が注目したのが、やはり公民権運動の問題ともう1つ、モータウンに専属のマナー講師がいた(動画パート2の3:25~)、と言うことなんです。



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これは、先日紹介したばかりの映画『大統領の執事の涙』(記事はコチラ)と非常に密接な関係が、、。

あの映画の中でキング牧師が言った言葉、

「執事は立派な職業だ。彼らは勤勉に働くことで、紋切型の黒人像を変えた。高いモラルと威厳ある振る舞いによって、人種間の壁を崩していった。執事やメイドは従属的と言われるが、彼らは戦士なのだ」

を聞いたとき、私が真っ先に思い浮かべたのが、モータウンのマナー講師マキシーン・パウエルだったのです。ビデオの中で語られることはありませんが、彼女が行儀作法を身に付けたのは、上流の白人家庭かホテル等でメイドをしていたのでは、と想像に難くありません。

モータウンのアーティスト達には、低所得者層の出身で、学校もろくに行ってない若者が多かった。パート1の6:57に、Brewster(ブルースター)と言う道路標識が写りますが、そこは低所得者用の公営住宅がある町で、差別の酷い南部からやってきた黒人が多く住んでいました。スプリームスのメンバーもその公団で育ったそうです。そんな彼女等&彼等に、行儀作法を教えたのがパウエルさんだったのですね。話し方に立ち振舞い、歩き方、マイクの持ち方に感じの良い微笑み方までを、徹底的に仕込んだ。そして白人客が集まる高級なクラブに出しても恥ずかしくないレディ&ジェントルマンに育てたのです。

そうした徹底管理は後に、モータウンは余りにも洗練され過ぎで人工的、と飽きられる原因になったのかもしれませんが、黒人アーティスト達が白人の聴衆にアピールするのに、モータウンが果たした役割は非常に大きかったと思うのです。先のキング牧師の言葉の通り、モータウンのアーティスト達も同様に”紋切型の黒人像を変え”、”高いモラルと威厳ある振る舞いで人種間の壁を崩した”のは、確かではないか。白人社会の価値観に寄り添いながら、自分たちの色を少しでも出して行って、黒人音楽の扉を開いたアーティスト達は、従属的だったのではなく、戦士だったのだ。と私は思ったのであります。

そして今1人、モータウンアーティスト達をスタイリッシュな男女に変えた功労者が、振付師のチョリー・アトキンズで、パート2の5:56に登場。1913年生まれですから、この時既に80歳くらいだった筈ですが、ステップも身体のキレも健在。カッコイイおじいちゃんですね。先の『ヒストリー・オブ・ロックンロール』ソウル編の記事でも話題にしたのですが、チョリーは既に30年代からタップダンサーデュオ”コール&アトキンズ”として、白人聴衆の前でステージを務めていた方ですから、いわゆる白人好みの振付けは、お手の物だったのかもしれません。

一方、公民権運動に関してですが、チトリン・サーキットの話題で出てきたのが、マーサ・リーヴスの「94日のツアーでホテルに泊まれたのはたったの3晩だけ」と言う告白。レコードのチャートを賑わすスターであっても、アメリカ南部へ行けばホテルに宿泊拒否をされ、狭いバスで寝起きしていたと。

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バックミュージシャンだったトーマス・ビーンズ・ボウルズは、フリーダムライダースの話もしてました。

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ライダース達は人種隔離された休憩所を使おうとして、地元住民から袋叩きにあったりしてた訳ですから、モータウンのバスツアーの面々も、酷く警戒をされていたと。本当に大変な時代を過ごしていた訳ですが、そんな風に白人社会に虐げられても尚、威厳を持って白人社会のマナーに従ったアーティスト達は、やはりキング牧師のいう通り、立派な戦士だったんだと思います。

ところで、このR-E-S-P-E-C-Tを見て、BBCが凄いなと思ったのは、モータウンのリズムセクション、ファンク・ブラザーズに言及していたところ。

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モータウンの快進撃にはアーティスト、ソングライターの力量もさることながら、ファンクブラザーズの力も大きかったと。社長ベリー・ゴーディーは元々ジャズファンでしたから、通っていたジャズクラブで腕利きのミュージシャンをスカウトしていたそうです。

そう言えば、マッスルショールズで「アレサ・フランクリンの代表的ヒット曲、I Never Loved a Man the Way I Love You『貴方だけを愛して』はデモテープを聴いた時は、ゴミみたいな曲だった」とスタジオミュージシャンが語っていたのを思い出しました。モータウンに於いても、曲を活かしたり、生まれ変わらせる名アレンジをしたのは、スタジオミュージシャン達だったのでしょう。テンプテーションズ『マイ・ガール』の超有名なギターイントロは、ファンク・ブラザーズのギタリスト、ロバート・ホワイトが作ったと、今ではウィキペディアにも載っているくらいですが、ファンク・ブラザーズの存在が広く知られるには、まだ時間がかかりました。

本国アメリカのドキュメンタリー『ヒストリー・オブ・ロックンロール』の中では全く名前も出てきませんでしたからね。このDancing in the Streetのビデオが出たのは1996年ですが、後にファンクブラザーズがフィーチャーされたドキュメンタリー映画『永遠のモータウン』が公開されたのはその6年後、2002年になります。この映画については、また別の機会に詳しく紹介するつもりです。

と言ったところで、最後にモータウンとは関係ない話ですが、気になったシーンを1つ。パート1の1:28あたりで映った、ビートルズに熱狂する女子のプラカードが気になりました。

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「Elvis is Dead(エルヴィスは死んだ)」

ってデカデカと書いてるところに、若さゆえの残酷さを感じますたわ。プレスリーまだ死んでないよって、この頃は。いやね、ビートルズが好きなのをアピールするのは別に構わんけど、わざわざエルヴィス下げしてるとこがどうなの?つまり彼女にとってはビートルズ云々よりも、それまでのロックンロールキング・エルヴィスを敵視し、既成の価値観に反抗することの方が重要だった。これが若さであり愚かさでもあるのだわ。

なーんて思ったのです。これは後に、セックス・ピストルズをプロデュースしたマルコム・マクラレーンが作ったLoves and Hates Tシャツと同じコンセプトだな、と気が付いたのですわ。

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パンクスから嫌われてたのが、エマーソン・レイク&パーマー、ミック・ジャガーにブライアン・フェリーかあ。ま、敵として名前を上げられることは、ある意味名誉でもありますけどね。それだけ価値を認められてる、影響力がある裏返しな訳ですから。また、ザ・クラッシュがレゲエやダブに接近する以前に売られてたTシャツだ思いますが、ジャマイカが既にクールなものの代表だったのが興味深いところ。

好きなものだけ言ってれば波風立たないのに、わざわざ批判したり、嫌いだと主張して波風立てたい、ってのは良く言えば若々しく、悪く言えば幼稚、と表裏一体な訳ですね。自分自身も10代の頃は、そういうところがあったかもしれません。

と、話が変な方向に行ってしまいましたが、『R-E-S-P-E-C-T』後編はスタックスレコード及び、マッスルショールズ(FAMEスタジオの方)で録音したアーティスト達のお話になります。上の動画パート2の最後の方で、既にブッカーT&MG'sとウイルソン・ピケットが登場してますが、詳しくは次回ということで。



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タグ: タップダンス R&B ソウル イギリス

テーマ:ゴスペル/ブルース/R&B/ソウル/ファンク - ジャンル:音楽

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Comment
おはようございます。
このシリーズ見たかったんです。ありがとうございます。
後編も楽しみです。
BBCのドキュメンタリーは確かに良く出来たものが多いですね。
また、この手のものを、こんなにシリーズもので作るというのも、スゴイです。

いつかDVDが発売されるのを楽しみに待っています(^_^;)。
抹茶アイスさんへ

> おはようございます。
> このシリーズ見たかったんです。ありがとうございます。
> 後編も楽しみです。


ありがとうございます。
私もプログレとか今まであまり親しんでなかった分野のやつを、これから見ていきたいと思っているところです。
バニーマンさんへ

> BBCのドキュメンタリーは確かに良く出来たものが多いですね。
> また、この手のものを、こんなにシリーズもので作るというのも、スゴイです。
>
> いつかDVDが発売されるのを楽しみに待っています(^_^;)。


アメリカで同時期に製作された『ヒストリー・オブ・ロックンロール』と見比べてみると、独特の切り口でしかも深いのが良く分かるんです。ブルースにしろソウルにしろ、イギリスの方が深く掘り下げて研究されていたかもしれませんね。
DVD化するなら、全部字幕(VHSはナレーション部分だけ吹替えでした)にして、アーティスト名鑑みたいのを付けて欲しいなと思います。そんで、ボックスセットでお安く出してくれたら尚嬉しいんですけどね。欲張り過ぎですね。


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