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yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2014/12/02 08:19 yuccalina

『カルパチアのミューズたち』その(3)~マレムレシュの踊り

みやこうせいのCDブック『カルパチアのミューズたち~ルーマニア音楽誌』から、フォークダンスと音楽を紹介する3回目は、みや氏ともっとも関わりが深いと思える、ルーマニア北部マラムレシュ地方です。

カルパチアのミューズたち―ルーマニア音楽誌 CDブックカルパチアのミューズたち―ルーマニア音楽誌 CDブック
(2011/04)
みや こうせい

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先にマラムレシュとトランシルヴァニアの定義について、少し書いておきますね。トランシルヴァニアはマラムレシュを含む場合と、除いた場合があり、マラムレシュも地方と呼ぶときと、行政のくくりでのマラムレシュ県は、異なるからです。ネットで拾った地図から、ザックリ説明しますと、

<マラムレシュ県と広義のトランシルヴァニア
maremures3.png

上の地図では緑色の範囲が広義のトランシルヴァニア地方として表示されていますが、歴史的、文化的な定義では、マラムレシュはトランシルヴァニアに含まれないそうです。

<マラムレシュ地方の位置と狭義のトランシルヴァニア
maramures3.png

濃いい赤の部分が狭義のトランシルヴァニアで、ご覧の通り、県境をまたいでいたり、自治体のくくりとはズレがあるのです。そのあたりが、みや氏の言う「ジグソーパズルのようにさまざまな民族で彩られている」理由のひとつなんでしょうね。

写真集『ルーマニアの赤い薔薇』と『羊の地平線』の大半はこのマラムレシュ地方の美を伝えるものでした。当然この『カルパチアのミューズたち』でも大きく取り上げられています。ただし、CDの方には、マラムレシュの踊りが入ってなくて、少し残念でしたが。兎に角、マラムレシュについて語る時、みや氏の敬意と愛情の深さがひしひしと感じられたので、印象的だった所を紹介していますね。以下、赤字表記は、本書からの引用になります(下線はブログ主による)。

まずは、マラムレシュがルーマニアの原点、心のふるさとである、という話。

・・・・・モルドヴァ公国の礎を築いたのは、北西部マラムレシュ出身のボグダン大公で、ルーマニアの淵源をたどると、ヴェクトルはそのままマラムレシュへ行き着くのである・・・・・

・・・・・マラムレシュに住むルーマニア人の誇りは、ローマに侵略されなかったことで、自由ダキア人と今でも称している。かるが故に一般のルーマニア人は、ともかくマラムレシュに行くように主張し、かの地域にはもっとも素朴で善良きわまりない農牧民が住み、正統のルーマニアだというのである。マラムレシュ行きを重ねる内、ここはルーマニアの原点であるばかりでなく、少なからぬ学者がいうように原ヨーロッパの一つであると思うに至った・・・・・


みや氏がヨーロッパの原風景と思うに至った要素として、木造、草葺の民家に、家畜と人が一体となった生活があり、岩手出身の彼は、マラムレシュを「ヨーロッパの遠野」だと直感したそうです。キリスト教徒でありながらも、土着的、パガニスム(異教)的な雰囲気があるのは、自然に寄り添った生活をしているが故でしょう。

「素朴で善良きわまりない農牧民」は、モミの木を神木と呼び、人と心を通わせていると信じ、きこりは伐採する際に、十字を切ってから始めるのだそうです。そんなモミの木で出来た家もまた、神聖なる場所であり、人々はモミの木に抱かれ、守られて生活をしてるのでしょう。だからこそ、善良でいられるのかもしれませんね。

で、そんな人々の踊りについては、このように評しています。

・・・・・ルーマニアでもっともフォークロアのさかんなマラムレシュでは、他の地方より、人々の精神が高く、ふつうの農民が、ひとの言葉を評してシンプル、しかし深い、などとこともなげにいう。自分達で衣食住など暮しの基本をほぼ支えているというある種の自信が人々には確かにある。歌、踊りを好み数百年来、エッセンスを踏襲しているというのも、古くて、かつ常に新しい伝統を意識していることによる。歌、踊りはかたちとして残る建築、絵画、彫刻とことなり、表現されたら、直ちに消える。あるいは、それは一時心を抑揚させて止み、心象に層をなして深く沈殿する瞬間の芸術である。語り、歌い、踊る。その度に感動は深まり人を高みに押し上げる。それは山に囲まれた限られた空間で、宇宙に通じる天地を知覚し、神の存在を信じているからであろうか・・・・・

そんなマラムレシュの人々が踊っている動画を、YouTubeで探してみました。実を言えば、私はツアーで2度彼の地を訪れているにも関わらず、踊りは舞踊団でしか見たことが無かったんです。



ありました。老若男女、村人達が集まり、輪になって踊る光景。音楽隊に太鼓がいるのが特徴的です。トランシルヴァニアのハンガリー人村の楽隊では、打楽器を見たことがなく、リズム担当はコントラバスでしたから。上部に小さなシンバルが付いた太鼓の音は、何故かチンドンを思わせ、懐かしい雰囲気でもあります。

以前、私はトランシルヴァニアのハンガリー人の踊りに、タップダンス的要素を感じたと書きましたが、お隣のマラムレシュでも、床を踏み鳴らすステップが、強烈に迫ってきました。音を鳴らすのは悪魔祓いの意味があるそうですが、仲間達と音を合わせたステップは、調和をも感じさせます。

もう一つ動画を紹介しますが、こちらは屋外のレストランの催しで、フォークダンスを見せているようです。



合わせた両手を差し出しながら、歌い踊る女性が可愛らしいですね。そして、民族衣装についてですが、男性の頭にちょこんと乗った小さな麦わら帽子がパラリエ、男女ともに着ているフェルトのベストはライバルと呼ばれ、毛糸で装飾されています。女性の鮮やかなボーダーのエプロンは、ザディエと言って村ごとに柄が違うとか。それと足元なんですが、普通の黒い革靴なのがちょっと残念。最初の村人達の動画でも、黒のハイヒール姿が殆どで、数人しかいなかったのですが、本来は一枚皮で手作りするオピンチが伝統的なものなんだそうです。装いの殆どが羊から出来ていて、樅の木と共に羊は、マラムレシュの人々にとって、欠かせない存在なのです。

<『ルーマニアの赤い薔薇』より、オピンチを履いた子供達>
maramures1.jpg
maramures2.jpg

バレエシューズのようにペッタンコな靴で、きっとそれぞれの足にフィットするように、紐で調節出来るんじゃないでしょうか?とても履き心地良さそうに見えるんですけどねえ。村でもあまり履かなくなってるとしたら、ちょっと寂しいです。

ところで、みや氏が語る、踊りとは何ぞや?も、かなり印章深かったです。

・・・・・ダンスは純粋に娯楽のために踊られるものと、通過儀礼に合わせたダンス、また、異教の要素が多分に混入して、豊穣を願うなど農耕牧畜に密着したダンスに分けられることが分る。そして、いわずもがな、共通項は踊ることによる心身の浄化であるといってよい。・・・・・

正に踊りの本質を見抜いていらっしゃる、と感心することしきり。踊りは生活の一部であり、感情表現である、と言う意味では、フォースダンスもコンテンポラリーダンスも変わらない、と私は常々思っていましたので。

と言ったところで、そろそろお開きにしますが、次回は「叫び歌=ストリガトゥーラ」について、書こうと思っています。今回の動画でも、見られのですが、少し詳しく紹介しようかなと。また、トランシルヴァニアでも踊りながらの叫び歌は、かなり一般的です。踊りと歌で感情を表わすが故に辿りついたのが叫び歌?心身の浄化にもよさそうです。


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タグ: 東欧 トランシルヴァニア

テーマ:ルーマニア - ジャンル:海外情報

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Comment
レストランではお客さんも一緒にダンスしてて、楽しそうですね。
抹茶アイスさんへ

> レストランではお客さんも一緒にダンスしてて、楽しそうですね。

ルーマニアやハンガリーには、こういったフォークダンスを楽しめるレストランが結構多いみたいですね。


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