プロフィール

yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2015/10/30 08:15 yuccalina

『正義を水のごとく』と再びのアルヴィン・エイリー『リベレーションズ』と

ことの始まりは1年ほど前、マーティン・スコセッシが総指揮したブルース・ドキュメンタリー『The BLUES Movie Project』のDVDボックスを手に入れたことでした。そして、同時期に読んでいた、みやこうせい氏の『カルパチアのミューズたち~ルーマニア音楽誌』と何故かシンクロする部分があり、非常に興味を掻き立てられたのです。それは、東欧のユダヤ人音楽クレズマーとブルースに通じる価値観で、以下の過去エントリーに詳しいです。

・ 『カルパチアのミューズたち』その(4)~クレズマーを巡るマラムレシュのユダヤ人とロマ
・ THE BLUES Movie Projectその(1)~ヴェンダースの『ソウル・オブ・マン』

そこから、私はブルースとユダヤ人の関わりに、惹き付けられていったのですが、黒人音楽と切リ離せないのが公民権運動であったと。

こうして、音楽ドキュメンタリーに端を発して以降、公民権運動に絡んだ映画も色々と紹介して参りました。正直1年前には、ブログで公民権運動の話をするなど、思いも及ばなかったです。それゆえ、拙記事に共感してくださる方が出てくるとも想像しておりませんでした。

先日、mikaidou様のブログ『老嬢の鼻眼鏡』で、拙記事
『グローリー/明日への行進』を見た!と『The 60's 公民権運動』のこと

を紹介して頂きました。mikaidou様は、私が"黒人に協力した白人達の存在に注目したこと”に、共感してくださったそうですが、mikaidou様の記事を読むと、知らなかったことばかりで、自分が恥ずかしくなりました。絵本にもなっているというリンカーンと黒人の友人ダグラスの話、ローザ・パークス以前にバスボイコットをしていた少女クローデット、そして何よりも、天使の歌声と呼ばれた歌手、マリアン・アンダーソンのこと。以下、mikaidou様のブログより抜粋。

正義を水のごとく~『老嬢の鼻眼鏡』より

こちらは1939年のリンカーン記念堂での歌声。



天上人の声とは、このような声のことかと思う。

75000人の聴衆を前に、歌うマリアン。

4000人が入る憲法記念ホールで歌うことを拒絶された彼女のために、
多くの人々が抗議し、時の大統領、ルーズベルトが内務省を通じ、
リンカーン記念堂の、リンカーン座像前で歌うように、マリアンを招いたのだ。

彼女が歌う前に、聴衆にはこのように紹介されている。拙訳ですが、大体こんな感じでしょうか。
Genius draws no color line, and so it is fitting that Marian Anderson should raise her voice in tribute to the noble Lincoln who mankind will ever honour.「才能は白人と黒人の境界線を無くしてしまいます。だからこそ、皆が敬意を払う高貴な人物、リンカーンに対し、マリアン・アンダーソンの歌声は、高らかに響くにふさわしいのです!」



そして、もう一つ紹介されていた彼女の歌『深い河Deep River』を聴き、




キング牧師の

“justice rolls down like waters, and righteousness like a mighty stream.”「公道を水のように、正義を尽きぬ川のように流れさせよ。」

という言葉を読んで、私の頭にふと過ぎったのが、アルヴィン・エイリー・アメリカン・ダンス・シアター(AAADT)の『リベレーションズ』でした。



”河や水の流れ”が踊りのテーマの一つになっています。1997年の日本公演を運よく見ることが出来たワタクシは、その素晴らしい肉体表現に度肝を抜かれたものですが、当時は黒人の歴史も公民権運動も、全くの無知でした。今なら、このプログラムをより深く味わえるのではないか?と思っております。

既に公民権運動が始まっていた1960年、ニューヨークで発表されたこの作品を、当時南部の黒人達の目に触れることは難しかったのでしょうが、陰で運動を支える力となっていたであろうと想像出来ます。アフリカから渡ってきた先祖が奴隷から解放されるまでの、スピリチャルでブルージーなこのプログラムは、全部で10のセクションからなりますが、上の動画はダイジェスト版になります。

各セクションの動画もいくつか貼っておきますね。

悲しみの巡礼『フィックス・ミー・ジーザス』



私を河に連れて行って『河を渡る』



さあ、仲間達よ、動け『アブラハムの胸にわが魂を慰め』



『アブラハム』がプログラムのフィナーレでして、明るくポジティヴなエンディングとなっているのも印象的ですが、悲しみ、歓び、苦しみ、そして笑いもを肉体で表現したこの作品には普遍性があるのでしょう。時代とともに、世界のいたるところで上演されてきました。

で、AAADTの公演パンフレットも読み直しているのですが、黒人のショーダンス(ミュージカル)だけでなく、モダンやコンテンポラリー等のコンサート(シリアス)ダンスにおいても、ユダヤ人との関わりがあった様です。以下赤字はパンフレットの『アメリカ舞踊界のダイナミックス』(譲原晶子)より。

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黒人ダンサーがクラッシック・バレエを習得していったのは、20年代にアメリカに移住したロシア人ダンサーたちの貢献によるところが大きい。渡米してきたばかりの彼等には人種偏見もなく、彼らは黒人のためにプライヴェートレッスンをしたり小クラスを開いたりした。

と、特にユダヤ系と明記はされていないものの、年代的にロシア革命後の内戦時代(1917~1922)に渡米した人々の中には、ポグロムから逃れてきたユダヤ人が多かったのではないでしょうか。人種偏見に曝されてきた人々だったから、黒人に共感していたという可能性も高いのではないかと。その他こんな記述も(下線はブログ主による)。

30、40年代モダン・ダンス界の活動は勢いに乗っていた。それは黒人をテーマとした踊りあるいは黒人ダンサーの同乗を許し、この時期には(長続きはしなかったものの)黒人のコンサートダンスのグループが出現してくる。そして、1934年から始まったYMHA(ヘブライ青年会)での公演や、1940年にテッド・ショーンが始めたジェイコブス・ピロウ・ダンス・フェスティヴァル、その他、大学でのサマー・フェスティヴァルなど、モダン・ダンサー達の発表の場、登竜門となった場所は、これらのブラックダンサー達にも扉を開放していた。ブラック・ダンスはモダン・ダンスとともに歩み始めることができたのである。

白人から受け継いだバレエとモダン・ダンスを元に、黒人ならではのダンスを作り上げたエイリーですが、彼はその精神を受け継ぐかのように、自身のカンパニーに白人やアジア人も受け入れてきました。芸術監督の一人に日本人、茶谷正純(ちゃやまさずみ)さんが名を連ねています。1972年に入団後ダンサーとして15年舞台を踏み、1991年に芸術監督補に就任、以降エイリーの踊りを伝え続けているのですね。

と、ダンスの世界にも、人種の垣根を越え、価値観を共有した人々の興味深い話が沢山ありそうです。今後も色々と探って行けたら良いなと思っております、

それにしても、ブログをやっていると自分の知らなかったことをコメントしてくださる方がいたりして、とても楽しいですね。と同時に、あんまりいい加減な事は書けないなあ、と責任も感じつつ、気を引き締めていきたいと思っております。


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2015/08/11 12:55 yuccalina

吉田都さんが素敵過ぎる件~『アナザーストーリーズ』よりも『アナザースカイ』

先日5(水)放送の世にも奇妙な『アナザーストーリーズ』は、NHKドキュメンタリーとしてのクオリティに疑問を持たざるを得ませんでした。きっと何かある筈との希望を持って10回程見返した末に撃沈されたユッカリーナでしたが、その数日後、疲れた頭と心を癒してくれる番組があったんです。

それが7(土)放送の『アナザースカイ』。

って、アナザー繋がりですが、こちらは日本テレビ系の長寿番組ですね。ドキュメンタリーと言うよりは、トークか紀行番組と言った方が良いのかな?久し振りに録画しようと思ったのは、ゲストがイギリスのロイヤルバレエ団でプリンシパルを務めていたバレリーナの吉田都さんだったから。第2の故郷アナザースカイとして彼女が選んだのは、勿論ロンドン!英国カルチャー大好きなワタクシが、見逃す訳には参りませんっ!



そう言えば、これまで数回しか見たことがないこの番組にあって、私が一番印象深かった回が2009年の熊川哲也大先生(同ロイヤルバレエ団元プリンシパル)ですから、随分と昔のことですね。当時はKバレエの直系弟子である宮尾俊太郎が番組のアシスタント&レポーターをやってましたっけ。あの回も確かロンドンでした。

さて、吉田都さんの舞台はEテレで放送されたのを幾つか見た程度の、ライトなファンでしかない私だからこその面白さがあったのかもしれませんが、30分弱という短い尺の中に見所が沢山詰まっていて、関係者へのインタビューも、全てが印象深かったんです。

先ずは、コヴェントガーデンにあるロイヤルオペラハウスの中を紹介してくれる都さん。メインホール客席からの絵に流れるBGMは白鳥の湖のワルツ。ここで既に、鳥肌が立ってきました。そこからカメラはオーケストラピットや天井の美しい装飾等を写し出します。そして、ポワントシューズのお部屋や楽屋など、彼女だからこそ紹介出来る映像の数々。

かつて私が20代でロンドンを旅した時、観光名所であるコヴェントガーデンには勿論行きましたが、当時はバレエにもオペラハウスに全く興味がなかったなー。バレエ用品店フリードがガイドブックに載ってたのも、うっすら覚えてますが、当然素通りだった訳です。

なんて、ロンドンの街を見ながら、懐かしさを感じたり。

フリードの店員さんの、
「あなたは日本からきたけど、誰よりもイギリス的なダンサーだと思うわ」
という言葉。「イギリス的」で私が真っ先に思い浮べるのは、やはり妖精でしょうか。19世紀末、ルイス・キャロルもコナン・ドイルもハマったという妖精、幻想、ファンタジーな世界に、都さんはピッタリなイメージですもん。

事実、番組で紹介された『くるみ割り人形』では、金平糖の精であり、



篠山紀信氏による写真がチラッと映った『オンディーヌ』では、水の妖精なんですよねえ。

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元コーチのレスリーさんが、
”音もなく現れて跳ぶ、都の奇跡のジャンプ”
の話をしてくれてますが、これもまたフェアリーなエピソードで、符合する訳ですね。

それにしても、このオンディーヌの写真ってば!
まるで、ラファエル前派の絵画みたいで、ゾクゾクしますわあ。この本、欲しいですわ~!

それと、YouTubeでこんな動画見つけました。



『オンディーヌ』の舞台が少し出てきます。こんなドキュメンタリー番組があったんですね。フルで見てみたいです。

で、かつての恩師や仲間、コーチ等の口から出てきた吉田都さんへの賛辞の言葉は、彼女の類い希なる才能と努力、そして何よりもバレエへの情熱を物語るもものばかり。『くるみ割り人形』で既に浅田真央さんの姿が思い浮かんでいた私ですが、色んな場面で、ついつい真央さんとフィギュアスケートの関係性に重なってしまいますなー。

そして、番組がラストに向かい、都さん本人と友人達からの言葉、そしてナレーションによって、

(現役にこだわるのは)子供の頃からの「踊りたい」と言う強い気持ちがあるから。

踊りとはプライドも何も持たずに努力あるのみ。

(踊り続けるのは)今の自分がどういう踊りをしたいのかということ。

バレエとはダンサーの生き様みたいなもの。

学び、感じ、打ちひしがれ、歯を食い縛り、辿り着いた今を見せる。
踊るのが好きで好きで好きでたまらない、バレエ少女の半世紀。


等と言う印象的な言葉が次々と重ねられて行く。

もうね、感動させたるでー、と言う演出だと分かってても尚、涙が溢れてしまいました。そのドラマティック演出を知った上での、ちょっと照れた表情で語りかける都さんがまた素敵過ぎる。

「ここが私のアナザースカイ、ロンドンです」

んもおー、メチャクチャ良かったんです。

ところで、MCの今田耕司ですが、私は元々好きな芸人さんなので、贔屓目もあると思いますけど、所々で挟んでくるコメントがとても良かったです。決してメインの話から外れないさじ加減がね。

かつての仲間も、現在ではロイヤルバレエのコーチで、男性ダンサーを指導するシーンが出てきます。ダンサーがゆったりとジャンプして2回転すると、

「あれっ?重力おかしなってましたよ」と素直な感想。私も昔『ホワイトナイツ』で初めてバリシニコフ見た時には、同じように感じ、驚いたものです。

また、スタジオでは目立たないのに、舞台に上がった途端輝くバレリーナの話には、
「あの地味なアヒルがっ、、」
アヒルと言えばついつい反射的に「みにくい」と言ってしまいそうなところ、「地味」という言葉選びは、流石喋りのプロだなー、と思ったんです。

トレーニングする都さんの姿には
「ジャッキー・チェンですやん」
と、シンプルに的を射た表現。

10年後に都さんがダイヤモンドの原石を発掘する、という今田の切望も良かったですね。

こうして、チョイチョイ笑いを挟もうとする今田耕司に対し、微笑んで答える都さんがまた素敵でしたし、本当に心が浄化されましたわ。

と言ったところで、最後はローザンヌでの映像を。



番組でも紹介されてて、この時既にフェアリー感に溢れていたんだなーと思ったのですが、私これを見て、

宮原知子ちゃんに似てる~

と、何か凄ーく嬉しくなっちゃったので、載せてみました。そっかー、知子ちゃんには一度、ロイヤルバレエのフェアリープロを是非お願いしたいところです。


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2015/06/17 08:30 yuccalina

山岸涼子『牧神の午後』~もっと知りたいニジンスキー

バレエリュスをもっと知りたくて読んでみた、山岸涼子のバレエマンガ『牧神の午後』。前回(コチラ)の『黒鳥』編に続いて、ヴァーツラフ・ニジンスキーを描いたタイトル作、『牧神の午後』について。

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ニジンスキーに関しては、ネット上でもかなり情報が多くて、色々と読み耽ってるうちに、時間だけが経ってしまいました(^^;)

こちらはバレエマスター(振付師)だった、ミハイル・フォーキンを語り部として描かれていますが、物語はニジンスキーの死で終わっています。

本作を読む限りでは、フォーキンはニジンスキーの芸術性と人間性をとても良く理解してた、ってことでしょうか。ニジンスキーの助手だったマリー・ランバート(後に『春の祭典』の復元に尽力)が、フォーキンへ手紙を書いて、ニジンスキーやバレエ団の様子を報告してたみたいで、セルゲイ・ディアギレフはちょっと批判的に描かれてますね。同性愛者であり、同時に何人もの愛人を持ってたことで、ニジンスキーを傷つけてた。審美眼はあるが根は冷徹な興行師。ニジンスキーの芸術性云々よりも、スキャンダルを利用してたのではないか?的な表現も。

で、ニジンスキーはかなりユニークなお方だったようで、チフスにかかりながら舞台で踊りまくったり、

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言葉で表現するのが苦手だった為、会話が成り立たなかった。ホテルでは一人で食事も取れずに、空腹のままディアギレフの帰りを待ってたエピソードなんかも出てきて、踊りは天才的だけど、頭は空っぽではないか?と噂されていた。しかし、そうした世間の評判に傷ついていたみたいなんで、自分と世間とのズレは意識してた、ってことでしょうね。これって、一番大変なパターンかもしれません。

高い跳躍の秘訣を問われ「跳べるような気がしたから」と答えるニジンスキー、

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は、とても象徴的なシーンでした。その言葉にフォーキンはハッとした。既成概念にとらわれない子供が、「だって、曲がるような気がしたんだも~ん」とスプーン曲げをした話を思い出した。そこで、彼はニジンスキーの本質を理解したのです。

既成の事実にとらわれない子供と同じ

つねに新鮮さ味わえる感受性を持っている
(バレエの舞台で発揮される)

日常に適応しにくい
(舞台の外では狼狽えることばかり)

フォーキンには舞台のニジンスキーの背後に、いつも光の束(オーラ?)が見えた。彼の子供の様な純粋性がその光をもたらす一方で、日常生活では非常に強いストレスを受けているのではないか?と心配するんですね。

ディアギレフ不在のアルゼンチンで、ニジンスキーがロモラ・ド・プルスカと電撃結婚したのは、愛人というよりも主従関係的束縛から逃れたい一心からだったのでしょうか。しかし、彼はバレエ団を追われ、フォーキン作品だけでなく、ニジンスキー自身が振付けした作品ですら、作曲権を盾に踊る事が許されませんでした。可愛さ余って憎さ100倍ってやつなんでしょうか、ディアギレフは徹底的に潰しにかかってきたのです。第一次対戦勃発の社会情勢もあいまって、窮地に追い込まれ結果、ニジンスキーは統合喪失症となり、1950年に亡くなるまで正気に戻ることはなかったそうです。

前回の『黒鳥』では、バレリーナの美に取り付かれたジョージ・バランシンに対し、歴代妻が次々と去って行った話をしましたが、ニジンスキーはその逆パターンとも言えなくないですね。ロモラ夫人は後年

「ニジンスキーはディアギレフと同性愛の関係を続けることで踊り続けられたのではないか。そこに自分が入り込むことで彼は魂を病んでしまったのではないか」

と漏らしていたそうです。この話は日本の心理学者、河合隼雄氏(1928~2007)の著書『未来への記憶~自伝の試み(下)』に出てくると、下の記事から知りました。

ニジンスキー余話~ロモラ夫人と河合隼雄先生『ブラック・スワン・オフィシャル・ブログ』より

現代ならニジンスキーは、真っ先にアスペルガー症候群ではないか?と考えられそうで、対応の仕方によっては、バレエのキャリアも人間関係も、もう少し何とかなったかも?

とか、私なぞつい思ってしまうのですが、まあ意味ないですよね。それは、上記のロモラ夫人の言葉にしても、同じことです。ディアギレフとの関係を続けてたって、どこかでキレてたかもしれないし、、、。どちらかと言えば、フォーキンみたいな人が傍にいてくれたら、良かったんじゃないの?と思えるくらい、ミハイル・フォーキンは良い人だなー、と思える作品ですたわ。

それと、タマラ・カルサヴィナが出てくるのは少しですが、素敵な女性に描かれています。彼女の自伝『劇場通り』を読んでみたくなりました。前述のマリー・ランバートと共に、英国でバレエの普及に尽力し、踊り手としてのみならず、人間的にも魅力的な人物だったみたいですね。

最後に、山岸先生の漫画はシリアスですが、所々ユーモアを交えているのが好き。ニジンスキーの跳躍の場面で、

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足元に何か文字があるなと思ったら、

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「本当は熊川」

って、体は熊川哲也の写真を参考にして、顔だけニジンスキーに変えたってことかしら?残ってる写真が限られてるでしょうから、ありえますよね。

ともあれ、この『牧神の午後』を読んで、バレエリュスのことも、ニジンスキーのことも、もっと知りたくなってきた事は確かです。国書刊行会の豪華本『バレエリュス』を買うか、若しくはニジンスキーの本にするか、迷っているところです。


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タグ: 発達障害

テーマ:バレエ - ジャンル:学問・文化・芸術

2015/05/14 17:11 yuccalina

山岸涼子『牧神の午後』~『黒鳥』編

久しぶりにバレエのお話を。と言っても扱うのは漫画ですが、大分前から温めていました。

去年の秋にバレエリュス展を見て以来、ずっと思ってたのが、バレエリュス関連の本を何か読んでおきたい、ってことでした。Amazonを検索すると、ジョージ・バランシンや、タマラ・カルサヴィナの伝記は、中古で高価なものしかなく、国書刊行会のこちらは、最初に手を出すには敷居が高そう、


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等と二の足を踏んでいた時、ふと思い出したんです。山岸涼子センセーのバレエ漫画を。

漫画と言うと、今ではダンナが毎週購読してるモーニングの中の数本を読む程度のワタクシですが、小中学校時代は漫画漬けでした。私が文字だけの本を読めなかったのは、言語能力が遅れ気味で、視覚的な方が理解しやすかったから、と今になって思うのですが、山岸先生の『アラベスク』とかも、昔、読んだことあるんですよ。で、探してみたら、バレエリュス絡みの作品がありましたよ。


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表紙がニジンスキーで、タイトルが『牧神の午後』ですから、分かりやすかったですし、ジョージ・バランシンの4番目の妻、マリア・トールチーフを描いた『黒鳥』も収められていました。その他、山岸先生自身のバレエ発表会体験記や、バレエスタジオ訪問(何と首藤康之さんが登場!)とか、ローザンヌ国際バレエコンクールのリポートなど、盛り沢山な内容です。

で、取り上げたいのが『牧神の午後』と『黒鳥』なんですが、それぞれ書きたいことが沢山ありましたので、分けることにしました。今回は『黒鳥』編です。

バレエよりも男女の愛憎に重きを置いたと思える内容であり、ネイティヴアメリカンの血を引くマリアが呪術的な力を持っているというミステリー仕立て。それでも、バランシンバレエを理解する上で、私には中々興味深い内容だったんです。バレエリュスのプロを後世に伝えた重要な人物の一人、ニジンスキーの妹ヴロニスラヴァ・ニジンスカが、マリアを育てた先生だったことも、アメリカバレエとバレエリュスの深い関係の一端でしょうが、やはりバランシンがアメリカに渡ってバレエ団と学校を作ったことが一番大きかったんでしょうね。後に黒人ダンサー、アーサー・ミッチェルを入団させ、白人ダンサーのミクスチャーを芸術にしたバランシン(動画はコチラで紹介しています)が、ネイティヴの血を継ぐマリアのルックスに惹かれたことも、どこか象徴的に思えました。

そんな中でも、バレリーナの体型については、なるほどと思いました。

マリアはバランシンとの初対面で、「贅肉を落とすように。もうポッチャリ型プリマの時代は過ぎたよ」と言われちゃうんです。

実は私も、バレエリュス展で20年代の写真を見た時、思ってましたから。あの頃のバレリーナって結構ぽっちゃりしてた?って。

で、後にマリアの次の妻となるタニィ(タナキル・ル・クラーク)と言うダンサーは、幼い頃からバランシン・メソッドで鍛えられ、彼の理想とする体型とテクニックを持ち合わせた美しいバレリーナに成長します。YouTubeにマリアとタニィの動画がありましたので、ここで紹介しますね。

マリアの『火の鳥』はクラッシックを得意をする彼女の為に改作された、と本作に描いてありました。



一方、タニィの『ウエスタン・シンフォニー』はカントリーというがアイリッシュダンス?を取り入れたモダンな作品で、クラッシクにはない手足の動きが沢山。



結果は絶賛を博したそうです。漫画では、基本に忠実で垂直の軸を外して踊れないマリアが、恨めしそうにタニィを見つめる絵が描かれていました。

そんなこんなで、タニィの細い手足に嫉妬するマリアが呪いを掛ける、というミステリーな展開になっちゃうわけですが、まあ呪い云々は余り興味ありません。私が注目したのは、バランシンの美への異様な執着心。彼はその理想とするの美の為に、歴代の妻達が出産するのを認めず、中絶させていた。そこから、読み取れるのは、彼は一人の男性として女性を愛することが出来なかったと言うこと。マリアが2度目の妊娠をし、今度こそ生ませてをお願いする彼女に投げかけたのは、

「美しい女性というのはそれだけで私にインスピレーションを与えてくれる。優れたバレリーナは人類に美をもたらす選ばれた存在なんだよ。僕は君の美に奉仕するために生まれた。お願いだから、君の美を無駄なことに費やさないでくれ」

と言う言葉。それに対しマリアはぞっと背筋を凍らせたのですが、私も偏執狂的ヤバさを感じてしまいました。妊娠&出産を無駄なこと言い切るかね?

「彼は自分が奉仕した女性から捨てられる可哀想な男だと言うけれど、本当はバレリーナとしての美しか見てもらえない事に気付いた女性達が、美貌の衰えと共に自分が無用になった事を思い知り、居たたまれなくなって去っていくのだ」

とか言うマリアのモノローグが続くのです。

とまあ、結局バランシンは結婚をしちゃいけないタイプの男だった、ってことでしょうが、その人格的問題?もあくまで家庭人に向かなかっただけの話で、芸術家としては逆に研ぎ澄まされて良かったのでは?と思ったんです。自分の遺伝子を残すという本能よりも、芸術への思いの方が強かったお蔭で、生物学的な遺伝子は残らなくても、バランシンバレエに見せられた数多のダンサー達が、芸術的遺伝子を受け継いでくれる結果になった訳ですから。

で、その美への執着ですが、クラッシックバレエの基本から外れたバランスで、なおかつ美しく見せることと、音楽に乗って踊るというより、動きで音を表現するべく細かい振付けや決まり事があるんだそうです。バランシンはバレエ音楽以外でも、沢山振付けしてますし、音楽家の家庭に育ち、自身も作曲をしていたというのも大きいのでしょう。また、先のウェスタン・シンフォニーに見られる通り、民族舞踊も取り入れたり、様々な要素をバランスよく融合することに長けていたようです。ここで、スコティッシュダンスをモチーフとした『スコッチ・シンフォニー』(メンデルスゾーン作曲)を紹介します。



これ、キーロフバレエ1989年の公演とありましたので、まだ旧ソ連時代のものなんですねえ。映画『ホワイトナイツ』でガリーナ(ヘレン・ミレン)が「キーロフでもバランシンをやるのよ」と自慢気に言うシーンがあったなあ、と思い出しました。

と、話が逸れましたが、音楽の美とダンサー達の躍動美が絡み合ったバランシン芸術の影には、一人の女性として愛されたかった歴代妻達の涙があったのかもしれません。

ところで、タイトルの黒鳥は、マリアが『ウーマン・オブ・ザ・イヤー』授賞式でブラックスワンを踊ったことから。タニィへの嫉妬で自らのドロドロした内面を思い知ったマリアが「今ならブラックスワン踊れる」と確信し、生涯最高のパフォーマンスをしました。それがバレリーナとして覚醒した瞬間でありつつも、その後も心の闇を拭い去ることは出来なかった、というお話でした。『黒鳥』は50ページ程の小品ではありますが、芸術だけでなく人の心も丁寧に描いていると思います。

と言ったところで、もう一つの『牧神の午後』は既に読み終えているものの、色々と調べたいことがあるので、もう少し時間がかかりそうです。


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テーマ:バレエ - ジャンル:学問・文化・芸術

2014/11/21 11:00 yuccalina

タップダンスと私(2)~ニコラス・ブラザーズ×マイケル・ジャクソン!

ダンスとしてはまだまだマイナーな存在であるタップダンスの、素晴らしいパフォーマンスを紹介していきます。今回はロックやポップスのファンが食い付きやすようなのをご用意致しましたよ。

前回紹介しましたが、私が一番好きなダンサーはフェイヤードとハロルドのニコラス兄弟。YouTubeで彼等の動画を漁っていたら、こんなの見つけちゃいました。

ニコラス兄弟ミーツ、“キング・オブ・ポップ”マイケル・ジャクソン!



画像が荒くて確認出来ないのですが、マイケルと一緒に出てる他のメンバーには、ジャクソンファミリーが入ってるのかしら?黒人女性の中に、もしやラトーヤとジャネットがいたりするのかな?顔のお直しがあるので、現在と比べても、分からないとは思いますが、ご存知の方、是非教えてくださいませ。

しかし、ニコラス兄弟と言えば、40年代のミュージカル映画でスーツ姿のイメージが強かったので、かなり新鮮でしたわ。こんな、ソウルトレイン風の衣装着てたりしたのですね。また、ニコラス兄弟はマイケルより40歳のくらい年上の筈ですが、動きに全く年齢を感じさせないのも凄いです。

で、マイケルなんですけど、実はBBCドキュメンタリーの中で、2人はMCハマーの踊りを褒めてたのに、マイケルは名前すら出てこなかったので、「もしや仲が悪いのか?」と思ってたんですよ。ですから、こうして、一緒に踊る姿を見られて、とても嬉しかったんです。マイケルは、多分何か大人の事情で出られなかったのかもしれませんね。

それにしても、マイケルのソロ、流石にカッコイイですね~!タップを躍らせても超一流です。


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タグ: タップダンス ソウル

テーマ:タップダンス - ジャンル:学問・文化・芸術

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