プロフィール

yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2017/03/07 13:05 yuccalina

ブルース&ソウルレコーズ誌が選ぶ、黒人アーティストのビートルズカバー50

しつこいですが、黒人音楽×ビートルズネタが続きます。

こちらはインスタには投稿しておりません。

表題の50選は以下の通り。#は雑誌の付録CDの収録曲、*がエイスレコードのコンピレーションVol.1、**がVol.2に収められている曲、そして今回動画を貼ってる曲を赤字で表示しております。

1. A Hard Days Night - The Supremes
2. All You Need Is Love - Lynden David Hall
3. And I Love Him (Her) - Esther Phillips #
4. Blackbird - Cassandra Wilson
5. Can't Buy Me Love - Blackstreet
6. Can't Buy Me Love - Ella Fitzgerald
7. Come Together - Ike & Tine Turner
8. Come Together - Syl Johnson
9. Day Tripper - Otis Redding *
10. Dear Prudence - Ramsey Lewis
11. Do You Want To Know A Secret - Mary Wells **
12. Don't Let Me Down - Donald Height *
13. Drive My Car - Bobby McFerrin
14. Eight Days A Week - Mary Wells
15. Eleanor Rigby - Aretha Franklin *
16. Eleanor Rigby - Ray Charles
17. Eleanor Rigby - Richie Havens
18. Get Back - Shirley Scott
19. Good Day Sunshine - Roy Redmond *
20. Got To Get You Into My Life - Earth, Wind & Fire **
21. Here Comes The Sun - Nina Simone **
22. Here Comes The Sun - Womack & Womack
23. Hey Jude - Clarence Wheeler & The Enforcers
24. Hey Jude - Wilson Pickett #
25. I Saw Her Standing There - Little Richard *
26. I Want To Hold Your Hand - Al Green *
27. I Want To Hold Your Hand - Lakeside
28. I Want You (She's So Heavy) - Eddie Hazel
29. I've Got A Feeling - Billy Preston
30. In My Life - Boyz II Men **
31. Lady Madonna - Allen Toussaint
32. Let It Be - Aretha Franklin *
33. Let It Be - Bill Withers **
34. Let It Be - Gladys Knight & The Pips
35. Lovely Rita - Fats Domino **
36. Michelle - Willie Bobo
37. Ob-La-Di, Ob-La-Da -Arthur Conley #**
38. Oh! Darling - Jimmy McGriff & Junior Parker
39. She Loves You - The Joneses
40. She's Leaving Home - Syreeta
41. Something - James Brown
42. Taxman - Junior Parker
43. The Long And Widing Road - Wills Jackson
44. Wait - Bettye LaVette
45. We Can Work It Out - Stevie Wonder
46. Why Don't We Do It In The Road - Lowell Fulson *
47. Yer Blues - Lucky Peterson
48. Yesterday - Donny Hathaway
49. Yesterday - Ruth Brown
50. Yesterday - The Soul Children

CDに入ってなかった曲が結構あったので、頑張ってYouTubeで聴いてみました。一部探しきれなかった曲があったのが残念でしたが、気に入ったカバーをいくつか紹介しますね。

先ずはCome Togetherから。これアイク&ティナもカッコ良かったんで、どっちにしよか迷ったんですが、なるべく知名度低い方を紹介したいと、Syl Johnsonです。



以後お見知るおきを~~(^O^)/

お次のMichelleのWillie Boboって全く知らんかったのですが、アフロキューバンアレンジがオサレなインスト(ちょこっとだけ掛け声入ってますがが)ですのよ。



ニューヨーク生まれのプエルトリコ人パーカッショニストだそうです。

そして、前回「ブルースロックっぽいカバーが少ない」と書いたとこで、こんなのあったのですよ、



Yer Bluesはブルースロック流行りを揶揄してたそうですが、Lucky Petersonのカバーカッコ良過ぎだす。

そんで、泥臭さとは対照的に、洗練を感じるDonny HathawayのYesterday



なんて美しいアレンジなんざんしょ~!と同時に、ソウルの熱気が伝わってくるのは、歌ってる傍からお客の合いの手みたいな掛け声の妙もありそうな、、、。ライヴならではの味わいかしら。痺れるんざんす。

こういうのは、確かブルースブラザーズ2000でBBキングが歌ってる時に、客の掛け声入ると、何かカッケーなーと思ったのが始めてだったのですが、私もいつかやってみたいなあ。

最初にこの黒人音楽×ビートルズネタを出した時、

「勿論Donny HathawayのYesterdayは入ってるよね~?」

とのコメントを頂き、あわわ、入ってねえ、エイスレコードのコンピにも入っとらやないか~い!と一瞬思ったんですがが、誌面ではちゃんと紹介されていたのです。エイスレコートのカバー集の仕掛け人、トニー・ラウンスへのインタビュー記事を読むと、やはりコンピは版権が下りなくて諦めた曲も多かったそうです。

最後にラウンス氏のお気に入りで、上の50選に入ってなかったカバーを紹介します。RevalationsのYellow SubmarineはChic風アレンジが素敵ですわ。



そして、もう一つはブラックアメリカならぬジャマイカンですが、Prince Busterのロックステディ風All My Loving



いや~、ビートルズの曲をこれだけ纏めて集中的に聴いたのは、生まれて初めてかも?雑誌も大変面白かったんで、しつこく投稿してみました。
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タグ: 60年代 70年代 80年代 ソウル R&B

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2017/01/26 09:25 yuccalina

ブルース&ソウルレコーズ買いました!~Black America Meets The Beatles

インスタからのネタ下ろしばかりで何ですが、ブルース&ソウルレコーズ2016年12月号がヒいジョーに良かった。



映画マッスルショールズで知って、ノックアウトされたウィルソン・ピケットのヘイ・ジュードが付録CDに入ってるとのことで、即決だったんですが、



他にもイカした曲が沢山。The Watts 103rd Street Rhythm Bandによるファンキーなイエローサブマリンは、音頭以上のインパクトでしたが、動画は見つからず。

で、今回はVol.1, 2とリリースされている、Black America Sings Beatlesの収録曲を、幾つか紹介したいと思います(下の画像は第1集Come Together)。

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まずは、スティーヴィー・ワンダーの『We Can Work It Out』



こちらの動画はホワイトハウスにご招待されての演奏。客席にオバマ夫妻とポールが並んでノリノリなのも、よろしおすなあ。キーボードのリフが耳に残るし、間奏のブルースハープもカッコいいんです。
投稿後に気が付いたんで、追記。
このスティーヴィー・ワンダーのカバーはBlack America Singsシリーズには、入っておりませんですた。
雑誌誌面に名カヴァー50選なるものがあり、そちらで紹介されてたので、混同してしまったようです。スミマセンm(__)m


そして、アル・グリーンの『I Wanna Hold Your Hand』(Vol.1に収録)



これはお蔵入りになってたセッションらしいんですが、冒頭からリラックスして曲を楽しんでるのが伝わってきますなあ。テンポを落としてのバックビートがファンキーで、思わず踊りたくなっちゃいます。キャーキャー!

ジュニア・パーカーの『Lady Madonna』(Vol.1に収録)もゆったりバックビートで、セクスィー部長なノリが素敵。



最後はジョージの曲行きましょうか。ニーナ・シモンによる『Here Comes The Sun』(Vol.2 Let It Beに収録)。



これは、中々オサレなんじゃないでしょうか?元々チョイかすれ声は、大好物なワタクシなんですが、曲の雰囲気とジャジーなヴォーカルが、凄くあってると思います。あー、こっちのCDも欲しくなっちゃったなあ。多分買うと思います、はい。

タグ: R&B ソウル 60年代 70年代

テーマ:The Beatles(ビートルズ) - ジャンル:音楽

2016/05/13 09:13 yuccalina

『伊勢佐木町ブルース』からアレックス・チルトン&スリム・ハーポ!

ブルースという音楽にとって、やはりスケベ要素は欠かせない。

「ブルースは人生を語るもの」

と言ったのはBBキングですたが、

みうらじゅん師匠はこう言ってたっけ、、

「人生エロエロ」

なぞと、昨日の記事で青江三奈の『伊勢佐木町ブルース』を聴きながら思った。ブルースが悪魔の音楽と呼ばれたのは、やっぱりスケベな歌が多かったからでして、そのあたりはマーティン・スコセッシ総指揮の『ブルース・ムーヴィー・プロジェクト』の話(コチラ)で書いたので、ここでは繰り返しません。

『伊勢佐木町ブルース』で思い出すのは、青江三奈も出演していたマスプロアンテナのCM!YouTubeで探してみたらありました。



70年代って結構放送規定が緩かったのかな?パンチラを狙うカメラアングルに思わせぶりなセリフとか、今やったら即クレームが来そう。

で、話は急展開しますがが、ブルース=エロで私が思い出すのがこれ。アレックス・チルトンの『Ti Nee Ni Ne Noo』



チルトンと言えば、REMの御蔭かどうか知りませんぐが、一部ではオルタナロックのカリスマみたいになってますけど、私にとってはブルース開眼と、微妙に関わっているアーティストでもあります。これまでホーボーケンロックの話とかでも、ちょこちょこ名前を出して来ますたが、最初に知ったのはイギリス4ADレーベルのThis Mortal Coil『It'll End in Tears』でカバーされていた『Kangaroo』と『Holocaust』で、その後リイシューされたビッグ・スターのアルバムを揃えました。で、ソロの『Bangkok』や『No Sex』の12インチも愛聴していて、その中で特に気になっていたのですが、ブルースのカバーだったのですね。オリジナルはスリム・ハーポ。



意味不明なタイトルもどうやらスケベなようで、、、ま、詳しくは書きませんぐ。

チルトンはテネシー州メンフィスの出身で、ブルースやジャズに囲まれて育ったんですよね。初めて聴いた20代の頃は、その辺りは全く無知だったのですが、今思えばブルースの種は既に蒔かれていたのでしょう。

と言う訳でロックアーティストにカバーされてるスリム・ハーポをもう2曲紹介。

ヤードバーズの『Baby Scratch My Back』



恋人が背中を引っ掻くって、まあそう言うことでしょうなあ。

そして、ファビュラス・サンダーバーズの『Got Love If You Want It』



ストーンズとキンクスは敢えて外しましたですが、やっぱブルースハープの音が色っぽいのかなあ、と思います。

そう言えば、今日は13日の金曜日でしたね。だからって、悪魔の音楽を紹介した訳じゃないですよ。単なる偶然です。

ちなみにトップページの広告は1週間も経たずに止めちゃいました~

何だか、

ハンドメイドのクセが凄い

って我ながら感じたので。

やっぱりブログのイメージを固定しすぎるのは、自分らしくないなと思った次第です。


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2016/04/14 08:30 yuccalina

ケヴィン・エアーズのブルー・スウェード・シューズにジョンセバを添えて

ケヴィン・エアーズの初期作品5枚組ボックスを順番に紹介しております。3回目ですが、今回はやはりブルースとの絡みを書いておきたいです。

music5.jpg

既に何度も繰り返してますが、、、

ブルースはルーツ=根っこで、他の音楽はフルーツ=果実である。

というウィリー・ディクソンの名言は、様々な場面でふと頭を過ぎるのです。ケヴィン・エアーズもやはりブルース無くしては語れないのではないか?

とか、特に4・5枚目になると、かなりサウンドが黒っぽくなってるのですがが、その兆候はこの3枚目『Whatevershebringswesing』(上段右)にも、既に出ている訳ですね。

music6.jpg

では早速曲紹介。 ドラマティックなプログレ的組曲『There is Loving/Among Us/There is Loving』に、癒し系な『Margaret』に続く3曲目、『Oh My』がツボでした。



こ、これはなんだかラヴィン・スプーンフルっぽくないかと。リズムの刻み方とか、ジャグ・バンドってやつ?まさかケヴィンとジョンセバに通じるものがあったとは、これまで思ってもみなかったんで、なんだか嬉しいんです。

そして、タイトル曲の『Whatevershebringswesing』がねえ、これ、前にも紹介したことある曲なんですが、また貼っちゃうぞ。昔聴いてたら、きっと眠たいだけだったかもしれんけど、今はこのレイドバックがたまら~~ん!訳ですね。バックの女性ヴォーカルも、これまでとはちょっと違ってるような?



当時ケヴィンはまだ20代半ばの筈なのですが、何すかこの渋い感じわ?

マイク・オールドフィールドによるイントロのベースソロも渋いよね~!
って、マイクはケヴィンよりもさらに若かった(ティーンネイジャーだった)筈ですがが~~!

ワイン飲んで、楽しく過ごそう
So, let's drink some wine
And have a good time.

とか歌ってる訳ですが、おフランス好きだから、ビールやウィスキーよりもワインなのかに?

なぞと突っ込んでたら、曲順的には前後するのですが、ずばり『Champagne Cowboy Blues』なんてのもね。タイトルにブルースが付いてるし、カウボーイだし、アメリカ~~ンなモチーフ。だのに、飲むのはシャンパンなのよ。



最後の方で『Joy of A Toy』のイントロがコラージュされてるのも素敵だす。

そして、私が一番好きな曲が、『Stranger in Blue Suede Shoes』



ブルー・スウェード・シューズ、と言えばやはりプレスリー(又はカール・パーキンス)の名曲を思い出す訳です。若者の反抗を象徴するアイテムなのでしょうが、同時にブルースに根差した音楽を象徴してるような気もする。歌詞の内容としては、ブルー・スウェード・シューズを履いたよそ者が拒絶される話(He said, "we don't serve strangers in blue suede shoes;)なのですが、、。

最初に聴いたときは、単純にヴォーカルがルー・リードみたい~!くらいにしか思っていなかったんですが、ブルー・スウェード・シューズと言うワードに、何かしらの思いが込められてるのでは?とか思ってしまいますた。

ちなみに、ジョンセバのソロ作品『Rainbows All Over Your Blues』の中には、

クローゼットへ行ってブルースウェードシューズを取り出して
You better run to your closet
and fish out your blue suede shoes

<こちらはウッドストックでのライヴ映像>

と言う一節があるのですが、これは自分らしく行けよ的励ましの印象なんです。ポジティヴな意味で使っております。同じワードでも個性が出るものですが、やはりその前提として、あの有名な歌があるからなんでしょうねえ。

で、オリジナルアルバムには入ってませんでしたが、シングル『Stranger~』のB面だった『Fake Mexican Tourist Blues』はタイトルにブルースは付いてるけど、



80年代のファンカラティーナサウンドを思わせる、オサレな曲なんです。流石ですわ。

そして最後はブルース色抜きですが、インストゥルメンタル『Lullabay』は美しい、ちょっとエリック・サティっぽい曲です。



ケヴィンって水音が好きみたいで、あっちこっちで使ってますね。やっぱ海の近くで育ったからなんでしょうか。

つー訳で、大したことも書かずに、3枚目が終了しちゃいましたが、ここまで私的ハズレはありません。どれも大好きで、リピートしておりますが、残りの2枚もこの調子で、マイペースで紹介致しますです。


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タグ: ケヴィン・エアーズ イギリス R&B

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2015/09/30 08:55 yuccalina

『それでも夜は明ける』のその後は闇の中

結局、9月はアフリカ系アメリカ人を描く映画を3本見てしまいました。『キャデラック・レコード』『大統領の執事の涙』に続き、最後に紹介するのがアカデミー賞3部門(作品、助演女優、脚色)を受賞した『それでも夜は明ける』です。こちらは、ブログ仲間のバニーマンさんが取り上げたの読んでから、ずっと気になっていた作品でした。

それでも夜は明ける(2013)~『バニーマン日記』より



1853年に出版された『Twelve Years a Slave (12年間奴隷として)』と言う、自由黒人ソロモン・ノーサップの奴隷体験記を元にした歴史ドラマなのですが、先ずは歴史的背景を簡単に整理したいと思います。

ヨーロッパ各国で奴隷貿易及び奴隷制が廃止され始めたのが19世紀の前半(イギリスが最初で1807年)。アメリカが南北戦争の末に全土での奴隷制廃止になったのが1865年ですから、ちょうどその間の出来事なんですね。アメリカでも北部の州では奴隷解放が既に進んでいて、主人公ソロモン・ノーサップ(キウェテル・イジョフォー)はニューヨークで生まれた時から奴隷ではなく、ヴァイオリニストとなり、順風満帆な生活をしていた。ところがある日、興行師を語る2人組から「サーカスでの良い仕事がある」と唆され、拉致されて、南部の奴隷商人に売られてしまう。で、その後に出会う様々なタイプの白人達が

フォード(ベネディクト・カンバーバッチ): ノーサップを最初に買い取る。温厚な聖職者で、ノーサップの能力を評価し味方してくれていたが、お金を借りていたエップスにノーサップを売ってしまう。

エップス(マイケル・ファスベンダー): 残酷な農園主。気分が悪いと奴隷を平気で鞭打ちしたり、お気に入りの女性パッツィー(ルピタ・ニョンゴ)への執着も異常で、情緒不安定な男。

ディビッツ(ポール・ダノ): フォード農園の監督官。上に媚びへつらい下には威張り散らす狭量で陰湿な性格。仕事も出来て頭の良いノーサップを虐める。

アームスバイ(ギャレット・ディラハント): ある農園の監督官から、酒が原因で奴隷に身を落とし、エップス農園へやってきた白人男性。

バス(ブラット・ピット): カナダ人の大工。奴隷制に疑問を持っている。

でして、やはりムカつくのがエップスとディビッツの悪行。しかし、気分次第で奴隷をムチ打ったかとおもえば、屋敷にあげて踊れと命令したり、天候被害も奴隷達のせいだと八つ当たりしたり、やることがムチャクチャなエップスは、明らかに頭がおかしい。人格的に破綻した異常者にしか見えないです。むしろディビッツの方が人間のイヤラシサが出ていて、ゾーッとするものがありました。白人である自分が奴隷のノーサップより劣ってるなんて絶対に許せん!という嫉妬から、ノーサップに色々と意地悪するんですね。多分、自分が白人の中では下の身分であることへの劣等感が強いのでしょう。

そして一見良い人なのがフォードとアームスバイですが、フォードはノーサップを気遣うものの、あくまでも主人と奴隷の関係は崩しません。まだ奴隷制への疑問にも目覚めていない状態。それは、単なる無知なのか、はたまたハンナ・アーレントが語っていた「全体主義における思考停止による陳腐な悪」なのか。

一方のアームスバイは「昔は農園で雇われ監督官をしていたが、黒人奴隷をムチ打つのが辛くて、酒浸りになって破産した」とノーサップに告白。黒人奴隷への同情心を自ら意識していました。それを聞いたノーサップは、”北部の友人に助けを求める手紙”を託そうとしますが、アームスバイはエップスにばらしてしまいました。まあ、辛いと酒に逃げる弱い性格だったのでしょうから、さもありなんなんですが、私はここで勝手に想像してしまいましたよ。

手紙のことばらした罪悪感で、また酒をあおってんじゃね?って。

実を言うと、私はアームスバイが登場した時に、サム・フィリップスを思い出したんです。勿論奴隷制が廃止された後の話ですが、フィリップスは小作人の子供として、黒人達と一緒に綿花畑で働いていて、そこで聴いた黒人の歌に感動し、後に黒人音楽に携わるようになりました。アームスバイは保身の為に裏切ったチンケな白人でしかなかったかもしれませんが、黒人と同じ立場で一緒に働いていた白人の中から、後に価値観を共有する人々が現れたのかもしれない、とふと思った訳です。

そして、最後は一番美味しい役だったブラピのバスですが、北部からやってきた人間で、明らかに考え方が違っています。奴隷制への疑問をハッキリと口に出して言いました。そしてノーサップの手紙を出して、救出の手助けをします。意識が高く、賢くて勇気もあった。こういうタイプは沢山は出てこない、やはりスペシャルな役をブラピは頂いた訳ですな。

さて、ノーサップは12年の後、無事にニューヨークへ帰還し、本も書いた訳ですが、彼を誘拐した2人組と奴隷商人を提訴したものの、当時は裁判における黒人差別があったため、どちらも罪には問えず終わったそうです。そして、彼はいつどこで亡くなったのかも不明であり、一部では再び拉致されて、どこかに売られてしまったのでは?とも言われているとか。しかし、本を出した時すでに40代半ばの筈ですから、年齢的に奴隷はなかったのでは?と思います。むしろ、裁判を起こしたり、本を出したことで、白人から恨みを買い、抹殺されてしまった可能性が高い気がします。

と言った、ノーサップのその後のモヤモヤ感がそのまま残るエンディングとなりましたが、このように、「北部の自由黒人を誘拐して南部に売る」パターンは、多かったのかもしれませんね。先に奴隷貿易が禁止になって、外から連れてこれなくなったから、不正に国内供給しようとした奴等がいたってことでしょうから。勿論エップスもディビッツもムカつきましたが、誘拐犯と奴隷商人が処罰されなかったのが、私は一番頭にきたんです。だからこその、このスッキリしない感じ。

ってなままで終わるのも何ですので、最後に少し音楽のお話を。綿花畑や林などで働きながら歌うワークソングや、黒人の仲間を弔う歌などが出てきました。



後に民俗音楽研究家のジョン・A・ローマックス(1867~1948)と息子のアラン・ローマックス(1915~2002)が全米の民俗音楽をフィールドレコーディングし始めたのが1933年で、それ以前の音源は残っていないのですが、日々の生活の中で伝わったであろうこれらの音楽は、きっと素晴らしいものだったのでしょう。残念ながら農園での録音は見つからなかったのですが、こちらは最初期に録音された囚人たちのワークソングです。



先述のサム・フィリップス以前に、ジョン・ローマックスは9歳の時、親の農園で働いていた黒人少年ナット・ブライスと友達になり、彼から歌を教えてもらったとか。その後ナットは21歳で農園を出て行ったのですが、「殺害された」との噂を耳にしたジョンは、ナットを探して南部を旅したそうです。そう、その体験が後の仕事と深く関わっているのは間違いありません。音楽が人種の壁を超える重要な役割を果たしたのは、ソロモン・ノーサップの時代からもう少し後のことになりますが、R&Bやソウルの種は既に蒔かれていたのかもしれない、そう思ってモヤモヤした気持ちを収めるしかないのかもしれませんね。


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タグ: R&B ソウル

テーマ:ヒューマン・人間ドラマ - ジャンル:映画

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