プロフィール

yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2016/03/18 09:15 yuccalina

トリコロール~青の愛・白の愛・赤の愛

ポーランドの故クシシュトフ・キェシロフスキ監督による、フランス国旗のカラーをイメージしたドラマ三部作は、OLしてた90年代に見たいと思ってて、そのまま20余年経ってしまっておったのです。今年1月にCSで一挙放送があったので、録画しておいたのを、やっとこさ見ることが出来ますた。

3つ纏めてなので、あんまり詳しくは書きませんが、気になったところを書き記しておきますです。

国旗の色が意味する

青=自由
白=平等
赤=博愛

をテーマとし、映像全体にもディテイルにもそれぞれの色が使われておりますが、私が持ってる色のイメージと重なる部分が結構ありました

それは、例えば、青のヒロイン、ジュリー(ジュリエット・ビノシェ)は作曲家の夫を愛娘を交通事故で失い、喪失感と呪縛から自由になり、彼女をずっと愛していたオリヴィエ(ブノワ・レジャン)と結ばれる、という展開です。しかし、亡夫の愛人が身籠ってるのを知ると、処分する予定だった財産をお腹の子供に譲ると言う寛容さは、空や海の色である青と、私の中では重なったんですね。



最初から最後まで暗く重たい雰囲気の作品ですが、ジュリーが亡夫の残した未完の協奏曲(BGMとして流れる)を仕上げていくことで再生していく、ドラマティックなストーリーです。

そして、白=平等はポーランド人美容師のカロル(ズビグニェフ・ザマホフスキ)が、フランス人のヨメ、ドミニク(ジュリー・デルピー)の国に来て結婚した途端、性的不能に陥り、離婚されてしまう話。言葉もまだ不自由で外国人だから差別されとる、と言う様子が冒頭で描かれています。そこから這い上がって、ヨメと平等の立場になったという意味でしょうか?しかし、彼はドミニクを天使と呼び、彼女を彷彿とさせる白い胸像を買って眺めたり、結婚式で純白のドレス姿のドミニクを思い出すシーンには、白に純粋性を投影してる気もしました。もしや、彼女を神聖化し過ぎての不能かも?とまで考えちゃいましたが、「ポーランドにいたときは上手くいってた」と裁判でカロルが証言してるので、違うんでしょうね。



東欧好きなワタクシとしましては、やはり『白の愛』が一番楽しめました。フランスは前半少しだけで、お話の舞台は殆どポーランドでしたから。民主化の波で兄の美容室にネオンが灯っていたとか、目ぼしい土地を手に入れて上手く金儲けするカロルを見ると、東側の国々では、どこでも混乱期に上手く立ち回って成功した人が沢山いるんだろうな、と想像できました。

妻に捨てられ、パリの地下鉄で茫然自失のカロルに声をかけ、ポーランドへ帰国させてくれた(その方法がまた笑えるんだが)ミコワイ(ヤヌシュ・ガヨス=ちょっとブライアン・フェリーに似てる?)との友情も良いし、すっとぼけた雰囲気の兄も良い味を出してます。『青の愛』の暗さと対照的で、コメディタッチなこの作品が余計に引き立ったとも言えます。

事業に成功し、フランス語も猛特訓して、自信に道溢れたカロルが別人みたいになるビフォーアフターも良いかったのですが、最後にドミニクへの復讐をしたのは、なんでなの?と、実は少し残念に思いました。なので、思わせ振りなラストシーンを見ながら、

「ドミニクを許したってよ~!はよ助けんかいっ!」

とイライラしちゃいました。

しかし、その腑に落ちないエンディングが、『赤の愛』で見事に解消されたのは、心憎い演出だなと思いましたよ。

『赤の愛』のラスト、ドーバーのフェリー事故の生存者として、主人公ヴァランティーヌ(イレーヌ・ジャコブ)と共に、ポーランド人実業家のカロルと、フランス人のドミニクがニュース映像に写し出される。そこで、二人がヨリを戻してたと、確認できる訳なんです。ちなみに青のカップル、ジュリーとオリヴィエも生存者として登場し、ここで三つの愛が揃い、三部作としてのエンディングにもなっていると。

で、その最後の『赤の愛』についても少し書いておきますね。赤は情熱的なイメージなので、博愛って?と少々違和感がありましたが、赤は人間の根元的なものを表す色として、当てはまるのかも?



盗聴をしてる厭世的な元判事の老人ヴェルヌ(ジャン=ルイ・トランティニャン)が、スイス人学生でモデルをしているヴァランティーヌから「哀れな人ね」と言われて自首をする。ヴェルヌは彼女を愛するようになっていたのですが、それは恋愛感情とはどこか違う、時空を超えたものとして描かれている。それを博愛と理解すれば良いのかは分かりませんが、ヴァランティーヌのエピソードと並行して描かれていた若き法律家オーギュストを、自分の若い頃に似ていると、ヴェルヌは盗聴しながら自分の分身として見ていたのが深い意味を持っていたようです。ラストのフェリー事故でのシーン、生存者としてヴァランティーヌとオーギュストが出会うことで、ヴェルヌの愛は間接的に成就するかも?と予感させるからです。

と言う訳で、もし20年前に映画館で見てたら、半分寝てた(特に青はしんどそう)かも?と思ったので、この年で見て良かったんだと思いました。出来ましたら、3本纏めて順番に見ることをお勧めいたします。



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タグ: フランス 東欧

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2015/11/23 18:30 yuccalina

日仏合作映画『FOUJITA』のこと

コチラは11月17日に一度投稿した記事ですが、追記(青字)しました。

先週末公開になった、画家藤田嗣治を描く日仏合作映画『FOUJITA』の、ポストカード付チケットをゲット致しました。先週の水曜日、銀座の綿本ヨーガスタジオへ行く道すがら、有楽町の角川シネマで購入して参りますたのよ。

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左のアップのカードを見ると、アゴのホクロは敢えて消さなかったのでそか。小栗監督も「伝記映画にするつもりはない」と仰ってましたので、オダジョー感を消す必要もなかったということでそか?それにしても、やっぱりオダギリジョーは二枚目過ぎますね。

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と、本物の藤田の写真を見て実感いたしましたが、以前にも書いた藤田のオシャレな服装も含め1920年代の空気が、どのように描かれているのか、とても楽しみ。そして、戦争画関連については、小栗監督の捉え方が反映されるでしょうから、そちらも興味深いところです。今週末に見に行く予定ですので、来週には感想を書きたいと思っております。

追記)

20(金)に新宿武蔵野館で見てまいりました。

フジタのパリと日本でのエピソードで綴られているものの、殆どストーリーになってなくて、絵画的な映画とでも言いましょうか。映像はどれも美しかったです。でも、後ろの席から大きないびきが聞こえて、集中出来なかったりしました。

君代夫人が過去の女性達を「布に例えるとどんな人?」と質問する下りは、フジタの布への拘りを暗に示してるんでしようね。ちなみに5人いた歴代妻のうち、最初のとみ子、4番目のマドレーヌは登場せず、君代夫人のセリフで言及しただけでした。

加瀬亮が演じた青年は、フジタが日の丸に豆と蛙を描いてあげたという鈴木博住氏がモデルになってるのかな?戦争犯罪云々の話は一切なしで終えたのは、良かったと思います。

フジタを知らないで見て、彼に興味を抱かせる映画かどうか、と言う点では微妙なとこですかね。



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タグ: フランス 20年代

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2015/08/25 09:30 yuccalina

『SONG TO SOUL オー・シャンゼリゼ編』~フランスとイギリスの音楽カンケイ

毎週水曜日(23時~)BS-TBSで放送中の音楽ドキュメンタリー『SONG TO SOUL』は、私の大好きなTV番組の一つです。名曲が生まれるまでのストーリーを、アーティストや関係者への取材、曲の舞台となった土地の紹介やら、時代背景やらを絡めて、丁寧に紹介して行きます。必ず歌詞と日本語訳が紹介されるところも、歌の内容を理解するのに役立ち、嬉しいところです。取り上げられるアーティストが来日間近で宣伝の為、とか言う大人の事情が垣間見える選曲も時にはありますが、既に他界したアーティストを取り上げることも多いです。ジャンルは英米のロックとポップスが中心ですが、たまにそれ以外の国も登場。なかでもフレンチ・ポップスは積極的に取り上げてる印象です。

つー訳で、8月12日の放送は『オー・シャンゼリゼ』でした。フレンチポップスにさほど詳しくないワタクシでも知ってますし、シャンソンと言えば、多くの日本人がこの曲を思い浮かべるのでは?という位、とても有名な曲。

しかし、これは元々イギリスで生まれた曲だったのです。1968年、サイケデリック・バンド、ジェイソン・クレスト(Jason Crest)のシングル、『ウィータールー・ロード』として発表されました。作者は60年代ガレージバンド、フォー・ペニーズのマイク・ウィルシュとジャグラー・ヴェインのマイク・ディーガン。歌詞の内容は「ウォータールー・ロードは楽しい仲間と出会える場所」と言う感じなので、『オー・シャンゼリゼ』とかけ離れた印象はありませんが、



あらまー、ビックリ!でした。サイケ・バンドにこんな曲をやらせた、というのも驚きでしたが、曲をエネルギッシュにする為、大通りの雑踏の中でヴォーカル録りをしたのがとても良かったみたいです。ストリート感があって、ポップなだけでない良い雰囲気に仕上がったのではないかと。

その後、この曲をフランスで紹介したのが、映画監督ジュールズ・ダッシンの息子でアメリカ生まれのジョー・ダッサンだった、というのも非常に興味深かったです。歌詞は「ウォータールー」という地名がフランス人には印象が悪いというので、フランスの作詞家ピエール・ドゥラノエが新しくフランス語の歌詞を付けて、見事『オー・シャンゼリゼ』に生まれ変わったのです。



ダッシン監督が50年代に、赤狩りでアメリカを追われたから、息子もヨーロッパで活動してた、ってことなんでしょうね。ちなみに父子で表記が違うのは、息子ダッサンがフランス語読み、父は既に英語読みダッシンで有名だからか、Wikipediaも、それぞれ、ジョー・ダッサン、ジュールズ・ダッシンと書かれておりました。

で、『オー・シャンゼリゼ』の中でも日本で一番有名なバージョンは、ダニエル・ビダル、ってことになるんでしょうね。



か、、可愛い!

日本人が幼い可愛らしさを好むのは、ローラとか見ても昔と変わらない感じしますねえ。

番組では現在南フランスでレストランを経営してるダニエル・ビダルを取材していて、とてもチャーミングなおばちゃんになっていました。月が~出た出た~!と炭鉱節に、オー・シャンゼリゼ~!を繋げて歌ってくれたり、日本語の歌詞もまだ覚えてました。もしかしたら彼女こそ、元祖YOUタレントだったのかもしれませんね。

そして、フランスの最新バージョンとして紹介されたZAZ(ザーズ)も素敵でした。



ちょいと擦れたヴォーカルがクールで、ビダルの対極って感じ?クインシー・ジョーンズがプロデュースもあってか、とてもカッコイイなと。私は断然こっちの方が好みですわ。

さて、話をイギリスに戻しますと、作者の一人マイク・ディーガンが、ギターを手に曲作りの経緯を、語ってくれたのが印象深かったです。「ギターのリフがラヴィン・スプーンフルみたいで、、」と聴いて、なるほど!と膝を打ったのですよ。やっぱ、これですよね?



ラヴィン・スプーンフルの『デイ・ドリーム』は昔から大好きで、散々聴いてきましたけど、『オー・シャンゼリゼ』と結びついたことは、一度もなかったので、新鮮な驚きだったのです。確かに最初の動画、『ウォータールー・ロード』のギターを聴き直せば、なるほどと思いました。

一方で、私が『ウォータールー・ロード』を初めて聴いて、思い浮かんだのがこの曲。



ロンドンの街並みや若者達を描く詞がイギリス人から愛されて、最もイギリス的なバンドと呼ばれたキンクスの『ウォータールー・サンセット』。このシングルがヒットしたのは1967年と、『ウォータールー・ロード』より先ですので、ウォータールーという地名を敢えて選んだと思われても仕方ないのでは?番組でキンクスの名前は全く出てきませんでしたが。

という訳で、最後にイギリスとフランスの音楽関係について、少しだけ書きたいと思います。私がこの二つの国の関係に興味を抱くようになったのは、クラッシュのポール・シムノンとストラングラーズのジャン・ジャック・バーネルがフランス系と知ったパンク時代、と妙なところから始まっているのですが、案外仲良しなイメージがありますね。今にして思えば、ビートルズが『ミッシェル』を歌い、シルヴィ・バルタンがビートルズの前座をして人気を博したとか、ケヴィン・エアーズも『メイ・アイ?』のフランス語バージョン出してたなあ、何て色々と思い出しました。

この番組では以前シャルル・アズナヴ-ル及びエルヴィス・コステロの『シー』を取り上げていました。そこで作詞者がイギリス人であり、元々イギリスのテレビ番組ように作られた曲だったと、私は初めて知ったのですが、今回のイギリスの曲がシャンソンの定番になった話も、この二つの国の素敵な音楽カンケイを表わしているようで、とても興味深かったのでした。


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タグ: フランス イギリス 60年代 ケヴィン・エアーズ

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2015/07/28 10:59 yuccalina

藤田嗣治『異邦人』の生涯

エコール・ド・パリを彩った画家の一人、フランス人レオナール・フジタとして没した藤田嗣治の生涯を描く日仏合作映画『FOUJITA』の日本公開は11月14日に決まったそうですね。以前、映画公開までに読むぞ~!と宣言した(コチラ)評伝『藤田嗣治・異邦人の生涯』を読了致しました。

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映画の公式サイトでは予告編も見られますよ。
映画『FOUJITA』公式サイト

先ずはこの本のベースとして、前回もチラっと書きましたが、NHKスペシャル『空白の自伝・藤田嗣治』というドキュメンタリー番組がありました。1999年、著者が君代夫人にインタビューしたのをキッカケとして、夫人は「この際だから、言いたいことは全部言わしてもらいます」と、語りだした結果が、この評伝であり、日本で初の藤田嗣治画集の発行に至ったのも、君代夫人の尽力だったと、初めて知りました。また、NHKスペシャルでも取り上げられた美術評論家、夏堀全弘が独自に研究して執筆していたと言う評伝の原稿には、藤田自身が目を通して訂正加筆したものが残されており、そこからの引用も多数出てきます。それは藤田晩年の生の声とも言える、とても興味深いものでした。

君代夫人へのインタヴューと夏堀原稿だけでなく、藤田は何でもキッチリ整理整頓して取っておいてたということで、倉庫一杯に日記や手紙、そして自作のお洋服や身の回りの品が全て残されていた。というのも、この本が書かれる上で、とても役立ったことでしょうね。

その中でも、私的におおっ!と思ったのが、洋服の現物が残ってたということ。映画への期待が高まりますね。オダジョー演じる藤田のファッションが、どんな色合いになってるのか?以前ちょっと書きましたが、藤田のポートレイトは時代的にモノクロしかないので、長い間、どんな色の服だったのか、見たくてたまらーん!かったのですよ。これはかなり楽しみでございます。

さて、映画でどれだけ再現されるかは分かりませんが、私が本書で印象的だったところを書き出しておきますが、引用部は赤字で表示しています。

・ 幼少の頃は海軍軍医の父が持ち帰った洋菓子の缶や箱の装飾を見て胸踊らせる一方、北斎や為永春水の日本画にも親しんでいたこと。

・ パリ留学時代の初期に、ルノワールのアトリエを訪ね、リュウマチに悩まされながらも、包帯で手に絵筆を縛り付けでカンバスに向かう老画伯の姿に、とても感銘を受けていたこと。これが、後のチャペルのフレスコ壁画に向かう遠因の一つではないかと。(ちなみに直接的に影響されたのは、ニースにあるマチス礼拝堂と言われております。)

・ パリ時代に交流があった島崎藤村が、藤田を好意的に見ていたこと。日本人で彼を高評価してたのは、結構珍しいかも?

・ 幼い頃(4歳)に亡くなった母親の写真を後生大切に持っていたこと。藤田が寂しがり屋で甘えん坊だったのは、やはり母との触れ合いが少なかったのと関係がありそうです。

等々、上げてたらキリがないですけど、やはり一番気になるのは戦争画と、日本国籍を捨てることになった経緯です。

そこには戦後保身に走って藤田を吊し上げ、責任を擦り付けるような醜い争いがあった模様。そもそも、「GHQが戦争画を描いた画家の戦犯リストを作ってるらしい」と言うのはあくまでも噂で、後に開示されたGHQの資料には、画家を調査した記録は全く無く、勿論戦犯リストもありませんでした。ただ、戦争画を戦利品として得たアメリカ軍は、その取り扱いを決めるために、展覧会を開いたという事実があっただけ。しかし、それはあくまでも美術品としての価値を見極める為だったのです。

それを戦犯探しと思い込んだ日本画壇は、勝手に誰が一番悪いのかを格付けし、自分達で戦犯画家を告発しようとした。その結果一番にあげられたのが藤田であったと。事実確認もせず、噂と思い込みだけで暴走する人間はいつの時代にもいるものですが、藤田はそういう輩達の犠牲になってしまったのです。当然、その後裁判にかけられることは無かったものの、藤田にはそれはショックだったことでしょう。これまで親しくしていた人々の多くが距離を取るようになり、マスコミにはストーカーされ週刊誌で叩かれ、日本で気の休まる場所はなかったと。

私だったら、きっとこう言うね。

これがー、お前らのー、やーり方かあーーーーっ?(おかずクラブ)

フランス行きのビザ申請も邪魔され、取り敢えず先にアメリカへ脱出するも、ニューヨークでの個展は既に現地で活動していた日本人画家国吉康雄の妨害にあって中止。国吉は大戦中アメリカ側に立って、残虐行為をする日本兵等のプロパガンダポスターを描いたり、社交クラブで日本商品のボイコットをアピールしてた人だそうなので、藤田への妨害はさもありなんではありますが、、。

兎にも角にも、藤田は長きに渡って、日本で正当に評価されずにいたのです。以前『パリからの恋文』でも紹介しましたが、藤田はフランスにおいて日本人であることを意識し、面相筆での線描とか黒を大胆につかった色調とか、とても日本的な手法を用いて西洋画に挑んだ。そんな彼を日本の美術界は、奇行で持てはやされてるだけとか、ただの職人芸で芸術ではないとか、批判しかしてこなかった。藤田にとってはさぞ歯痒かったことでしょう。報道や論調がどれだけ真実に向き合っているのか?には注意せねばいかん、と言うのは、今も昔も変わらないですけどね。

1929年、3番目の妻ユキを伴って帰国した藤田が、母校の東京美術学校で行った講演の一部が紹介されていました。

私たち日本人はどうしても自分の個性を現わすときには国民性というものを忘れてはならないと思います。
どうも日本人がいきなり西洋人になろうとしてもそれはできませぬ。
西洋を尊敬することは尊敬してもよいが、我々は日本人である以上矢張り日本を尊敬せねばならぬと思うのであります。
私も向うへ行って初めて日本人でありながら日本のことを知らなさすぎた事に気付き、日本研究を始めました。


ですから、日本人として、日本の役に立ちたいと戦争画を描いたのでしょうが、それがイコール戦争賛美と決めてかかって良いものか?勿論当時の藤田の気持ちを知るよしはありませんが、疎開先の村(現神奈川県藤野町)で戦地に向かう鈴木青年にあげた日の丸の寄せ書きのことを思えば、彼のやさしい心根が分かるというもの。

丁寧に折り畳まれた国旗を広げると、日の丸の周囲に「神風」「必勝」「乾坤一擲」などの言葉が素朴な文字で書き連ねられている。その片隅に「嗣治画」の署名があり、横にはどこかほのぼのとした蛙の絵と二つの空豆が描き込まれていた。日の丸との奇妙な取り合わせに、
「どうしてこの絵を描いたんですか」
と尋ねると、鈴木はこう答えてくれた。
「その当時はね、帰ってこいというあいさつをしちゃいけなかったんですが、これは帰ってこいという意味です。蛙と豆で、マメにカエル。


こんなことをする画家が、戦争バンザイと賛美してたなんて思えますか?って。

そして、藤田の帰化の一因と思われる事実を一つ紹介しておきます。

藤田が戦時中に疎開先にも持って行った愛着のある作品数点を、終戦後、上野の帝室美術館(現在の東京国立博物館)への寄贈を申し入れて、拒否されていました。美術館側は戦犯画家とは関わりたくない一心だったのでしょうが、藤田の芸術を認めてなかった証拠でもありそうです。その後それらはフランス国立近代美術館に送られました。その中でも、『私の部屋、目覚まし時計のある静物』は、サロン・ド・ドートンヌで初めて高い評価を獲得した作品で、翌年日本の帝展に出品して無視されたという、日仏での評価の温度差を象徴する作品だったのです。

<1988年『東京パリ友好都市提携記念~レオナール・フジタ展』チラシより>
foujita30.jpg

これも、「日本に片思いして捨てられた」と藤田が感じる様なエピソードの、ほんの一部なのです。

ですから、こうして日本での研究が進んで、映画にまでなるのは喜ばしいことです。『パリからの恋文』を読んだ時点では、君代夫人は気が強すぎてあちこちで問題を起こしてた、と少々悪いイメージもあったのですが、本書を読んで「全てはビジネスに疎かった藤田を守る為だったのだろう」と思うようになりました。映画『FOUJITA』では、どこまで、どう描かれるのか分かりませんが、藤田と君代夫人が草場の影から「また誤解してる!」とお怒りにならないものであることを祈るばかりです。


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2015/05/11 09:33 yuccalina

『藤田嗣治・異邦人の生涯』を読むぞ宣言

画家レオナール・フジタ(=藤田嗣治)の生涯日仏合作映画『FOUJITA』は11月日本公開の予定だそうですが、それまでに読んでおきたい本があります。

藤田嗣治『異邦人』の生涯(講談社文庫) Amazon.co.jp
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私が持ってるハードカバーはもう絶版みたいですね。表紙が違ってます。

foujita29.jpg

少し前に『パリからの恋文』(湯原かの子著・2006年)という本を紹介しましたが、この『異邦人の生涯』はそれより先の2002年発行ですので、『恋文』のベースとなった評伝かもしれません。買ったまま長らく放置したままだったんですが、流石に映画公開前には読んでおかなくちゃ!とやっとお尻に火がついたってとこと言うか、正に今が読み時かもしれません。

と、ブログで宣言しときます。ちらっとカバーの裏面をみたところ、著者の近藤史人氏はNHKのディレクターをされていた方で、藤田を扱ったあの『NHKスペシャル』(1999年放送)を担当されていたんですね。面白かったらまた何か記事にするつもりでおります。

ところで、最近になってAmazonの商品情報が、ブログ編集画面のワンクリックで貼れなくなってしまいました。今回は表紙を紹介したかったので、画像と商品ページのリンクを別々に貼ったんですけど、面倒くさいですねえ。別にアフィリエイトをやってる訳じゃないですし、今後は、よっぽどジャケットや表紙を見せたい時以外、Amazon情報抜きで行こうかと思っています。


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