プロフィール

yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

月別アーカイブ
リンク

ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2016/03/03 14:23 yuccalina

『中東欧音楽の回路』からバレエリュス本2冊

『中東欧音楽の回路』を漸く読み終えました。この本については以前、浅田真央ちゃんの『素敵なあなた』からクレズマーの話をした時(コチラ)と、映画『カルテット!人生のオペラハウス』の記事(コチラ)でも触れていますので、興味のある方は合わせてどうぞ。

中東欧音楽の回路―ロマ・クレズマー・20世紀の前衛(Amazon co.jp. 商品詳細)

41PSI4MBdLL__SX298_BO1,204,203,200_

大雑把にいえば、中東欧ロマ(ジプシー)やユダヤ人楽師達の話を中心に、音楽が越境していきながら、様々な民族音楽の要素が混じり合い、またクラッシック音楽、ジャズ、そしてミュージカルに多大なる影響を与えて行ったというお話です。

著者はクラッシックの専門家のようで、私は譜面で説明されても理解出来ないのが申し訳ない、と言う場面も多々ありましたが、興味深いお話の連続であり、最後まで楽しく読むことが出来ました。民族音楽にも造詣が深いようで、ブルガリアのズルナというラッパをフィーチャーした音楽と、武満徹の映画音楽『心中天網島』の類似性を指摘したり、ジョニー・デップの映画『耳に残るは君の歌声』に登場する音楽を、ロマとユダヤ人の越境音楽の歴史として総括していたりもしました。また、シャガールの絵画に見られるユダヤの音楽性の話等は、今後絵を見る時に参考にしたいです。

さて、折角付録でCDが付いてましたので、収録されていた曲を2つ紹介しておこうと思います。まずはルーマニア出身のヴァイオリニストで作曲家、ジョルジュ・エネスクのヴァイオリンソナタです。



クラッシックにはないジプシー音階を使ってるそうで、エネスクがモルドヴァ地方という、ロマ楽師の活動が盛んな地域で育ったことを重ねておりました。

そして1929年にニューヨークで録音されたという『ラビの踊り』。



冒頭でセリフが入ってますが、これもいわゆるイディッシュ語のミュージカルだったのでしょうかね。確か『素敵なあなた』もそこから生まれたヒット曲だったそうですが。

そしてCDには入ってないのですが、ジョルジュ・リゲティ(1923~2006)という現代音楽家については、インタヴューに結構なページを割いてまして、それが中々面白かったんです。彼はルーマニア時代のトランシルヴァニアで生まれた、ハンガリー語を母語とするユダヤ人なのです。リゲティのバックグラウンドそれ自体が越境音楽を現わしいる、ってことでしょうか。プダペシュトの音楽院にいた時代にハンガリー国籍を取得するも、再びルーマニアにやってきてブカレスト民族学研究所で働き始める。トランシルヴァニアの民俗音楽採集を行っていたそうです。伊東氏が持参したというハンガリー語のルーマニア地図を見ながら、話が弾むのには、私もワクワクしました。

・ わたしが生まれたのはディーチェーセントマールトンです。
・ 1949~50年頃トランシルヴァニアの村へ調査に出かけました。
・ 1950年初頭、カロタセグ地方のイナクテルケ、、、現地で聴いたものを採譜したんです。
・ セーク村の民謡はハンガリー民謡的な旋律なのですが、ルネッサンス風の和声を持つ、とても興味深いものです。


イナクテルケやセークと言った村の名前は私にとってとても馴染み深いものがあり、思わず前のめりになりました。特にイナクテルケは数日ですがホームステイをさせて頂いたことがある村です。下の写真は1995年12月に訪れた時のもの。

erdely39.jpg

ヤギが道を行きかうのどかな風景でありながら、家の屋根にはパラボラアンテナが付いていたりして、そうか、この頃から既にTVから情報いろんな情報が入ってたんだわ、と気が付きました。

と話が脱線しましたが、リゲティはブカレスト民族学研究所時代に採集した民謡のアレンジをし、「イナクテルケの歌」として、発表していたんですね。早速YouTubeでLigeti, Inaktelkeで検索してみました。

しかし、その名を冠した動画は見つからず、結果のトップに出てきたのがこちら。



残念ながらこれが『イナクテルケの歌』なのかどうかは確証がないのですが。もうひとつこちらの動画は、イナクテルケ村でヴァイオリン弾きのお爺さんにインタビューしてる映像に見入るリゲティ。



結構若そうなので、80年代くらいの映像か。お爺さんのお話は多分、ヴァイオリンの音が歓びや悲しみ、主への祈りなどを表現してるとかいう話をしていそうですが、確かではないので分かる方がいたら教えてくださいませ。

そして、トランシルヴァニア絡みでもう一つ、この本のハイライトと言えるのが、著者自身の旅です。1906~1918年、バルトーク・ベラは民族音楽を採集すべく、トランシルヴァニアの村々を訪問するのですが、その旅の一部を約100年後に再現するという試みです。バルトーク・ベラが『豚飼いの角笛』を録音したという、ヨッバージテルケ村を目指します。

book14.jpg
book15.jpg

本に載っていた地図によれば、どうやら私もこの辺りをバスで通りすぎたことがあるかもしれません。フォルクロールツアーで、西のマロシュバーシャルヘイと、東のソヴァタを訪れたからです。ソヴァタは確か湖があって泳ぎました。海は近くないですが塩水だったかも?近くにサナトリウムみたいな施設があったと記憶しています。

と、話がそれましたが、そうか、当時は全く知らなかったけど、バルトークもあの辺の村を巡って音楽聴いてたんだ、と想像しながら読んで、大変興奮してしまったと。ちなみにヨッバージテルケ村は殆どがユニテリアン派ばかりの地域にあって、カトリックを信仰してるというのも興味深いです。歴史的な何かがあったんでしょうね。

そして、「バルトークが自分のお爺さんの家に留まった」と言う話は、”実際バルトークの記録と照らし合わせると眉唾もの”というのが、何だか微笑ましかったです。きっと、”昔々偉い音楽家先生がやってきた”のが自慢の村なのでしょう。

と言ったところで、ここから先は次に読む本の話です。この『中東欧音楽の回路』からの流れで決めましたよ。

やっぱり買っちゃった国書刊行会の『バレエリュスその魅力のすべて』(左)と、バレエリュスの花形ダンサーだったタマラ・カルサヴィナの自叙伝『劇場通り』(中)は予定外の購入でした。

book16.jpg

何故にバレエリュスなのかと言いますと、実は後に取っておいたのですが、『中東欧音楽の回路』の中に、ストラヴィンスキー作曲のバレエ『結婚』が登場してたのです。



ストラヴィンスキーはユダヤ系ではないそうですが、著者によればバレエリュスの『結婚』は、ユダヤの結婚式にみられる様式とかなり重なっているらしいんですね。嫁入りする前の新婦が嘆き悲しむ歌とか、道化(バドフン)が登場するとか。実際バレエの動画を見ても、私にはどこがユダヤ的なのか分かりませんが。

歌詞はピョートル・キレエフスキー(1808~1856)が採集したロシア民謡のコレクションを元に翻案したのだそうです。ユダヤ人楽師とロシア人楽師に交流があったのか、それともロシア人の村でもユダヤの楽師が入り込んで、影響を与えたのかもしれませんね。

それにしても、バレエリュスの振付けはやっぱり面白い。『春の祭典』で衝撃的な披露だったという内股コリオが、ここでも多用されておりますね。振付けたのはニジンスキーの妹、ブロニスラヴァ・ニジンスカ、衣装はナタリア・ゴンチャローヴァ。

そんな訳で、『バレエリュス・その魅力のすべて』ですが、怪しい魅力を醸し出すニジンスキーの”薔薇の精”が表紙となっております。この灰色っぽいブルーの色味が凄く良いっ!

book17.jpg

で、表紙の裏側は同じくニジンスキー”シェヘラザードの金の奴隷”、となっておりますです。

book18.jpg

山岸涼子先生の漫画『牧童の午後』は、この写真から描いたんでしょうねえ。その他、勿論モノクロではありますが写真が盛り沢山ですし、レオン・パクストの衣装デザイン画はカラーで掲載されてます。やっぱり買って良かったわあ。これからじっくり読んで行こうっと。

それと、カルサヴィナの『劇場通り』の方ですが、こちらは中古で安いのが出てたので購入しました。合わせて読むのも良いかなと。カルサヴィナの『火の鳥』はやっぱり美しいのお。無理な話ですが、これカラーで見たかったなあ。

book19.jpg

表紙は地味ですが、その裏側はこんな感じで良いですよ。

book20.jpg

コクトー、ピカソにニジンスキーと、素敵なイラストレーションになっております。

どちらも結構な厚さですので、いつになるか分かりませんが、読んだらまた紹介しますね。取りあえずラフカディオ・ハーンの『日本の面影』とパラレルで『バレエリュス・その魅力のすべて』を読み始めたところ。

まあ、そもそもバレエリュス自体が、様々な国籍のアーティスト達が関わり、演目も国際色が豊かだった訳ですから、音楽の越境という『中東欧音楽の回路』のテーマと重なるのは、当然なのかもしれませんね。

は~~っ、しかし、今回もすごい長文になってしもた~~!


お読み頂きありがとうございました。
↓宜しかったらポチお願い致しますm(__)m

blogram投票ボタン
スポンサーサイト

タグ: ロマ トランシルヴァニア 東欧 クレズマー バレエ

テーマ:読んだ本の紹介 - ジャンル:本・雑誌

2014/08/08 11:00 yuccalina

バレエリュスのインスピレーション~触発し合うアートとファッション

しつこいですがバレエリュス(展覧会の記事はコチラ)のコスチュームの話を、もう1つだけしておきたいと思います。

Mansikka様のブログ「キッサンケッロ 猫の鐘」に、こんな記事が載っていたからなんです。

・・・もう一つ、Neverまとめさんにあるチャルで気になったのが下の農民の女の子の衣装。
緑のスカートに描かれた手書き風のシンプルで大きな花柄がマリメッコ風なんです。
マリメッコもバレエ・リュスからインスパイアされたニカね。
fashion114.jpg
バレエリュスの衣装とマリメッコのコピー騒動~「キッサンケッロ 猫の鐘」より



ナタリーヤ・ゴンチャロワがデザインした「金鶏」の農婦の衣装(左側)が、マリメッコのお花(Unikko=けし)に似てるのでは?と言う指摘でした。

バレエリュス展見に行った時には、真ん中の衣装の方が気になって、見落としてたんですが、確かにシンプルに描かれたお花模様が似ている気がします。

そこで、ふと思ったんです。丁度ラウル・デュフィ展(記事はコチラ)で見たテキスタイルデザインも、時代が被ってるんですよね。アートの世界でも写実から、もっとシンプルでポップな表現が生まれてた時代。ファッションでもヴィクトリア調の写実的な花模様とは違ったものが好まれるようになったのかもしれませんね。

デュフィが影響を受けたマチスの絵の中にも、似たような雰囲気の絵があったりして、

fashion100.jpg
fashion101.jpg
fashion102.jpg

そして、こちらは先日紹介したものも入ってますが、デュフィのテキスタイルデザイン(全て回顧展カタログより)。

fashion104.jpg
dufy13.jpg
fashion105.jpg

またデュフィはファッション画も手掛けており、これがまた素敵なんです。

fashion106.jpg
fashion107.jpg

で、こちらが先ほど紹介した農婦の衣装(中央)のデザイン画です(展覧会チラシより)。

fashion103.jpg

要するにバレエリュスの中でだけでなく、時代の空気としてアートとファッションが結び付き、互いにインスピレーションを与え合っていたのかもしれません。ですから、マリメッコが直接バレエリュスからインスパイヤされたかどうかは分からなくとも、どこかで繋がってる可能性は非常に高いと思います。

で、私が以前東欧雑貨ICIRI*PICIRI(リンク欄参照)で購入した古着の中にも、マリメッコ調のお花柄(ちょっと小さ目ですが)がありましたわ。

fashion84.jpg
fashion108.jpg

こちらはホームソーイングの服なので、この手の柄の服地が広く出回っていたってことですね。こうしたポップなお花柄は、60~70年代のファッションでも取り入れられてたと思うんですが、20年代にルーツがあったのかもしれませんね。

最後にMansikka様の同じ記事からもう一つ。

・・・タマーラ・カルサヴィナで検索して、これは可愛い!と思ったのがこの衣装。
古代ギリシャの恋愛物語『ダフニスとクロエ』のクロエの衣装らしさ。
fashion115.jpg
バレエリュスの衣装とマリメッコのコピー騒動~「キッサンケッロ 猫の鐘」より


タマーラ・カルサヴィナはイギリス人と結婚&帰化して、ロイヤルバレエ団などにバレエリュスのプロを伝えたお方ですが、とーってもキュートですね。写真がモノクロなのが残念ですが、左のデザイン画はちょっとクリスチャン・ラクロワを思わせます。ラクロワと言えば、パリオペラ座の衣装を手掛けたこともあるデザイナーですが、今も昔もバレエはファッションにインスピレーションを与える存在なんでしょうね。


お読み頂きありがとうございました。
↓良ろしかったらポチお願い致しますm(__)m

blogram投票ボタン

タグ: バレエ フランス 20年代

テーマ:アート・デザイン - ジャンル:学問・文化・芸術

2012/03/10 08:10 yuccalina

映画「ピナ」と「今日と明日の間で」 ‐ 踊ることは命のあかし

先週のことだが、ヨガのレッスンを終え午後帰宅してテレビを点けると、画面にはヴィム・ヴェンダース監督がいた。わが家は毎朝Eテレの子供番組を見てるので、チャンネルがそのままだったらしく「テレビでドイツ語」という番組でヴェンダース監督の新作「Pina‐ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち」を紹介していたのだ。2009年に他界したドイツの舞踏家ピナ・バウシュの世界を描くこの作品は、舞台芸術の世界と3Dを結びつけた事でも画期的と謳われている。番組では監督のインタビューもあり「この映画にはポジティヴなパワー、人を癒す力がある」と力説していたが、それは決して自画自賛ではなく、ピナの舞踏が持つ力の事を言ってるに違いない。これはもう、見るしかないでしょ。ドイツのフィギュアペア、ゾルコビー・サフチェンコ組が、今季のフリープログラムでこの映画を題材にしてる話は既(こちら)に書いた。今月末の世界フィギュアを前に、丁度良いタイミング。

久しぶりの映画館、且つ3D映画初体験がヴェンダース作品、と言うだけで妙に縁起が良い感じですわ。しかも、彼の作品を映画館で見るのも初めてだったりするのだ。「ベルリン天使の詩」「パリ・テキサス」「ブエナビスタ・ソシアル・クラブ」等々、すべてテレビかビテオだったんだなあ。同時代の小津チルドレンと呼ばれた監督さん達、ジム・ジャームッシュやアキ・カウリスマキなんかは結構映画館で見たのに、何でだったんだろう。



、、、と前置きが長くなってしまったが、昨日の金曜日、イトシアにある「ヒューマントラスト有楽町」1回目に見てきました。平日の午前中ということもあり、お客さんの入りは3割程度でしょうか。前方のブロックはガラ空きでした。

撮影の途中でピナの突然の死があり一時は完成が危ぶまれたが、舞踊団のダンサー達の熱望もあり完成に至ったそうだ。彼女の踊りは過去の舞台映像を別フレームに入れて挿入される形だが、全く違和感なく、溶け込んでいた。そして、ヴッパタール舞踊団のダンサー達はそれぞれに、生き生きとして舞い、ピナとその踊りへの思いを語っていく。

オープニング間もなく、土が敷き詰めされた舞台で繰り広げられる男女の郡舞に圧倒された。これはやはり映画館で3Dで見るべき映画だわ、と直ぐに確信した。目の前に迫ってくるダンサーの息づかいまで伝わってくるかのようで、舞台に水、土、岩といったものを持ち込み、視覚や触覚をさらに深める舞台のシーンは、やはり3Dがあってこその映像かもしれない。私がコンテンポラリーダンスを生で見たのは高々2回(アルヴィン・エイリーとパパタラフマラ)ではあるけれど、本物の舞台を見るのに劣らない臨場感を感じたのだった。

ピナ自身の「言葉でない何か特別なもので表現するのがダンス」とか、ダンサー達の「ピナは画家の様に舞台というカンバスに絵を描く」「喜び、怒り、孤独を体で表現する」言った言葉の数々は、見る者を自由にしてくれた。「意味だとか頭で理解しようとしないで良いんだよ。ただ感じれば良いんだよ」と。見てる方も感じるままに、笑いたい時は笑い、怖いときはおののき、泣きたかったら泣いていいんだよ、と。そしてヴェンダース監督の「ポジティヴな力を与える」という言葉はきっとそんなピナの懐の深さを表現しているのかもね。因みに監督は昨年末、東京国際映画祭で来日の際被災地の福島に立ち寄って、この映画の無料上映会を行ってくれたそうです。

さあこれで、今月末の世界フィギュアが益々楽しみになっちゃった。あんまりハードル上げて見ないようにしなきゃいかんけど、フィギュアスケートファンの方にも是非見て欲しい映画です。


さて、今回は映画2本立てっつーかダンス2本立て。先週の週刊文春「阿川対談」のゲストがダンサーの首藤康之さんだったのよ。実は私不覚にもこの対談を読むまで、彼のドキュメンタリー映画「今日と明日の間で」の事を知らなくて、歯軋りしちゃった。もう劇場公開終わってたのね、音楽が椎名林檎だって、キィーー!DVD化されたら絶対買うわー!出来る事なら首藤さんの舞いも3Dで見たいものよのう。



バレエやダンスに留まらない、表現者としての意欲的な彼の活動を追ったドキュメントであるようです。中村恩恵さんとのシーンとか、見てるだけでゾクゾクするし、俳優・浅野忠信さんとは映画で共演されてたんですよね。そして、今回の椎名林檎さん、何か首藤さんの回りには、いつも私好みの人が取り巻いてるみたい。

それと、くだんの阿川対談では、首藤さんの繊細で優しい物腰と、それでいてダンスへの、自分の軸となってるものへの揺るぎない強い思いが伝わってきて、何だかウットリしちゃいました。柔らかく、しなやかで、力強い、まるで彼の体と舞いを写し出している。心が体を表し、体が心を表しているような。まさに存在そのものが舞踊の様なんですね。

タグ: コンテンポラリーダンス バレエ

テーマ:ヨーロッパ映画 - ジャンル:映画

2011/11/05 08:35 yuccalina

フィギュアスケートグランプリシリーズ 中国大会 女子ショートプログラム「ソトニコワ選手のボレロ」

昨夜から中国大会が始まりましたー。1階客席がない作りの会場なんで、演技中のオーディエンスの反応が見られないのが、ちょっと物足りないですが、思ったより盛り上がってたかなー?中国大会はいつも地元が強いペア以外は、イマイチ客の反応が良くなかったりするのよね。

で、今回もピンポイントで感想をば。初見のソトニコワ選手の新しいSP「ボレロ」にガッツーンと来ました。冒頭のコンボで転倒して、ジャンプが纏まらなかったのは残念だったけど、初戦の緊張と、ライバルのトゥクタミシェワ選手が先に金メダル取ったから、「負けられない」という気負いもあったかな。でもこれも良い経験として、次への力に変えてくれることでしょう。

同じことを思った人は少なくないだろうけど、私はあの青の全身タイツ風衣装を見て、「ベジャール・ボレロへのリスペクト」と感じました。フィギュア界ではサラエボ五輪金メダルのアイスダンス、トービル&ディーンのアイスダンスが有名だけど、やっぱボレロってゆーたらベジャールでしょ?「愛と哀しみのボレロ」っしょ?シルヴィ・ギエムの演技でも名高い、モーリス・ベジャール振付けの「ボレロ」で彼女は黒タイツに肌色のトップスを着ているが、元来、故・ジョルジョ・ドンが上半身裸で黒タイツのみだったのに従って、そうなったものだ。私はテレビで見たことあるだけで、偉そうな事言えないけど、それは肉体の躍動感を見せる為に、装飾を取り払ったつーか、己の筋肉だけが衣装という究極のスタイルだと思う。ソトニコワ選手、さすがに同じ格好はしないけど、体のラインを消してないとこが雰囲気を伝えてるし、あの濃いめのブルーが力強くて良い。かつ、短めに取ったスカート部分とタイツに纏わせたオーガンジーで少し緩和してるのが、調度良い感じです。振付けに関しても、男性的な動きも多く、特に肘を鋭角的に使った腕の動き等、ベジャールに寄せてきた感じがしますわ。

私はベジャールのボレロを「己の肉体との対話」と感じているので、やっぱソトニコワ選手にも近いものを望んでしまいそうだが、是非ともバレエファンをも唸らせる作品に仕上げて行って欲しいものだ。そのためには先ずはジャンプの安定ってことになる訳だが、、。

勿論、15才という若さ故、深みがまだ足らないかもしれんけど、恐れを知らぬ15才だからこその良さがあるのも事実。首脳陣は難しい事にどんどん挑戦させる方針なんでしょうね。それと、私としてはこの曲はやっぱSPじゃ物足りない、ジワジワ盛り上がってきたとこで終わる尻切れトンボになりそうなんで、出来たらFPで見てみたいです。気の早い話だが、何年後かにFPで再挑戦とかあったら嬉しいですわ。



タグ: バレエ

テーマ:フィギュアスケート - ジャンル:スポーツ

2011/10/08 18:19 yuccalina

ダンスを楽しめる映画DVD‐バリシニコフからニコラス・ブラザーズまで

先日のカーニヴァル・オン・アイスでミキティの「ブラック・スワン」を見てから、にわかに映画も見たくなってきた今日この頃。でも何か怖そうだ。「にけつッ!」で千原ジュニアが、見に行って悲鳴を上げてしまい恥ずかしかった話をしてたんだけど、見るからに痛そうなシーンが多いらしい。彼の場合はバイク事故のトラウマなんだろうけど、私も痛い映像が苦手なのよー。どーしよー。

私の様に気軽に踊りの公演に行けない人間は、DVDで楽しむしかないのだが、全巻公演のものを見るのは、中々大変なのよね。まー、ガラ公演ものでも良いけど、映画のDVDも結構好きです。最初に一度通して見たら、後は踊りのとこばっか、繰り返し見たりして、、。今回はそんな映画のDVD(ベタなやつばっかりだけど)をいくつか紹介。

70年代後半から80年代にかけて、ミーシャことミハイル・バリシニコフは、アイドル的な人気だったと記憶する。当時は全くバレエに興味がなかった私でも知ってたくらいだから。その人気のきっかけとなったのが「愛と喝采の日々」。1977年の作品だけど、私は「ホワイトナイツ」(1985年)よりかなり後というか、つい最近になってやっと見ることができた。結婚して引退した元バレリーナのディーディー(シャーリー・マクレーン)と現役を続ける友人のエマ(アン・バンクロフト)の、仕事か結婚かの選択や、栄光と挫折、友情や嫉妬で彩られた人間ドラマとしても良いし、バレエも素晴らしいので、やっぱ外せないっすね。私はバレエに関しては、技術も芸術性も語れる人間じゃないんで、滅多な事は言わんとくけど、ディーディーの娘エミリア(レスリー・ブラウン)がプリマに抜擢されてからの、公演のシーンは著名なバレエ作品のサンプラーになってて、初心者にもおすすめです。中でも印象的だったのは、「ジゼル」。映画の前半では、エミリアが群舞の中で、ユーリ(ミーシャ)王子のソロをチラ見(ここで彼女は恋に落ちる)してたが、最後には彼とパ・ド・ドゥを踊る。

愛と喝采の日々 [DVD]愛と喝采の日々 [DVD]
(2010/08/04)
シャーリー・マクレーン、アン・バンクロフト 他

商品詳細を見る

それから、踊りと関係ないけど、エミリアと関係持ってからのユーリが、いつも泊まらずに夜中に帰宅してしまう彼女に「帰らないで」と懇願するシーンには、胸がキュンとした。故国を棄てた寂しさから、常に一緒に寝てくれる女の子を求めてるみたいなとこと、ふと目が覚めたら枕元にソ連のスパイが立ってるんじゃないかという恐怖心とかが想像出来て、実際のミーシャとダブらせると、胸が苦しくなるのだわ。

一方の「ホワイトナイツ」。一番有名なダンスは、稀代のタップダンサー、グレゴリー・ハインズとミーシャがレッスン場でコラボするシーンだとは思うし、冒頭の舞台シーン、故ローラン・プティ作「若者と死」も勿論素晴らしいんだけど、私が一番好きなのは、無人のキーロフ劇場の舞台で、かつての恋人(ヘレン・ミレン)と二人きりのシーン。即興?で踊るミーシャの、鬼気迫る姿だ。音楽は旧ソヴィエト時代、発禁だった反骨のシンガーソングライター、ウラジミール・ヴィソーツキーの「馬」がカセットから流れる。今や国の諜報員になっていた彼女も、隠れてヴィソーツキーを聴いていた。彼女の眼前で、自由への渇望を、全身全霊で表現するよーなミーシャに、全身鳥肌が立つんだわー。それは、彼自身が旧ソヴィエト(生まれは現在のラトビア)からアメリカに、自由を求めて亡命したという役柄と重なるからなんだろうけど。



やっぱ、ソ連崩壊以前の作品に関しては、「亡命者としてのミーシャ」を切り離して見ることが出来ないのよね。話の作りとしては、最後にアメリカ大使館へ駆け込んで、自由の身になるくだりが安易つーか、諜報員チャイコがオマヌケ過ぎるだろ、と突っ込みたくなるが、1つの時代を象徴した映画なのは確か。車中でのシーンは全て、窓外の風景が、はめ込みになっていて、いつの映画だよー?と突っ込んでたら、DVDの特典映像で理由が明らかになった。この時代ソヴィエトで撮影が出来なかった為、隠し撮りで撮ったレニングラード(現サンクトペテルスブルク)の風景を、はめ込んで作ったと言うのだ。そう、忘れちゃいけない、ソヴィエトって現在の北○鮮に勝るとも劣らぬ秘密国家だったんだよね。

ホワイトナイツ白夜 [DVD]ホワイトナイツ白夜 [DVD]
(2010/07/28)
イザベラ・ロッセリーニ、グレゴリー・ハインズ 他

商品詳細を見る

それとヘレン・ミレンといえば、エリザベス女王1&2世両方を演じ、後者ではオスカー取ってる、イギリスの国民的女優だけど、半分ロシア人だったのね。お父さんが亡命貴族だったってのが、やはりあの気品の源なのだろうか?後に彼女の夫となるハックフォード監督も、キャスティングの時にはその事を知らなかったらしく、色んな面で運命的な要素を沢山持った作品だと思う。


さて、グレゴリー・ハインズのタップを堪能したいのなら、やっぱこれしかないです。タイトルもずばり「タップ」(1989年)。若き日のセヴィアン・グローヴァーの勇姿が見られるだけでもお宝物だし、驚異的な技で知られる往年のタップ兄弟、ニコラス・ブラザーズの弟、ハロルド・ニコラスやサミー・デイヴィスJr.の姿が見られるのも嬉しい。

タップ [DVD]タップ [DVD]
(2009/06/24)
グレゴリー・ハインズ、サミー・デイヴィス 他

商品詳細を見る



フランシス・フォード・コッポラ監督の「コットン・クラブ」(1984年)では、グレゴリー・ハインズが兄モーリスとニコラス・ブラザーズそっくりの兄弟役を演じている。しかし、何せリチャード・ギアとダイアン・レインの恋愛話だから、踊りは添え物な感じは否めない。

コットンクラブ [リストアHDマスター版] [DVD]コットンクラブ [リストアHDマスター版] [DVD]
(2011/07/29)
リチャード・ギア、ダイアン・レイン 他

商品詳細を見る



最後にそのニコラス・ブラザーズを紹介して終わりにしたい。1930年代から数多のミュージカル映画に出演していたものの、日本で公開されたものは少なく、DVDは殆ど出ていない。私が彼らを知ったのは、丁度HIDEBOH先生のレッスンに通っていた1995年頃、NHK教育で放送されたBBCドキュメンタリー「ニコラス・ブラザーズ 華麗なるタップ人生」(字幕版でDVD化して欲しいわあ!)を見てからで、以来そのビデオは永久保存版だ。キャブ・キャロウェイ、ミーシャやモーリス&グレゴリー・ハインズ、MCハマーなど豪華な面々が彼等の素晴らしさを語っていた。

彼等の名演「Stormy Weather」(1943年)など、YouTubeで見ることが出来る。キャブ・キャロウェイのカッチョええイントロダクションからスタートし、クライマックスは開脚での階段下りという、まさに時限の違うダンス。

<ニコラス・ブラザーズが登場するのは1:30あたりからです>


まー、彼等の出番がこの踊りだけで、映画の出来がどうなのも分からんから、YouTube動画だけで十分な気もするけどさ。でも、やっぱきれいな映像で、大きい画面で見たいなー!と思ってたら、発見しました。Amazonではニコラス・ブラザーズで検索しても、あまりにチョイ役なので、出てこなかったんだが、別ルートで見つけたのが「遥かなるアルゼンチン」(1940年)。それと「銀嶺セレナーデ」(1942年)ってのもあるらしが、こちらはまだ未見なので今回は割愛。

遥かなるアルゼンチン [DVD]遥かなるアルゼンチン [DVD]
(2006/08/18)
ベティ・グレイブル、ドン・アメチー 他

商品詳細を見る

ストーリーは親同士が不仲な男女の恋愛っつう、陳腐なもので、やっぱダンス以外にみるとこないか、と思ってたけど、ブラジルの歌姫カルメン・ミランダの歌声が聴けるのは儲けもんだ。日本でワールドミュージックを広めた第一人者である故・中村とうようさんが絶賛していた歌手なので、昔から気になってたのよね。んで、ニコラス兄弟だけど、やっぱブッ飛びますわー。当時「試写会で、踊りのアンコールが出た為に、映写技師がフィルムを巻き戻してもう一度流した」と兄フェイヤードが語ってたのも頷ける。素敵な踊りは何度でも、リピートして見たいものよね。ともかくこれ機に映画会社が彼等と5年契約をしたという記念の作品。



私が初めて彼等の踊り見た時、即「もう、タップ止めようかな」と思ったものだ。こんなの一生かかっても出来ひんわ。まー、競争しようってのが、はなっからイケ図々しさの極みだけどさ。殆ど空中戦じゃない?っつう位、あまりにも技の次元が違いすぎるわ。しかし、驚異的な技以外にも魅力的なとこが沢山ある。力を抜いてリラックスしてるとこと、ここぞと決めるとこの緩急が絶妙で、兎に角、全身から音楽を奏でていることだ。HIDEBOH先生がいつも言ってた事を思い出す。「ただステップが正しく踏めるだけではダンスじゃない、体も心も歌ってなくちゃ」って。私は多分フィギュアスケートにも、そーゆーのを求めちゃってんのよね。だから、高橋大輔くんへの思い入れが強くてさー。ついスポーツなのを忘れちゃうの。と話がまた逸れそうなとこで、おしまいにしとこう。

タグ: バレエ タップダンス HIDEBOH

テーマ:ダンス - ジャンル:学問・文化・芸術

ご訪問ありがとうございます
最新記事
最新コメント
カテゴリ
検索フォーム
最新トラックバック
ユーザータグ
フリーエリア
RSSリンクの表示
Web page translation
QRコード
QR