プロフィール

yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2017/03/07 13:05 yuccalina

ブルース&ソウルレコーズ誌が選ぶ、黒人アーティストのビートルズカバー50

しつこいですが、黒人音楽×ビートルズネタが続きます。

こちらはインスタには投稿しておりません。

表題の50選は以下の通り。#は雑誌の付録CDの収録曲、*がエイスレコードのコンピレーションVol.1、**がVol.2に収められている曲、そして今回動画を貼ってる曲を赤字で表示しております。

1. A Hard Days Night - The Supremes
2. All You Need Is Love - Lynden David Hall
3. And I Love Him (Her) - Esther Phillips #
4. Blackbird - Cassandra Wilson
5. Can't Buy Me Love - Blackstreet
6. Can't Buy Me Love - Ella Fitzgerald
7. Come Together - Ike & Tine Turner
8. Come Together - Syl Johnson
9. Day Tripper - Otis Redding *
10. Dear Prudence - Ramsey Lewis
11. Do You Want To Know A Secret - Mary Wells **
12. Don't Let Me Down - Donald Height *
13. Drive My Car - Bobby McFerrin
14. Eight Days A Week - Mary Wells
15. Eleanor Rigby - Aretha Franklin *
16. Eleanor Rigby - Ray Charles
17. Eleanor Rigby - Richie Havens
18. Get Back - Shirley Scott
19. Good Day Sunshine - Roy Redmond *
20. Got To Get You Into My Life - Earth, Wind & Fire **
21. Here Comes The Sun - Nina Simone **
22. Here Comes The Sun - Womack & Womack
23. Hey Jude - Clarence Wheeler & The Enforcers
24. Hey Jude - Wilson Pickett #
25. I Saw Her Standing There - Little Richard *
26. I Want To Hold Your Hand - Al Green *
27. I Want To Hold Your Hand - Lakeside
28. I Want You (She's So Heavy) - Eddie Hazel
29. I've Got A Feeling - Billy Preston
30. In My Life - Boyz II Men **
31. Lady Madonna - Allen Toussaint
32. Let It Be - Aretha Franklin *
33. Let It Be - Bill Withers **
34. Let It Be - Gladys Knight & The Pips
35. Lovely Rita - Fats Domino **
36. Michelle - Willie Bobo
37. Ob-La-Di, Ob-La-Da -Arthur Conley #**
38. Oh! Darling - Jimmy McGriff & Junior Parker
39. She Loves You - The Joneses
40. She's Leaving Home - Syreeta
41. Something - James Brown
42. Taxman - Junior Parker
43. The Long And Widing Road - Wills Jackson
44. Wait - Bettye LaVette
45. We Can Work It Out - Stevie Wonder
46. Why Don't We Do It In The Road - Lowell Fulson *
47. Yer Blues - Lucky Peterson
48. Yesterday - Donny Hathaway
49. Yesterday - Ruth Brown
50. Yesterday - The Soul Children

CDに入ってなかった曲が結構あったので、頑張ってYouTubeで聴いてみました。一部探しきれなかった曲があったのが残念でしたが、気に入ったカバーをいくつか紹介しますね。

先ずはCome Togetherから。これアイク&ティナもカッコ良かったんで、どっちにしよか迷ったんですが、なるべく知名度低い方を紹介したいと、Syl Johnsonです。



以後お見知るおきを~~(^O^)/

お次のMichelleのWillie Boboって全く知らんかったのですが、アフロキューバンアレンジがオサレなインスト(ちょこっとだけ掛け声入ってますがが)ですのよ。



ニューヨーク生まれのプエルトリコ人パーカッショニストだそうです。

そして、前回「ブルースロックっぽいカバーが少ない」と書いたとこで、こんなのあったのですよ、



Yer Bluesはブルースロック流行りを揶揄してたそうですが、Lucky Petersonのカバーカッコ良過ぎだす。

そんで、泥臭さとは対照的に、洗練を感じるDonny HathawayのYesterday



なんて美しいアレンジなんざんしょ~!と同時に、ソウルの熱気が伝わってくるのは、歌ってる傍からお客の合いの手みたいな掛け声の妙もありそうな、、、。ライヴならではの味わいかしら。痺れるんざんす。

こういうのは、確かブルースブラザーズ2000でBBキングが歌ってる時に、客の掛け声入ると、何かカッケーなーと思ったのが始めてだったのですが、私もいつかやってみたいなあ。

最初にこの黒人音楽×ビートルズネタを出した時、

「勿論Donny HathawayのYesterdayは入ってるよね~?」

とのコメントを頂き、あわわ、入ってねえ、エイスレコードのコンピにも入っとらやないか~い!と一瞬思ったんですがが、誌面ではちゃんと紹介されていたのです。エイスレコートのカバー集の仕掛け人、トニー・ラウンスへのインタビュー記事を読むと、やはりコンピは版権が下りなくて諦めた曲も多かったそうです。

最後にラウンス氏のお気に入りで、上の50選に入ってなかったカバーを紹介します。RevalationsのYellow SubmarineはChic風アレンジが素敵ですわ。



そして、もう一つはブラックアメリカならぬジャマイカンですが、Prince Busterのロックステディ風All My Loving



いや~、ビートルズの曲をこれだけ纏めて集中的に聴いたのは、生まれて初めてかも?雑誌も大変面白かったんで、しつこく投稿してみました。
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タグ: 60年代 70年代 80年代 ソウル R&B

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2017/01/26 09:25 yuccalina

ブルース&ソウルレコーズ買いました!~Black America Meets The Beatles

インスタからのネタ下ろしばかりで何ですが、ブルース&ソウルレコーズ2016年12月号がヒいジョーに良かった。



映画マッスルショールズで知って、ノックアウトされたウィルソン・ピケットのヘイ・ジュードが付録CDに入ってるとのことで、即決だったんですが、



他にもイカした曲が沢山。The Watts 103rd Street Rhythm Bandによるファンキーなイエローサブマリンは、音頭以上のインパクトでしたが、動画は見つからず。

で、今回はVol.1, 2とリリースされている、Black America Sings Beatlesの収録曲を、幾つか紹介したいと思います(下の画像は第1集Come Together)。

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まずは、スティーヴィー・ワンダーの『We Can Work It Out』



こちらの動画はホワイトハウスにご招待されての演奏。客席にオバマ夫妻とポールが並んでノリノリなのも、よろしおすなあ。キーボードのリフが耳に残るし、間奏のブルースハープもカッコいいんです。
投稿後に気が付いたんで、追記。
このスティーヴィー・ワンダーのカバーはBlack America Singsシリーズには、入っておりませんですた。
雑誌誌面に名カヴァー50選なるものがあり、そちらで紹介されてたので、混同してしまったようです。スミマセンm(__)m


そして、アル・グリーンの『I Wanna Hold Your Hand』(Vol.1に収録)



これはお蔵入りになってたセッションらしいんですが、冒頭からリラックスして曲を楽しんでるのが伝わってきますなあ。テンポを落としてのバックビートがファンキーで、思わず踊りたくなっちゃいます。キャーキャー!

ジュニア・パーカーの『Lady Madonna』(Vol.1に収録)もゆったりバックビートで、セクスィー部長なノリが素敵。



最後はジョージの曲行きましょうか。ニーナ・シモンによる『Here Comes The Sun』(Vol.2 Let It Beに収録)。



これは、中々オサレなんじゃないでしょうか?元々チョイかすれ声は、大好物なワタクシなんですが、曲の雰囲気とジャジーなヴォーカルが、凄くあってると思います。あー、こっちのCDも欲しくなっちゃったなあ。多分買うと思います、はい。

タグ: R&B ソウル 60年代 70年代

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2015/11/02 09:33 yuccalina

映画『永遠のモータウン』~栄光の陰のヒストリー

以前、BBCドキュメンタリー『Dancing in the Street』で、モータウンレコードの事が詳しく紹介されていた件(記事はコチラ)を、更に掘り下げるべく取り上げたいのが、映画『永遠のモータウン』(原題 Standing in the Shadows of Motown 2002年 アメリカ)です。モータウンの歌手を陰で支えていたバックミュージシャン達、ファンクブラザーズを追ったドキュメンタリーです。



YouTubeにフル動画がありましたので、リンクだけ貼っておきますね。字幕無しで、英語が苦手でも、モータウンサウンド好きならば十分に楽しめると思います。

Standing In The Shadows Of Motown - Full Movie

映画の最初の方で、レコード店の客へインタビューするシーンがあるのですが、

「モータウンは好きですか?好きなアーティストは?」

との問いに、

マーヴィン・ゲイ
スモーキー・ロビンソン
スプリームス
スティーヴィー・ワンダー

等々、皆アーティスト名は次々と出てくるものの、

「それでは、スプリームスのバックで演奏してたのは?」

と聞かれて、答えられる人は皆無。そもそも、

「考えてみたこともなかった」

とも。その答えがファンクブラザーズであることは、私もBBCドキュメンタリーで初めて知った次第です。そう言やあモータウンのアーティストは皆ソロ歌手かコーラスグループだったんだ、音を作ってたミュージシャン達を気に止めていなかったと気が付きました。公民権運動でも歴史の表舞台に出てきた人と、陰に隠れたままだった人といたわけですが、音楽の世界でも同じ様なことがあった訳です。

1959年モータウンレコードを設立したベリー・ゴーディー社長が、デトロイトの低所得者向け公団のある地域ブルースターで若いゴスペル歌手をスカウトしてた話は以前書きましたが、そうした若者達をバックで支えるべく、腕利きのジャズメンを揃えた。それが後にファンクブラザーズと呼ばれたミュージシャン達。しかし、彼等の名前は71年マーヴィン・ゲイの『ホワッツ・ゴーイン・オン』まで、レコードにクレジットされることはありませんでした。どんなに曲がヒットしても、称賛されるのは歌手やプロデューサーだけ。

で、やっと名前を出してもらえたと思ったら、翌72年には会社がロサンジェルスに移転。メンバーの内何人かはロスへ着いてったそうですが、尚も脚光を浴びることはありませんでした。映画ではその栄光の陰にあった60年代の彼等にスポットを当てています。既に故人となっていたメンバー、ジェイムス・ジェマーソン(ベース)、ベニー・ベンジャミン(ドラム)、エディ・ボンゴ・ブラウン(パーカッション)、ロバート・ホワイト(ギター)等を含め、数々のエピソードが、メンバーによって語られ(過去のインタビューや再現VTRもあり)、再結成コンサートの模様とそのゲストアーティスト達(後述)とのトーク、モータウン関係者(マーサ・リーヴス、ブライアン・ホランド等)や、ベーシストでプロデューサー、ドン・ウォズへのインタビュー等で構成されています。

上記トレイラーにも出てきますが、ファンクブラザーズが世に送り出したNo. 1ヒット曲の数は、ビートルズ、ローリング・ストーンズ、エルヴィス・プレスリー、ビーチ・ボーイズの4組分合計よりも多いとか。ヒッツヴィルUSAと呼ばれたモータウン本社の地下、スタジオA を、彼等は「ヘビの穴」と呼び、歌手がいない状態でオケの録音を1時間に1曲、少くても3時間で2曲、多いときは4曲という驚異的なペースでレコーディングしていきました。正にヒットマシーンだったのですね。しかし、曲がどんなにヒットしても実入りは良くなかったので、専属契約してないミュージシャンは、あちこちでバイトしてたそうです。キャピトルズの『クール・ジャーク』や、ジョン・リー・フッカーの『ブーン・ブーン』も彼等が演奏してたんですね。

そんな中でも、イギリス公演の際に、メンバーは空港で声を掛けられビックリしたと言う話は、とても興味深かったです。伝説のベーシスト、ジェイムス・ジェマーソンのファンクラブがイギリスにはあったと。

ここで、私はピンと来たのです。アメリカのドキュメンタリーには出てこなかったファンクブラザーズが、BBCのには出てきたことの意味が。つまり、イギリスでは、ビートルズもストーンズも、モータウンの曲をカバーしていましたし、その斬新な音作りの秘密に迫ろうと、熱心に研究していたから、自ずとリスナーもバックミュージシャンに注目してたのでしょう。50年代からアメリカのブルースが本国よりもイギリスで花開いたのは、差別の問題だけでなく、こうしたヲタク的研究熱心さも、関係ありそうな気がしたんです。

ちなみに、この映画のベースになってるのが、ミュージシャンでプロデューサーでもあるアラン・スラツキーによるジェームス・ジェマーソンの伝記なので、ジェマーソンの話に割いてる尺が多目になっています。ドン・ウォズにインタビューしてるのも、ベーシストを代表してるのかもしれません。

さて、モータウンの有名アーティストはマーサ・リーヴスくらいしか出てこないので、ある程度予備知識がないと話に入り込めないかもしれませんが、それを補って余りあるのがライヴの豪華ゲスト達です。以下に収録曲とアーティスト名を列記しておきますね。カッコ内はオリジナルのアーティスト名です。

1. 『ヒート・ウェイヴ』 ジョーン・オズボーン (マーサ&ザ・ヴァンデラス)
2. 『ユーヴ・リアリー・ガット・ア・ホールド・オン・ミー』 ミシェル・ンデゲオチェロ (ミラクルズ)
3. 『ドゥー・ユー・ラヴ・ミー』 ブーツィー・コリンズ (コントゥアーズ)
4. 『リーチ・アウト・アイル・ビー・ゼア』 ジェラルド・レヴァート (フォー・トップス)
5. 『エイント・トゥー・プラウド・トゥー・ベッグ』 ベン・ハーパー (テンプテーションズ)
6. 『ショットガン』 ジェラルド・レヴァート&トム・スコット (ジュニア・ウォーカー&ザ・オール・スターズ)
7. 『恋に破れて』 ジョーン・オズボーン (ジミー・ラフィン)
8. 『悲しいうわさ』 ベン・ハーパー (マーヴィン・ゲイ)
9. 『クール・ジャーク』 ブーツィー・コリンズ (キャピトルズ)
10. 『クラウド・ナイン』 ミシェル・ンデゲオチェロ (テンプテーションズ)
11. 『ホワッツ・ゴーイン・オン』 チャカ・カーン (マーヴィン・ゲイ)
12. 『エイント・ノー・マウンテン・ハイ・イナフ』 チャカ・カーン&モンテル・ジョーダン (タミー・テレル&マーヴィン・ゲイ)


その中から、3曲ほど紹介しましょう。

『恋にやぶれて』のジョーン・オズボーンは唯一黒人でないゲストシンガーですが、メンバーと語り合う姿からも、モータウン愛が溢れていて好印象。ファンクブラザーズ自体が、白人黒人の混成バンドだった訳ですから、この人選にも意義があると思います。



因みにオリジナルのジミー・ラフィンは、本国アメリカよりもイギリスで人気の高かったアーティスト。

ド派手な衣装で歌い踊るブーツィー・コリンズの『クール・ジャーク』は、ファンク・ブラザーズのアルバイトの成果。アトランティック・レコードでのお仕事です。



ベン・ハーパーが歌う『悲しいうわさ』については、リズムへのこだわり等を、メンバーが語っておりました。



マーヴィン・ゲイは曲作りもしてましたし、自身ドラマーとしてキャリアをスタートしてたせいか、音作りには積極的に参加していた様です。再結成ライヴでも一番多く3曲取り上げられてますし、メンバーの間で一番話題に上がっていたアーティストなのです。で、彼のバックも含め、ファンクブラザーズが盛んに取り入れていたのが、ジャズのアフロ・キューバン・リズムで、それはジャズクラブでの演奏で培われたそうです。スタジオでのストレス発散でジャズを演奏してたが、それが翌日の録音に活かされることが多かったとか。そこで登場したのが、ジョセフィン・ベイカーみたいなエキゾチックダンサー、ロッティー・クレイボーンでして、"ザ・ボディ"の異名を持つ、ダイナマイトボディのセクシーダンサー。彼女がお尻を振るダンスに合わせてアドリブで音を付けていたと。そうして鍛えられたグルーヴが、そのままモータウンサウンドに持ち込まれたというのは、とても興味深い話でした。最初のトレイラーの1:28あたりには、ロッティーのダンスがチラッと映っております。

確かにマーヴィンに限らず、モータウンの曲ってバック・ビート(後ノリ)の曲が多いんですよね。アフロ・キューバンと繋がっていたとは、目からウロコでした。なので、そうしてみると、後にスカ・レゲエ好きなブッ飛びカールズバンド、ザ・スリッツのカバーも、何だかシックリ聴こえてしまうから不思議ですね。スッカスカのギター音と自由気ままなヴォーカルも、バックビートがしっかりしてるから、原曲の音が素晴らしかったから、カッコ良く聴こえるのではないかいな?と。

The Slits I Heard It Through The Grapevine

興味のある方は一聴してみてくださいませ。

また、曲作りの中心的存在だったスモーキー・ロビンソンについて、

「2小節ほど書いたメモを持ってスタジオへ行っては、ファンクブラザーズとアイディアを練りながら曲を完成させていた」

とは、マーサ・リーヴスの談。スモーキーの作ったメロディに対し、ジェイムス・ジェマーソンがあれこれとアイディアを出して、そこに他のメンバーも加わって、一緒に曲を作り上げていたと。スモーキーには元々メロディメイカーの才能があったのでしょうけど、それを伸ばしたのはファンクブラザーズと言う優れたミュージシャン達だったのかしれません。彼等との間で化学反応を感じたスモーキーが、少しでもメロディが浮かんできたら、直ぐにでもファンクブラザーズとシェアして、演奏しながら一緒に作り上げたくなったのではないかと。

スモーキーと言えば、以前書きましたが、テンプテーションズ『マイ・ガール』のギターイントロを、ギタリストのロバート・ホワイトが作ったのも、そう言った状況から生まれたのだと想像出来て、とても嬉しくなってしまいました。

しかし一方で、90年代にロスのレストランで『マイ・ガール』が流れた時、ウェイターに「このギターは私が弾いてるんだ」と言いたかったけど言わずにガマンしてたというロバート・ホワイト。その話をしてくれた原作者のアラン・スラツキーは、こう付け加えました。「音楽史に残るギターの名フレーズの作者が世間に知られてないなんて」。また、ジェイムス・ジェマーソンはモータウン25周年ライヴに招待されず、自分でチケットを買って見に行った数か月後に、失意のまま亡くなった、等という話には胸が詰まってしまいましたし、アラン・スラツキーが本に書こうとした理由も、理解することが出来ました。

と言ったところで、最後に60年代のアメリカ黒人音楽が避けて通れない話題として、公民権運動関連のお話を少し。メンバーには白人のミュージシャンも複数いました。ギタリストのジョー・メッシーナはイタリア系ですが、なるほど白人ジャズメンではユダヤの次に多いのがイタリア系と、どこかで読んだことがあります。メッシーナは

モータウンのギターはオレオ(クッキー)

と言って笑ってたのが印象的でした。ロバート・ホワイト(黒人)、ジョー・メッシーナ(白人)、エディ・ウィリス(黒人)

をチョコクッキーでバニラクリームを挟んだオレオだとジョークで言えるのは、それだけの信頼関係があった証拠ですから。そして、偉大なる初代ベーシスト、ジェームス・ジェマーソンの後を継いだボブ・バビットも白人ではありましたが、黒人だろうと白人だろうと、やっている音楽が素晴らしければ、皆尊敬したし、黒人のベーシスト達もこぞってバビットの演奏を真似てみたものだと、周囲から称賛されていたのです。

そうは言っても、キング牧師暗殺事件後には、辛い思い出もあったのでしょうか、ミシェル・ンデゲオチェロから質問されたバビットが言葉に詰まって、彼女に肩を抱かれるシーンもありました。

と言う訳で、日の当たらない縁の下の力持ちにフォーカスした話は、日本人が好むところでもありますし、ライヴパフォーマンスも素晴らしいものばかり。音楽を楽しめる映画としてもオススメの一本です。


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2015/10/20 08:45 yuccalina

『Dancing in the Street~R-E-S-P-E-C-T』後編~名言「愛しあってるか~い?」誕生秘話

BBCの音楽ドキュメンタリー、『Dancing in the Street』シリーズのソウル編『R-E-S-P-E-C-T』の後編です。前編(コチラ)では、モータウンの興隆について書きましたが、後半では話の中心がサザンソウルに移ります。

Dancing in the Street "R.E.S.P.E.C.T" - Amazon UK
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サザンソウルの話は前回紹介した動画の2/4の、最後の方から始まってますが、ここでは残りの3/4と4/4を貼っておきますね。




私は90年代にこのビデオを見るまでは、モータウンとサザンソウルの違いも、ロクに分からなかったのですが、最初に出てきたルーファス・トーマスのド派手な”MEMPHIS”Tシャツを見た時、私は南部の何たるかが分かったような気がしたものです。

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勿論サウンドも大違いですけど、見た目もかなり、、、なんですよね。モータウンは服装や髪型等、ルックスもファンキーになり過ぎない様、白人の聴衆を意識して、かなり上品にしてましたから。何せ、マナー講師まで雇ってましたからね。それに比べて、南部では、

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と語るのは、スタックスレコードのアル・ベルですが、見た目もありのままを出してた感じですな。例えば、パーシー・スレッジなんかな、ルックス的には、モータウンでは絶対にスカウトされてなかっただろうなあ、とか思ってしまいましたが、モータウンが余りに洗練され過ぎで、人工的で物足りない、と思い始めたソウルファンにとって、南部の音はかなり刺激的だったのでありましょう。

番組ではメンフィスのスタックス(アトランティック傘下のインディーズ)と、アラバマ州の小さな町マッスルショールズにあるFAMEスタジオが紹介されています。アーティストは、ウィルソン・ピケット、パーシー・スレッジ、サム&デイヴ、オーティス・レディングにアレサ・フランクリン等。裏方であったスタックスのブッカーT&The MG'sも登場し、私はそこで初めて、ブルースブラザーズのギタリストとベーシストが、凄い人達だったと知ったのでした。FAMEのリック・ホールやスワンパーズの面々も出てきますが、映画『黄金のメロディ・マッスルショールズ』(記事はコチラ)の約20年前の姿ですから、かなり若いですね。

で、アレサ・フランクリンとのレコーディングの話も出てきますが、そちらは『黄金のメロディ』の方が詳しいですから、ここでは繰り返しません。今回ピックアップしたいのはオーティス・レディングです。



伝説となった1967年モンタレー・ポップ・フェスティヴァルでの出来事を、ブッカーT&The MG'sのメンバーや、フェスの主宰者でもあったジョン・フィリップス(元ママス&パパス)が語っています。

プロデューサーのジェリー・ウェクスラーも、当時はオーティスの参加に不安を抱いていました。それは、共演するロックバンド達が巨大なアンプを使用し、大音量で演奏する中、オーティスとブッカーT&The MG'sは霞んでしまうのでは?と危惧したからです。そしてThe MG'sのドナルド・ダック・ダンは、

「スーツ姿の俺達の前には、頭に花を飾ったフラワーチルドレンばかりで、、」

と、自分達が明らかに浮いてるのでは?と気付き、果たして観客に受け入れてもらえるのか、そりぁあ心配になっても当然ですよね。

しかし、予想に反して、聴衆は彼等を熱狂的に受け入れてくれました。オーティスのソウルフルでスケールの大きな歌声に、たちまち魅了されてしまった。ただ、総立ちになってしまったお陰で、会場の警備をしていた警察から、警告が出てしまいました。客を着席させなかったら、コンサートは即中止だと。

それを知った主宰者のフィリップスは、舞台のオーティスに伝えました。そこで、あの名言が生まれたのです。

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We all love each other, right ?
皆、愛し合ってるかい?


この言葉は、日本では忌野清志郎で有名なんでしょうが、いわゆる元ネタになるんでしょうね?この時のオーティスの神対応は、ラヴ&ピースを愛するフラワーチルドレンの心をくすぐったであろうことは、想像に難くないです。

しかし、その半年後、1967年12月10日、飛行機事故でオーティス・レディングは他界してしまいます。そして、年が明けて1968年4月4日には、マーティン・ルーサー・キング牧師が遊説中のメンフィスで暗殺されてしまう。これを境に、公民権運動もソウル音楽も、方向性を変えざるをえなくなりました。

黒人と白人とが微妙なバランス融合して成り立っていたソウル音楽の、ある意味楽観性が否定され、より黒人らしさを強調し主張していく、ジェイムズ・ブラウンを筆頭として、ファンクが台頭してくるのですが、それは、そのまま、白人との協力関係を持っていたキング牧師から、実力行使のブラックパンサー党という、公民権運動とも連動しているのですね。ブッカーT&The MG'sの面々は、南部のメンフィスにありながら、黒人用、白人用の店のどちらにも出入りしてて「ルールなんて無視してた」と言ってましたが、「キング師の暗殺事件で、状況が悪化してしまった」と語っていました。ここから、公民権運動にも黒人音楽にも、新しい試練が待ち受けているのです。

と言ったところで『Dancing in the Street』シリーズの次の巻は『Make It Funky』となっております。JBの他に、ギャンブル&ハフのフィリーソウル、Pファンク、スライ等が登場しますが、そのうちにまた紹介するつもりでおります。


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2015/09/30 08:55 yuccalina

『それでも夜は明ける』のその後は闇の中

結局、9月はアフリカ系アメリカ人を描く映画を3本見てしまいました。『キャデラック・レコード』『大統領の執事の涙』に続き、最後に紹介するのがアカデミー賞3部門(作品、助演女優、脚色)を受賞した『それでも夜は明ける』です。こちらは、ブログ仲間のバニーマンさんが取り上げたの読んでから、ずっと気になっていた作品でした。

それでも夜は明ける(2013)~『バニーマン日記』より



1853年に出版された『Twelve Years a Slave (12年間奴隷として)』と言う、自由黒人ソロモン・ノーサップの奴隷体験記を元にした歴史ドラマなのですが、先ずは歴史的背景を簡単に整理したいと思います。

ヨーロッパ各国で奴隷貿易及び奴隷制が廃止され始めたのが19世紀の前半(イギリスが最初で1807年)。アメリカが南北戦争の末に全土での奴隷制廃止になったのが1865年ですから、ちょうどその間の出来事なんですね。アメリカでも北部の州では奴隷解放が既に進んでいて、主人公ソロモン・ノーサップ(キウェテル・イジョフォー)はニューヨークで生まれた時から奴隷ではなく、ヴァイオリニストとなり、順風満帆な生活をしていた。ところがある日、興行師を語る2人組から「サーカスでの良い仕事がある」と唆され、拉致されて、南部の奴隷商人に売られてしまう。で、その後に出会う様々なタイプの白人達が

フォード(ベネディクト・カンバーバッチ): ノーサップを最初に買い取る。温厚な聖職者で、ノーサップの能力を評価し味方してくれていたが、お金を借りていたエップスにノーサップを売ってしまう。

エップス(マイケル・ファスベンダー): 残酷な農園主。気分が悪いと奴隷を平気で鞭打ちしたり、お気に入りの女性パッツィー(ルピタ・ニョンゴ)への執着も異常で、情緒不安定な男。

ディビッツ(ポール・ダノ): フォード農園の監督官。上に媚びへつらい下には威張り散らす狭量で陰湿な性格。仕事も出来て頭の良いノーサップを虐める。

アームスバイ(ギャレット・ディラハント): ある農園の監督官から、酒が原因で奴隷に身を落とし、エップス農園へやってきた白人男性。

バス(ブラット・ピット): カナダ人の大工。奴隷制に疑問を持っている。

でして、やはりムカつくのがエップスとディビッツの悪行。しかし、気分次第で奴隷をムチ打ったかとおもえば、屋敷にあげて踊れと命令したり、天候被害も奴隷達のせいだと八つ当たりしたり、やることがムチャクチャなエップスは、明らかに頭がおかしい。人格的に破綻した異常者にしか見えないです。むしろディビッツの方が人間のイヤラシサが出ていて、ゾーッとするものがありました。白人である自分が奴隷のノーサップより劣ってるなんて絶対に許せん!という嫉妬から、ノーサップに色々と意地悪するんですね。多分、自分が白人の中では下の身分であることへの劣等感が強いのでしょう。

そして一見良い人なのがフォードとアームスバイですが、フォードはノーサップを気遣うものの、あくまでも主人と奴隷の関係は崩しません。まだ奴隷制への疑問にも目覚めていない状態。それは、単なる無知なのか、はたまたハンナ・アーレントが語っていた「全体主義における思考停止による陳腐な悪」なのか。

一方のアームスバイは「昔は農園で雇われ監督官をしていたが、黒人奴隷をムチ打つのが辛くて、酒浸りになって破産した」とノーサップに告白。黒人奴隷への同情心を自ら意識していました。それを聞いたノーサップは、”北部の友人に助けを求める手紙”を託そうとしますが、アームスバイはエップスにばらしてしまいました。まあ、辛いと酒に逃げる弱い性格だったのでしょうから、さもありなんなんですが、私はここで勝手に想像してしまいましたよ。

手紙のことばらした罪悪感で、また酒をあおってんじゃね?って。

実を言うと、私はアームスバイが登場した時に、サム・フィリップスを思い出したんです。勿論奴隷制が廃止された後の話ですが、フィリップスは小作人の子供として、黒人達と一緒に綿花畑で働いていて、そこで聴いた黒人の歌に感動し、後に黒人音楽に携わるようになりました。アームスバイは保身の為に裏切ったチンケな白人でしかなかったかもしれませんが、黒人と同じ立場で一緒に働いていた白人の中から、後に価値観を共有する人々が現れたのかもしれない、とふと思った訳です。

そして、最後は一番美味しい役だったブラピのバスですが、北部からやってきた人間で、明らかに考え方が違っています。奴隷制への疑問をハッキリと口に出して言いました。そしてノーサップの手紙を出して、救出の手助けをします。意識が高く、賢くて勇気もあった。こういうタイプは沢山は出てこない、やはりスペシャルな役をブラピは頂いた訳ですな。

さて、ノーサップは12年の後、無事にニューヨークへ帰還し、本も書いた訳ですが、彼を誘拐した2人組と奴隷商人を提訴したものの、当時は裁判における黒人差別があったため、どちらも罪には問えず終わったそうです。そして、彼はいつどこで亡くなったのかも不明であり、一部では再び拉致されて、どこかに売られてしまったのでは?とも言われているとか。しかし、本を出した時すでに40代半ばの筈ですから、年齢的に奴隷はなかったのでは?と思います。むしろ、裁判を起こしたり、本を出したことで、白人から恨みを買い、抹殺されてしまった可能性が高い気がします。

と言った、ノーサップのその後のモヤモヤ感がそのまま残るエンディングとなりましたが、このように、「北部の自由黒人を誘拐して南部に売る」パターンは、多かったのかもしれませんね。先に奴隷貿易が禁止になって、外から連れてこれなくなったから、不正に国内供給しようとした奴等がいたってことでしょうから。勿論エップスもディビッツもムカつきましたが、誘拐犯と奴隷商人が処罰されなかったのが、私は一番頭にきたんです。だからこその、このスッキリしない感じ。

ってなままで終わるのも何ですので、最後に少し音楽のお話を。綿花畑や林などで働きながら歌うワークソングや、黒人の仲間を弔う歌などが出てきました。



後に民俗音楽研究家のジョン・A・ローマックス(1867~1948)と息子のアラン・ローマックス(1915~2002)が全米の民俗音楽をフィールドレコーディングし始めたのが1933年で、それ以前の音源は残っていないのですが、日々の生活の中で伝わったであろうこれらの音楽は、きっと素晴らしいものだったのでしょう。残念ながら農園での録音は見つからなかったのですが、こちらは最初期に録音された囚人たちのワークソングです。



先述のサム・フィリップス以前に、ジョン・ローマックスは9歳の時、親の農園で働いていた黒人少年ナット・ブライスと友達になり、彼から歌を教えてもらったとか。その後ナットは21歳で農園を出て行ったのですが、「殺害された」との噂を耳にしたジョンは、ナットを探して南部を旅したそうです。そう、その体験が後の仕事と深く関わっているのは間違いありません。音楽が人種の壁を超える重要な役割を果たしたのは、ソロモン・ノーサップの時代からもう少し後のことになりますが、R&Bやソウルの種は既に蒔かれていたのかもしれない、そう思ってモヤモヤした気持ちを収めるしかないのかもしれませんね。


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タグ: R&B ソウル

テーマ:ヒューマン・人間ドラマ - ジャンル:映画

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