プロフィール

yuccalina

Author:yuccalina
自閉症の息子(14才)と、エンジニアの夫との3人暮らしのアラフィー主婦です。45才でヨガ指導者スクールを卒業し、現在地元で極々細やかな教室を開催。

一方、トランシルヴァニア(カロタセグ地方)の伝統刺繍、イーラーショシュのステッチを用いた雑貨『Yuccalina Erdő=ユッカリーナ・エルドゥ』の制作も行っています。

ミンネ・ギャラリーにて作品展示中。

ブログでは主にハンドメイド、ガーデニングに加え、10代から親しんできたロック音楽に、映画、本等について綴っています。

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ユッカリーナのヨガ的雑記帳


2013/01/12 08:31 yuccalina

ロックの中の「ジプシー」を想う

お笑い、ヨガ、自閉症、フィギュアスケートに音楽と、様々なジャンルをあっちこっち書き散らす当ブログで、今年最初のロックなエントリーは「ジプシー」というワードに焦点を当ててみたいと思います。

私がこのブログ内でこれまで、ジプシーという言葉を使わずにロマとしているのには、特に信念とか拘りがある訳ではありません。ただ彼らの音楽に興味を抱いた1990年代から、日本でもロマと表記されることが増えてきた様です。日本人にとってジプシーという言葉は、侮蔑的な印象よりも自由で支配されない気儘、といったポジティヴなイメージが強ければ、敢えて呼び方を変える必要もなかった気がするのですが、ブログで最初にロマと書いてしまったから、それ以降統一している、ただそれだけの話です。

一方、欧米では差別的な意味合いが強いようです。私がよく見ているイギリスのドラマでも、この言葉は結構使われています。明らかに「ジプシー」と言ってても、字幕はちゃんと「ロマ」になってて、日本人て律儀やなー、と思います。また例えばアイリッシュでもキャンピングカー暮らしの家族をジプシーと呼んでることもあり、こう言う場合は「流れ者」と翻訳されています。

私がこの言葉で思い出すのは、レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジが「ジプシーの血を引いている」と噂されていた事で、当時は何だかカッコいいじゃん、くらいにしか思ってませんでした。魔術に興味を持ったり、神秘的な面がそれっぽいと取られたのでしょうか。

てな訳で、今回はロックに於けるジプシーというワードの扱いについて、ちょっと考えてみたいと思います。

この話を書こうと思ったキッカケにもなったのが、サリー・オールドフィールドの「You Set My Gypsy Blood Free」という曲。セカンドソロ「Easy」に収録されています。

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(2007/03/21)
サリー・オールドフィールド

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ファーストアルバムに比べかなりポップな作りになっているため、プログレファンから「オリヴィア・ニュートン・ジョンかっ?」と揶揄された曰く付きのアルバムですが、私はプログレファンじゃないので、結構好きです。この歌詞と彼女の顔を見て、マジでジプシーの血を引いている?と思いこんだものでしたが、とても好意的に言葉を用いていると思います。もしかしたら、アイリッシュの吟遊詩人シャナーヒーと近い意味合いがあるんかな?とも思いました。そう言えば、彼女は東洋的なものにも興味があるようで「霊気」と書かれたこんな曲もあります。



何れにせよ、キリスト教とは別に持っているケルトの価値観では、ジプシーの文化に共感するものがあるのかもしれません。ケルトで思い出しましたが、「刑事タガート」に出演したマギー・ベル(スコットランド人)は、ジプシーの占い師を演じてましたっけ。ちなみに当該エントリーはこちら

お次の曲は、何故だかまたもやプログレ界から、ルネッサンスの「オーシャン・ジプシー」。こちらの歌は共感を持って使っていると言うよりは、さすらう人々をより詩的に表現する為と感じました。



私が丁度プログレ男子を好きになり、ちょっとこっち系を聴いてた時期に出会いました。思い出深い曲です。ヴォーカルのアニー・ハズラムはサリーに負けず劣らずの美声ですね。

そして、最後の曲はガラッと変わって、インプレッションズ(カーティス・メイフィールド)の「ジプシー・ウーマン」です。私がソウルやR&Bを聴くようになるのは大分後なので、先の2曲とはかなり時間差がありますが、魅力的な女性を讃える歌です。直接イメージする女性がいたのでしょうか。それとも魅力を伝える誉め言葉としてジプシーと歌ったのか、気になるところです。



ジプシーというワードを用いた楽曲は、もっと沢山あると思いますが、今回はパッと思い浮かんだ好きなものだけ紹介してみました。

クラッシックに於てもバルトークやコダーイ、リストにブラームスと、ジプシーの音楽からインスピレーションを得た作曲家は多いです。またチャイコフスキーのバレエ「白鳥の湖」の中に「ジプシーの踊り」が出てくるように、文化的な影響力は昔からとても高かった様ですから、ロック音楽においての扱いも、十分納得は出来ますね。

最後にバンド名にジプシーと言えば、ジプシーキングスが真っ先に思い浮かびますが、彼等は出自を表わす為の若干自嘲的意味がかもしれません。一方でジミヘンのバンド・オブ・ジプシーズには、何やら敬意を感じてしまうのですが、どうでしょうか。また、元ルースターズの花田裕之が率いているロックンロールジプシーズの名は、やはりジミヘンの流れを組んでいるのでしょうね。


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タグ: ロマ イギリス ケルト ワールドミュージック R&B

テーマ:洋楽ロック - ジャンル:音楽

2012/11/12 08:08 yuccalina

清彦と寅彦~言葉センス有りな理系男子から19世紀末カルチャーと「世界不思議百科」

先週のホンマでっかTV池田清彦先生が欠席で、一気にテションが下がったブログ主です。ま、テーマがネット社会の問題でしたから、ここ数年まで携帯電話も持たない生活をしていたという清彦先生には合わないですよね。

私はこれまでに、清彦先生のエッセイ本を散々引き合いに出してきましたが、ふと思いました。言葉のセンスが良くて、文化芸術にも造詣が深い理系男子って、私の理想かもしれません。中でもビートたけしが一番代表的な存在と言えますが、その昔、20数年前に寺田寅彦(物理学者・随筆家・俳人 1878~1935)の随筆を読んだ時の、新鮮な驚きを今でも良く覚えています。

寺田寅彦随筆集 セット (岩波文庫)寺田寅彦随筆集 セット (岩波文庫)
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寺田 寅彦

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池田清彦と寺田寅彦、二文字被っとるやないかーい?とかいう偶然なんかも私は大好きです。で寅彦先生のエッセイは、絵画から食べ物の話、三越の話等身近な話題も豊富。当時の一般市民とは、かけ離れたしゃれおつな暮らしぶりが伺えるのも楽しいのですが、ちょっとした題材でも、ものの見方によって味わい深い話になる、というエッセイの真髄を感じさせるものでした。物理学者とは言え、夏目漱石の弟子であり俳人でもあった寅彦先生。「理系→何でも杓子定規ではかるタイプ」という先入観があった私には、余計に魅力的に感じたことは否めませんけどね。また、私はそのエッセイに書かれていた銀座の「ジャーマンベイカリー」という喫茶店が、もしや自分がよく利用していた有楽町駅前の同名の喫茶店のことではないか、とワクワクしながら頁を捲ったものです。それは、梶井基次郎の「檸檬」に、慣れ親しんだ御茶ノ水・丸善が出てきたこと、そして丸善の前に画翠LEMONという画材屋さんがあるのを見て「そういうことなのか」と嬉しくなった感覚とも似ていました。

さて、理系学科はセンスゼロの私が、何故寺田寅彦を読むに至ったのか。それは、荒俣宏の「帝都物語」に登場した寺田寅彦がカッコ良かったから、とゆー単純な理由。この小説はフィクションですが、史実もふんだんに盛り込まれています。関東大震災後、地震対策として彼が地下都市構想を発表したり、実際浅草~上野間の日本初の地下鉄が開通する場面も出てきます。

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で、その地下鉄と言えば、お手本となったのがロンドン。明治時代の日本がイギリスのグラスゴーに倣って工業化&近代化の道を歩んだ話は、以前蛍の光に関するエントリーで少々触れましたが、勿論19世紀末ロンドンの文化も、その後の日本に多大な影響を与えました。オスカー・ワイルドの小説「サロメ」を飾ったオーブリー・ビアズリーの挿絵は、元々浮世絵の影響がうかがえる作風ですが、日本の本の装丁に逆に影響を与えることになります。その周辺のカルチャー、ラファエル前派の絵画、ウイリアム・モリスのアーツ&クラフト運動から、W.B.イエーツ、アーサー・コナン・ドイル、ルイス・キャロル(そういえばこの人も理系男子か)といった時代を代表する作家たちを虜にしたシークレット・ソサエティ(秘密結社)の話まで、多岐に渡って紹介されている本が「ビアズリーとロンドン」(学習研究社・1987年)です。

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<こちらはロンドンで購入したモリスのデザイン画集 Bracken Books, UK 1988>
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神秘的なものに傾倒するのは、ケルト民族の気質と関わり合いがありそうですが、それはまた機会があれば別に書きたいと思います。残念なことに、この本は現在絶版のようですが、マッキントッシュとグラスゴー派の話も載っていて、建築やテキスタイルデザインのカラー写真が沢山あって豪華です。

<「ビアズリーとロンドン」より>
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ロイヤル・アルバート・ホールやヴィクトリア・アンド・アルバート美術館、アルバート橋など、19世紀末美術のパトロンと言われたアルバート公を記念した建築がロンドンには多数ありますが、かのホールは映画「ブラス」の晴れ舞台になった場所です。かつて、初めての一人旅でロンドンを訪れた時、私はこの美しい装飾が施されたドーム状のホールの前で写真を撮りました。1998年のクリスマスシーズンは、意外にも暖かく、モッズコートの中はシャツだけで、ファスナーを明けていました。私的にアルバート・ホールは、当時好きだったバンド、Echo & The Bunnymenのレコード「Live At The Royal Albert Hall」やシングル「Never Stop」(1983年)のジャケットになってた場所としか認識していなかったと思います。そして、この写真はThe Style Councilのシングル「Shout To The Top!」(1984年)のジャケットを意識したポーズだったりします。テヘッ。シャッターを押してくれた通りすがりの日本人観光客にとっては、さぞや訳が分からなかったとは思います。ちなみに、なにゆえモノクロフィルムなのかとゆーと、単に「カッコよく見えそう」と思ったからでありました。

<Shoutは全然してませんけどね~>
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<シングル「Never Stop」のジャケット>
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Live At The Royal Albert HallLive At The Royal Albert Hall
(2009/11/06)
Echo & The Bunnymen

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<シングル「Shout To The Top!」のジャケット>
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と、話が逸れてしまいましたが、産業革命により、大量生産される工業製品が人々の美意識を低下させておる、アカーン!として興ったのがアーツ・アンド・クラフツ運動です。その中心人物だったウィリアム・モリスで、ラファエル前派の画家達と深く関わっていました。その辺りを話を荒俣宏さんが書いていて中々面白いです。画家達の女性をめぐる人間関係について書いて、三角関係などゴシップの要素もあったりと。ともあれ、世紀末と秘密結社は正に「帝都物語」とも重なる世界ですね。そして、本書にも登場する神智学協会のブラヴァツキー夫人について書かれた本を、私はもう1冊所有していたことに気が付きました。

それがコリン・ウイルソンの「世界不思議百科」です。発売当時(1989年)ビートたけしがオールナイトニッポンで「今、こんな本を読んでいる」と紹介してたので、即購入して読みました。あの頃の私はたけしの影響で読んだ本や見た映画が沢山あったものです。

世界不思議百科世界不思議百科
(2007/02)
コリン ウィルソン、ダモン ウィルソン 他

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ブラヴァツキー夫人は「ヒマラヤの密教徒(ってチベット密教のことか?)から奥義を授かった」と言われてたそうで、だったら多少ヨガとも関わり合いがありそうな気もしますが、出てくるのは専ら心霊との交信やら、超能力やらです。その「神秘の人々」という章では、「帝都物語」で重要な役割を持つグルジェフについても語られています。私は都市伝説とかUFOとか超常現象とかに、特別興味があった訳ではありません。では、何故こんな話を引き合いに出したのかと言うと、後年気が付いたことには、ロックアーティストが黒魔術に興味を持ったり、違う世界を体験したくてドラッグに手を染めたりと、似たような事は、昔から繰り返されてるんかなあー?と、うっすら思ったからです。表現を突き詰める人々は、怪しげなものにハマりやすい?因みにトム・クルーズが信仰してることで有名になったサイエントロジーの創始者、故ロン・ハバード(1911~1986)は、1960年代のドラッグ・カルチャーと関わりが深いのです。チベットなどで聖人と学んだと豪語し、その実ドラッグ漬けのイカれたSF作家だったとも言われています。

と、また話が逸れちゃいましたが、この「世界不思議百科」では、その他ツタンカーメン王の呪いを始め、バミューダトライアングル、カスパール・ハウザーの謎等々、盛り沢山な内容ですが、イギリス出身の作家さんだけあって、イギリスネタが多いです。ネス湖のネッシー、シェイクスピア、ロビン・フット、アガサ・クリスティの失踪事件等々。そんな中で注目したいのが、イギリスにある「アイルワースのモナリザ」。

<「世界不思議百科・永遠の美女モナリザはどこにいる」より>
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この話題はつい最近、朝日新聞の夕刊に写真入りで報道されました。記事の内容がこの本に書かれていた域を出ていないことから、最近やっとこの説が証明された、という事なのでしょうか。簡単に説明すれば、ルーブルにある絵は本来「モナリザ」として描かれた作品ではないというお話です。ダ・ヴィンチの伝記作家のジョルジオ・バザーリの記述や、弟子のラファエロがダ・ヴィンチのアトリエでしたスケッチと符合するのが、アイルワースのモナリザであり、ルーブルの絵は単純な誤解で「モナリザ」の名札をつけられたと。

と言ったところで、最後に話は再び池田清彦先生に戻ります。最新のエッセイ本のタイトルは「アホの極み」。えっ?もしやタイトル付けた編集者がハマカーン(ゲスの極み)のファン?なんつーことはまずないでしょうねえ。そういえば、ハマカーンの2人も理系男子(東京農工大卒)なんですよね。浜谷にはさらに古典っぽい決め台詞を、沢山作って欲しいものです。

アホの極み 3.11後、どうする日本! ?アホの極み 3.11後、どうする日本! ?
(2012/09/20)
池田清彦

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って最後まで話が脱線ばかりですみませんが、ここはやっぱり、清彦先生のお友達?でもある養老孟司先生の「バカの壁」から来てる取るべきなんでしょうね。こちらは読み終えたら、追々紹介しようと思っております。ホンマでっかTVを見ていると、同じ理系男子でも澤口の喋りが速すぎるわ滑舌悪いわ、人の話はちゃんと聞いてないわで、イラッとすることが多い私です。池田清彦先生のいない「ホンマでっか」は、やはり物足りないですわ。


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タグ: 池田清彦 ホンマでっかTV イギリス ケルト ビートたけし ハマカーン

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2012/10/30 07:45 yuccalina

鈴木常吉「ダーティー・オールド・タウン」からThe Poguesと「蛍の光」にハローウィンまで

話の発端は鈴木常吉さんの「思ひ出」という曲でした。私は記事(こちら)の中で「元はアイルランド民謡だけど、しっかり日本の味がする」と書きました。一方で、大好きなフィギュアスケートを見ていたら、スウェーデンのアレクサンドル・マヨロフ選手がAflo Celt Sound Systemという西アフリカとケルト音楽を融合したグループの曲「Life Begin Again」と言う曲をフリープログラムで使用していました(動画を紹介した記事はこちら)。ロックの誕生が黒人のブルーズとケルト音楽に繋がっていたり、タップダンスがアフリカ系アメリカ人のビートとアイリッシュダンスが結び付いて誕生したり、と私の興味を引くものの中には、常にケルトというキーワードが見え隠れしています。ケルト文化と言うと、アイルランド、スコットランド、ウェールズのみならず、フランスのブルターニュも含まれるそうですし、アメリカ大陸に渡った移民が生んだカントリーやブルーグラスのことなど、話はいくらでも広がりそうです。しかしそれらを包括的に語るなんて、私には到底出来やしません。いつもの通り知りうる範囲で、気になるお話だけにしたいと思います。

鈴木常吉さんのセカンドアルバム「望郷」に「ダーティ・オールド・タウン」というカバー曲があります。

望郷望郷
(2010/10/24)
鈴木常吉

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私はずっとアイリッシュ・フォークと思い込んでいたのですが、実は1949年にEwan MacColl(1915~1989)というシンガーソングライターが書いた歌で、描かれているのはイングランド北西部のSalfordという町です。それではイングリッシュ・フォークなのかといえば、MacCollはその名前から分かる通りスコットランド人ですので、スコティッシュ・フォークでもあります。その一方、The Dublinersのカバーで有名になり、そこでアイルランドの町になぞらえてこの歌が親しまれるようになりました。要は、イングリッシュだろうが、スコティッシュまたはアイリッシュだろうが、あまり関係ないのかもしれません。ダーティという言葉で直ぐに思い浮かぶのは炭鉱の煙で、映画「ブラス」や「リトルダンサー」の光景とも重なりますが、その他にも産業革命の時代から大英帝国を支えてきた工場の煙とは、イギリス労働者階級の汗と涙の象徴と言えると思うのです。その点ではイングランドもスコットランドもアイルランドも関係ない、共通する思いが歌に込められているでしょう。

と言ったところで紹介したのが、アイルランドのパンク+トラッドバンド、The Poguesによるカバーです。労働者を描いた歌であるがゆえに、パンクとも絶妙にマッチする訳ですね。



私が一番愛聴していたThe Poguesのアルバムは「If I Should Fall From Grace With God」(1987年発表)で、やはりワールドミュージックの流れで聴いていたような気がしますが、パンクとアイリッシュトラッドの相性の良さを体現したバンドだと思います。

If I Should Fall From Grace With GodIf I Should Fall From Grace With God
(2004/12/25)
Pogues

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また「ダーティー・オールド・タウン」の作者のEwan MacCollについてもう1つ。彼の娘Kirsty MacColl(1959~2000)は1980年代からシンガーソングライターとして活躍し、私も何曲か聴いた覚えがあります。一番のヒットは彼女のオリジナルではなく、Billy Braggのカバー曲「New England」なのも、妙な因縁を感じますね。ちなみに彼女は先のThe Poguesのアルバムに収録された「Fairlytale of New York」で共演しています。



<クリスマスの歌なんでちょっと早いですが、、>


そして、ケルト音楽の持つ幻想的なサウンドや世界観、ヒーリング的な要素については、これまでにCocteau Twins(スコットランド)やSally Oldfield(アイルランド)の曲を紹介してきましたので、興味のある方は合わせて過去のエントリーをご覧ください。

さて、私が初めて知ったケルト音楽とは、多分スコットランド民謡が元になった「蛍の光」だと思いますが、日本人の大半が同じことになるんじゃないでしょうか。教科書に「スコットランド民謡」と書いてあるのを見て、私は「日本の曲じゃないんだー」と意外に思いました。そして、小学6年生の時初めて興味を持った洋楽が、スコットランドはエジンバラ出身のベイシティローラーズ(私の年代ではありがち~)だったので、逆にこの曲に親近感を持ったことを覚えています。同じく卒業式の定番ソング「仰げば尊し」もスコットランド民謡説があり(現在はアメリカで作曲された説が強いそうですが)、どちらも明治時代に日本に伝わりました。日本の学校唱歌として教科書に載ったのが「蛍の光」1881年、「仰げば尊し」1884年。日本に伝わった経緯の詳細は、文献を当たれば見つかるのかもしれませんが、取り敢えずwikiには載っていませんでした。そこで、私が想像するのは、その時代、西洋に習うべく日本政府が雇ったという「お雇い外国人」の存在です。列強国の中でも特にイギリスからの来日はのべ6000人と言われています。その内の何割がスコットランド人だったのかは定かでないですが、東京大学工学部の前身ひとつである工部大学校はグラスゴー大学を模範に作られたと言われています。初代都検(実質的な校長)がグラスゴー大学出身のスコットランド人ヘンリー・ダイアー(Henry Dyer 1848~1918)であり、教授陣として多数のスコットランド人が日本にやってきたのでした。グラスゴーと言えば、私は大好きなドラマ「刑事タガート」の舞台として、またオレンジジュースというバンドの故郷として親しみがあるのですが、一般的には今年のロンドンオリンピックで日本の男子サッカーがスペインを破った地として、記憶されているでしょう。しかし、歴史的には明治日本の科学技術の故郷でもある都市なのです。「蛍の光」が日本に伝わった背景に思いを馳せつつ、スーザン・ボイルが歌う「オールド・ラング・サイン」をどうぞ。

<クリスマス通り越して年末の雰囲気ですが、、>


明治時代に日本にやってきた技術者達が故郷の歌も伝えたんかなー?と想像するだけで、私は楽しくなってきます。この「蛍の光」には様々な人々の歴史が込められているのかもしれません。19世紀末にグラスゴーときたら、アールヌーボーの一翼を担ったグラスゴー派とその中心人物で建築家・デザイナーのチャールズ・レニー・マッキントッシュ(Charles Rennie Mackintosh 1868~1928)の話もしたいところですが、それはまたの機会ということで、「蛍の光」が外国の歌っぽくないなと思ったのは、やはり日本語が古風だからでしょうか。訳詞ではなくオリジナル。しかも、蛍雪の功という日本的情緒(元ネタは中国だけど)を当てはめるとは、中々センス良かったんじゃないですか?

ってな訳で、話は最初の鈴木常吉さんにもどります。「元は外国の曲でも日本の味」とは、やはり歌詞に日本的情緒があるからかも?あ、勿論日本語だからってことだけじゃなく、曲のアレンジの良さもありますけど、常吉さんのは訳詞でありながらも、彼の中から出てきた言葉に思えるところが、単なるカバー曲を越えてる感じがしたのです。それは、オリジナルの歌詞と比べてみた時、さらにクッキリと輪郭が現れて来たのでした。先のEwan MacCollの書いた「ダーティ・オールド・タウン」の歌詞に、

I met my love by the gas works wall.
Dreamed a dream by the old canal.
I kissed my girl by the factory wall.

というのがあります。直訳すれば、

ガス工事の壁の近くで、俺は愛する人と出会った
古い運河のそばで夢をみた
工場の壁際で、俺は彼女にキスをした

ってな感じでしょうか。The Poguesならばこの雰囲気でOKでしょうけど、常吉さんはそこを、

灯りの消えた街角
汚れた工場の壁
あの娘の肩に腕をまわした

と歌っています。



青春の1ページの背景としての工場が描かれてるともとれる歌詞が、もっと大人の男性の生活感みたいなものと、女性の肩をそっと抱き寄せるニッポン男児の奥ゆかしき優しさに変わっています。「肩に腕をまわした」だけで愛情の深さを感じさせるって、日本語って素敵やん。私には作業服でタオルを肩にかけた町工場芸人、西森洋一(モンスターエンジン)の姿が目に浮かんできたのでした。ま、別にU字工事の益子でもかまわんですけど。そう、つまり常吉さんの歌う「ダーティー・オールド・タウン」は、もはやブリティッシュフォークではないのです。日本全国津々浦々の町工場の情景を彷彿とさせる歌になっているのでした。

と、話がケルトから逸れてしまいましたが、それでは最後にも1つだけ。明日は丁度ハローウィンですが、キリスト教とは関係ないお祭りなので、日本人が祝っても全く問題はなさそうです。ま、バレンタインデー同様、店でここぞとばかりに色々と売りつけられそうなのには辟易しますけど。ハローウィンはケルトの死者の霊を鎮めるサウィン祭と収穫祭をミックスしたものと言われています。ケルト民族はキリスト教以前は多神教で自然崇拝の文化だったと言われていますが、その辺りが、日本文化と相性が良いのかもしれませんね。



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タグ: 鈴木常吉 イギリス ワールドミュージック ケルト

テーマ:ケルト音楽 - ジャンル:音楽

2012/10/24 08:47 yuccalina

スケートアメリカ感想

スケートアメリカが終了してちょっと間が空いてしまいましたが、BS放送で女子のフリーまで見てから、書くことにしました。例によって気になることだけサラッといきます。

先ずは男子優勝の小塚崇彦選手。ショート、フリー共に4回転を着氷し、大きなミス無く2本揃えたのが素晴らしいです。そして、どちらのプロも正統派王子な彼の雰囲気にあった作品と思えますが、ショートの方がドラマティックで好きかな。の割に点数(特にプレゼンテーションが)低めだったのがちょっと残念ではありました。



フリーはベルばらちっくな金キラ衣装のわりに、内容が平坦なような、一昨年の「ピアノコンチェルト」と比べたら、ちょっと物足りないような、、。その辺は見続けているうちに変化してくるかもしれませんけど。

と思えたのは、先に見た町田樹選手のフリー「火の鳥」が余りに素晴らしかったからかもしれません。3位でグランプリシリーズ初の表彰台となりました。解説の佐野稔さんが言ってましたが「背中が美しい」って、ホント体のラインもキレもこんなに良かったっけ?と目を見張るものがありました。



ショートで歴代世界最高点を叩き出した羽生結弦選手は、フリーは4回転以外でもミスが出て、残念な2位でしたが、明らかに6分間練習から、様子が変でした。そらー、歴代最高点なんか出しちゃって、平常心を保つのは難しいでしょう。人の心をかき乱すのは悪いことだけではないですから。昨季、好成績だった試合は全て、ショートで出遅れフリーで挽回のパターンでしたので、これも良い経験だと思います。この悔しさを次の力に変えると期待しています。



しかし、アメリカ大会で日本人が表彰台独占して良いんか?アボット選手の新プロはどちらも良さげなんで、ちょっと残念。特にフリーでは久しぶりにボロボロの彼を見て、ちょっと心配です。

逆に女子はアメリカのワンツーでした。全米女王としての貫禄もついてきたアシュリー・ワグナー選手が優勝。2位はシニアデビュー2年目のクリスティーナ・ガオ選手。若干荒川静香さん系ルックス?で細くしなやか、エレガント。ベストな演技で堂々の表彰台でした。逆に同じシニア2年目のアデリナ・ソトニコワ選手(ロシア)は、今だ力を出し切れないでいますが、それでも3位なのは立派だと思います。ショート、フリー共にジャンプにミスが出ましたが、スピンやスパイラルの洗練度はやまり目を見張るものがありますね。彼女の今季フリーは映画音楽「バーレスク」ですが、ブルーズ系なんですね。羽生選手のSPはブルーズ・ロックですが、こちらはジャズよりのブルーズです。何やら若い子にブルーズやらせるのが流行ってるのかどうかは知りませんが、ソトニコワ選手はこのプロを楽しげに滑ってて良かったです。



さて、最後に話がフィギュアスケートから外れますが、男子シングルでスウェーデンのアレクサンドル・マヨロフ選手のフリーの曲「Life Begin Again」がちょっと気になったので、紹介します。「Aflo Celt Sound Systemは西アフリカとケルトサウンドを融合したグループで、元Poguesのメンバーもいる」と、丁度ブログ友達(と言って良いのかな)のUnimogrooveさんから教えてもらったばかりだったんで、私的に「おおっ!」と盛り上がってしまいました。



一聴したところ「インドや中近東のサウンドみたい~」という印象です。昨シーズンの高橋大輔選手のショート「In the Garden of Souls」を思い浮かべる方もいるかもしれませんし、ワールドミュージック的とかアンビエント系と言っても良さそうです。大ちゃんの演技はいろんなところに影響を与えてるなーと再確認しました。ところで、Aflo Celt Sound Systemにはインド系のメンバーもいるらしく、また西アフリカはイスラム教国が多いんで、音楽も影響受けてる可能性が高いんですよね。そんな曲をロシア系スウェーデン人のマヨロフ選手が滑るこの妙味が、何とも言えません。フィギュアの世界でのこういったトランスボーダー的な部分が、私の密かな楽しみでもあったりするのです。そして、ケルト音楽の話はまた別の機会にしたいと思います。


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タグ: ワールドミュージック ケルト

テーマ:フィギュアスケート - ジャンル:スポーツ

2012/06/27 08:23 yuccalina

「刑事タガート」とマギー・ベル

先日の音楽エントリーで、「シガー・ロス→コクトー・ツインズ→スコットランド→マクベス巡査」という話の流れになった時に、実はもう一つ紹介しておきたいテレビドラマがありました。それが、スコティッシュTV制作の「刑事タガート」です。以前はCSのAXNミステリーチャンネルで放送されていましたが、現在は公式サイトのラインナップから外されており、残念ながら放送権がないようです。それでも、Amazonで一部DVDを扱っているようです。

刑事タガート VOL.15 呪いの目 [DVD]刑事タガート VOL.15 呪いの目 [DVD]
(2004/01/30)
マーク・マナカス、ニール・ダンカン 他

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先ずは、ネット上でタガートシリーズの内容を紹介されてるサイトを発見しましたので、ここでリンクしておきます。
スコットランドのTVドラマシリーズ「刑事タガート」‐「Cheeky's Garden★英国党宣言」より

スコットランドに限らず、英国の映画、ドラマ等多数紹介されているサイトです。文化的・歴史的背景の分かる解説がとても興味深いです。

で、私的に「刑事タガート」の印象深かった点を幾つか。先ずは、何といっても英語ですね。元々ヒアリングはあまり自信ない(日本語でも聞き違い多いし)私には、最初は全く英語に聞こえないくらい、強烈でした。そしては私がイギリスのロックに夢中だった1980年代の空気が伝わってくるところに惹き付けられました。新しい音楽が生まれていった背景にある、当時の社会の閉塞感とかを見て、逆に80年代の音楽を見直すキッカケにもなりました。舞台となっているグラスゴーは、以前紹介したバンド、オレンジ・ジュースの出身地でもある都市です。歴史的文化的にも豊かな町で、「イングランドには負けんぞ」的、制作者側の愛情や自負が伝わってきます。スコットランド自体、独立志向が強いのは昨今のニュースでも知ることが出来ますが、ドラマの中で「ここはスコットランドだ」という台詞をかなり頻繁に耳にした気がします。ま、U.K.だのブリティッシュという言葉は、外国人側からしか余り使わない言葉なのかもしれませんが、、、。また、「マクベス巡査」程ではないにしろ、迷信やハローウィンの悪魔信仰など、ケルトの土着的文化を思わせる神秘的なエピソードが多いのも、スコットランドらしさかもしれません。第12話「聖なる肉と血(Flesh and Blood)」では、トールキンの「指輪物語」が題材になっています。

そして、上のサイトでも沢山紹介されてますが、後にハリウッド映画で活躍するスコットランド人俳優が、あちこちで見られるのも魅力の一つ。ロバート・カーライルも出演がありますが、その他主だったところでは、イアン・グレン(バイオハザード2、3)、ビリー・ボイド(ロード・オブ・ザ・リング)、ピーター・マラン(ハリーポッター1、戦火の馬)、ジョン・ハナー(ハムナプトラ・シリーズ)等々。

さて、私が最後に紹介したいのが、タイトル曲を歌っている女性歌手です。テレビで見ていた8年くらい前から、ずっと気になっていたんですが、つい最近彼女が何者なのか分かったのです。それは愛読してるフレさんのブログで発見しました。このしゃがれ声に、オールドファッションなブルースロックテイストの曲。彼女の名はマギー・ベル。勿論、スコットランド出身です。ストーン・ザ・クロウズというバンドで活躍後、あのレッド・ツェッペリンが設立したレコード会社、スワンソングからソロデビューしていたそうです。



残念ながら、このタガートのタイトル曲「No Means City」はアルバムに収録されてない様ですが、フレさんのページをここにリンクしておきます。
Maggie Bell - Suicide Sal 「ロック好きの行き着く先は・・・」

さらに付け加えておくと、マギー・ベルは何とドラマにゲスト出演もしていました。ジョン・ハナーが登場した第15話「呪いの眼(Evil Eye)」で、ジプシーの占いオバサン役でした。私もよく覚えていますが、役者さんにしか見えませんでした。とてもハマっていたと記憶しています。彼女のファンにも是非見て欲しいところです。

YouTubeでマギー・ベルが出演している回を探してみましたが、残念ながら見つかりませんでした。ちなみに先ほどの動画は、第8話「冷血(Cold Blood)」のエンディングです。バックは景勝地として有名なロッホ・ローモンド(ローモンド湖)で、字幕はデンマーク語です。北欧でも人気のドラマなのかもしれませんね。


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タグ: イギリス ケルト 80年代

テーマ:海外ドラマ(欧米) - ジャンル:テレビ・ラジオ

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