ルイ・フェルディナン・セリーヌとユダヤ陰謀論

セリーヌと言えば、『夜の果てへの旅』を読んだのが20代の終わりだったので、それなりの衝撃を受け、ジャック・ケルアックの『路上』あたりと同じ匂いを感じたのだけど、セリーヌが何故この世を呪うような言葉を書き連ねてたのか、この本を読んだら、ちょっと腑に落ちるとこがあった。非常に興味深い内容であった。作家セリーヌと、一個人としてのデトゥーシュは別ものであり、インタビュアーはセリーヌに見世物の怪物を期待し、それに応えるように怪物を演じていた。と妻の目からは見えたらしい。
さて、セリーヌと言えば、反ユダヤ主義のパンフレットを書いて国家反逆罪に問われた。そのスキャンダラスな部分に、やはり興味が向いてしまうのだけれど、この本の中には私的にかなりタイムリーな情報があった。こうしてブログに書くととにしたのは、以下の内容による。
それは、どうやらセリーヌは陰謀論者二世であったらしい、ということ。リュセットがセリーヌと出会ったのは、くだんの父親の死後で、直接会ったことはないというのだけれど、夫から聞かされた話として、
彼の父親は、自分の不幸のすべてを、ユダヤ人とフリーメイソンのせいにしていた。

と言うのは、結構重要なことではないのか。
「あのころたくさんのひとがそうであったように」とは、ユダヤ陰謀論にハマっていた人は珍しくなかったということ。セリーヌは、容疑の証拠となった自分の文章を読み直しても、「どこにも問題はない」と言ったらしい。そして、パンフレットを書いたことを後悔したとか、自分が間違っていたとは決して言わなかった。何故ならば、セリーヌの中では、
ユダヤ人が戦争を仕掛けていたから、それを避けるため
に書いたから。祖国フランスの平和の為だった、と言うのだ。
と言う訳で、私が陰謀論に興味を持ったのは、やはり2020年の米大統領選挙における騒動。
不正選挙だ
投票用紙にGPSを仕込んでた
フランクフルトで銃撃戦がー
などという荒唐無稽な話が次々と湧いて出てきた頃、自ずと、ディープステート、軍産複合体、なんつーワードが飛び交う中で、世の中の事象を、光=善と闇=悪の真っ二つに両断、諸悪の根源は全て○○!というパターンで単純化された論、即ち陰謀論なるものも知るに至った。
そんな訳で、明けて2021年1月、米連邦議会を襲撃したトランプ信者の皆様は、祖国の平和の為の聖戦!ってマジで思ってたのかも。と改めて背筋が凍ったのでした。
ちなみに、フリーメイソンと言えば、やりすぎ都市伝説で、何度も取り上げられてるけど、あれってTV取材が何度も出来てる時点で、別にそんな怖い団体じゃないんじゃね?と思ってた。しかし、何でユダヤ陰謀論とセットのなってるのか、疑問に思い、陰謀論の本を出されてる郵便学者内藤陽介さんのブログを検索したところ、とても分かりやすい記事がありました。
これは、1942年1月1日、セルビアで発行された“反フリーメイソン博覧会”の記念切手の1種で、“ユダヤと結託したフリーメイソン”を打倒するとして、民族服姿のセルビア人がダヴィデの星を踏みつけながら、フリーメイソンを象徴する柱を打ち破っている絵が描かれています。ちなみに、“反フリーメイソン博覧会”は1941年10月22日から開催されたイベントで、切手の寄附金は反フリーメイソン宣伝の資金として使われました...
きちんと学ぼう!ユダヤと世界史(新番組)
記事で予告している番組『きちんと学ぼう!ユダヤと世界史』の動画は、現在もYouTubeで見ることが出来ます。第一回だけ貼っておきます。サムネの右側、セルビアで1941年に発行された切手は、結託したユダヤとフリーメイソンを打倒!というプロパガンダ。
フリーメイソンはキリスト教徒の中でも、派閥戦争していた時代に、宗教や国を問わない自由な活動が危険視されていた。表立って活動出来ない期間があった為、怪しまれてしまった。ということらしい。そこで、ユダヤの陰謀論とセット販売😅し始めたのは、ヒトラーで、セルビアの切手はヒトラー組に入ってた時代のものである。
ちなみに、セリーヌの父はヒトラー以前の世代なので、もっと前かれ、市民レベルではユダヤとフリーメイソンを同列で語るのは、あったのかもしれませんけど。
実を言うと、問題となったセリーヌのパンフレットの文は、現在全集でしか読めないそうで、ネット上で引用文ないか探してみたものの見つかりませんでした。そんな状態で彼に罪があるかどうかは、到底判断できないのですが、父親からユダヤ人の悪口聞いて育った、と言う事実は、周知されて良いのではと思った次第です。
2年ぶり・・・
私とおなじでしたか w(゜o゜)w
お元気そうで何より
バタフライ・エフェクト、私も見ましたよ
大変な時代ですね
パティ・スミスの動画教えてくれて
thank youです
色々と考えされられる時代ですね